【THE ATHLETE】2階級制覇に失敗したホルム、元女王も厳しい3連敗 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【THE ATHLETE】2階級制覇に失敗したホルム、元女王も厳しい3連敗

オピニオン コラム

ホリー・ホルム対ジャメイン・デ・ランダミー UFC208(2017年2月11日)
ホリー・ホルム対ジャメイン・デ・ランダミー UFC208(2017年2月11日) 全 5 枚 拡大写真
格闘技イベント『UFC208』が2月11日に行われ、女子バンタム級タイトルマッチでホリー・ホルムとジャメイン・デ・ランダミーが対戦した。試合は打撃で優位に立ったデ・ランダミーが判定勝ち。女子バンタム級初代王者となった。

2015年11月に当時バンタム級王者だったロンダ・ラウジーを左ハイキックでKOして、一気に総合格闘家としての評価を高めたホルム。しかし、初防衛戦ではミーシャ・テイトを圧倒しながらも、最終ラウンドにチョークで一本負け。続くワレンチナ・シェフチェンコ戦にも敗れ、3連敗だけは絶対に避けなければならない状況だった。

対するデ・ランダミーはムエタイ46戦無敗の女王。元ボクシング3階級王者のホルムとは激しい打撃戦を期待する声が多かった。

■期待はずれの展開に会場からはブーイング

試合が始まるとサウスポーから足を使って回るホルム、それをオクタゴンの中央でオーソドックスに構えながらどっしりと待ち構えるデ・ランダミーの展開が続く。飛び込んでパンチを狙うホルムに対し、デ・ランダミーのカウンターがヒットした。

第2ラウンドも似たような展開が続く。ホルムはパンチから組み付きにいってテイクダウンを狙うが、腰の重いデ・ランダミーが堪えて倒させない。ラウンド終了後にデ・ランダミーの右ヒジが当たる反則打もあったが、レフェリーは減点せず注意に留めた。

ホルム(左)は打撃戦で劣勢に

第3ラウンドも飛び込むホルム、待ち構えてカウンターのデ・ランダミーという構図。打撃戦で劣勢に立たされたホルムは、引き続きテイクダウンを狙うが倒せない。それでもラウンドの終盤、ホルムは前蹴りの軌道から途中でハイキックに変化するブラジリアンハイキックを当てる。上段の蹴りで大きくぐらついたデ・ランダミー。ホルムは追撃に行くが決めきれなかった。

このラウンドでも終了後にデ・ランダミーが殴りかかる。しかし、またもレフェリーは減点せず、注意に留めた。

■ホルムの引き出しの少なさと露呈した攻略法

一流ストライカー同士の対戦と注目された試合だが、ふたりのファイトスタイルは異なる。どしっと構えて強い打撃を打つデ・ランダミーに対し、ホルムは手数で勝負するタイプ。加えてホルムは遠い間合いから飛び込み、打撃を当てようとする選手だった。

拳が届かない距離からでもパンチを出しながら飛び込んでいき、追い足で本命の2発目を当てる。それがホルムの基本的なスタイルであり、彼女が仕掛ける距離感の詐術だ。こうした選手を相手にどうすれば良いか。デ・ランダミーがやったことはシンプルで、1発目に惑わされず2発目にカウンターを当てるというもの。これだけでホルムは打つ手がなくなってしまう。

密着状態での攻防が続く

デ・ランダミーのカウンターに突破口を見つけられないホルムは、第4ラウンドになるとテイクダウン狙いが鮮明になる。しかし、デ・ランダミーも金網を背にした状態で踏ん張り、ホルムの思う通りにはさせなかった。

ストライカー同士の打撃戦を期待していた会場のファンからは、密着した状態での攻防が長くなると徐々にブーイングが聞こえ始める。

第5ラウンドに入ってホルムにもやっと勝機が生まれる。飛び込んで来たデ・ランダミーに左のカウンターがヒット。ぐらついたデ・ランダミーはタックルのような形で組みつくが、逆にホルムが金網に押しつける。

最終ラウンドになって近距離でのパンチが当たり出したホルム。しかし、それまで圧倒されていたイメージが強く残っているためか、打撃勝負ではなく組みついてテイクダウンを狙う。セコンドからも「打撃でいけ!」の指示が飛ぶも、最後までボクシングで勝負する踏ん切りがつかない。

試合終了間際にはデ・ランダミーも、金網に押しつけられながらレフェリーや会場に向かって首を振り、「ホルムは何がしたいんだか」と言いたげな表情だった。

■歓喜のデ・ランダミー、崖っぷちのホルム

新チャンピオンになったデ・ランダミーだが、その勝利者インタビューはブーイングの中で行われた。2度の反則打と不完全燃焼の試合内容にファンは不満を感じていた。

「接戦でした。だけど彼女は守りに回っていました。私はファイトしに来たけど彼女はそうじゃなかったようです。オランダの皆さん。あなたの国からUFCチャンピオンが誕生しましたよ!」

デ・ランダミーが女子バンタム級の初代女王に

ラウンド終わりの反則打が2回あったことについては、「あのときは熱中していました。悪かったと思っています。謝るしかありません。意図的なものではなかったけど止められなかったんです」と釈明している。

ハイキックとカウンターのパンチで2度ぐらつく場面があったことは、「あんなのじゃ私を倒せませんよ。確かに打撃はもらいましたけど、私はファイトし続けました」と話している。ホルムが何度もテイクダウンを狙ってきたことには、「あんなにクリンチされるとは思ってませんでした。ホリーは素晴らしいチャンピオンでリスペクトしていますが、これは私のやりたい試合ではありませんでした」と残念がっていた。

見事に女子バンタム級の初代女王の座に就いたデ・ランダミー。一方のホルムはロンダ戦で高めた評価、得た名声を失ってしまう3敗目。特に元ボクシング世界王者の輝きが見られなかった敗戦に、その金看板も色褪せて見える。

最近のUFCは王者経験者でもランカーでも、負けが込んで試合内容も平凡となれば容赦なく解雇する。ホルムの明日はどっちだ。

《岩藤健》

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