インテルの若手育成、怪我への対処ノウハウの一端が明かされる | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

インテルの若手育成、怪我への対処ノウハウの一端が明かされる

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インテル、東洋医療のSHIN9と「インテルアカデミーヘルス」展開へ
インテル、東洋医療のSHIN9と「インテルアカデミーヘルス」展開へ 全 4 枚 拡大写真
サッカークラブのインテルが東洋医療を手がけるSHIN9と連携、健康寿命の延伸に取り組む。インテルの育成統括フィジカルトレーナー、ロベルト・ニコライ氏は、インテルの育成理念やノウハウの一端を解説した。

「今回は特に、怪我をした後の治療の重要さについて話しします」と前置き。最初にインテルのユースの組織について説明。そして若年選手の「ジャンパー膝」について説明した。

ニコライ氏は、まずユースの組織図を掲出。「組織の上にダイレクター、そして部門ごとに責任者がいます。医療部門ですが、医療責任者がいまして、私がスポーツサイエンスの責任者です」と自己紹介した。

さらに医療チームの組織を解説。「ユースの医療統括医師がいます。インテル全体の医療責任者に直属しています。医療関係とその他の部門とのコミュニケーションを担当する医師、その他に10人の医師がいます。つまりユースには12人の医師がいます」と医療チームの規模を紹介。

「セラピストはまず責任者が1人、常駐が3人、各チームに全部で10人、全部で14人のセラピストがいます。セラピストは医療部門での世話だけでなく予防の部分にも注意しています。また、怪我をした選手のための専属フィジカルトレーナーがいます。共同でプログラムを作り、怪我の回復にあたっていきます。そのなかで怪我の対応、治療のコーディネター、2人のトレーナーもいて、フィジカルトレーナーは全部で4人です」と解説した。

◆予防、リハビリ、活動復帰

選手に対して医師とセラピストが共同で進めている活動は大きく3つだという。「予防、リハビリ、活動復帰」だ。

アカデミーに入る選手はテストと面接を受けて健康をチェック。ニコライ氏は「近代サッカーは、選手のニーズをつかむことが重要です。予防という観点からも、医師とセラピストが選手の特性を見極めていきます。テストの結果、予防プログラムを作って医師とセラピストのもとに実施していきます」とインテル流を説明した。

選手は怪我予防のための活動を、練習前に行なう。もちろん選手が健康な状態でピッチの上で過ごす時間を長くするためだ。

ただ、そんななかでもどうしても怪我をしてしまうことはある。こうした場合の対応として、まずは医療スタッフが最初の診断を行なう。この時、物理的だけでなく、メンタル面でも対応をしていることをニコライ氏は強調した。「なるべくリハビリをポジティブに過ごすため、メンタルコーチなどがサポートしていきます。できるだけ早い時期から怪我をした選手を練習に参加させます。ごく一部の練習であってもです。そうすることでリハビリをポジティブに体験してもらうためです」。

サッカーは団体スポーツであり、「団体ということが重要」とするニコライ氏。コーチ陣についてもメディカルスタッフなどが、アプローチして怪我をした選手を少しでも練習に参加させることを打診するという。そのなかで、絶対にしてはいけない動きなどを共有する。例えば接触プレー、急なダッシュなどだ。

「少しずつ練習に参加しながらリハビリの訓練も続けていきます。このリハビリがセラピストの腕の見せ所です。痛みは減っても、解剖学的には治っていないことは多いのです。いつ、きちんとチームに返せるか、セラピストのフィードバックが重要です」という。

◆具体例:膝蓋腱の炎症

具体的な事例についても踏み込んで解説したニコライ氏。事案の例として、膝蓋腱の炎症をあげた。これは膝の前面の炎症で、オスグットシラッター症候群などもこれに入るという。

ニコライ氏は「まず、その選手は運動中にどのように動いているかをみることです。同じ怪我であっても、どこまでどのように治療するかは人によって違います」。

選手の動画を見ながら、ニコライ氏は、特定の選手を指し「極端なストレスに膝関節が晒されているのがわかります。若い才能がある選手は、才能があるがゆえに、体が一般よりも高いストレスにさらされることがあります。試合だけでなく、トレーニング中もです」と話す。

厳しい訓練では、膝周りにストレスがかかる。過度なストレスがかからないような工夫をしていく必要があるという。

怪我をした中でリハビリをどのように行っていくかということだが、まずは解剖学的に損傷しているところの修復はどれくらいかかるのかを診断することが重要だという。さまざまな治療で痛みは抑えられるが、「損傷の治療時間を考えないといけません」とはニコライ氏。

痛みは選手が主に感じるものだが、大人の方が意識的であるとした。子供については、痛みを周囲が注意する必要があるという。またメンタル面もチェックが必要となる。

膝蓋腱の炎症に戻る。対処としてニコライ氏はまず「炎症を抑えること」。そして「早い時期から、トレーニングを開始すること」としたが「どれくらいの強度で行うかは注意が必要」という。こうすることで炎症を抑えるとともに、筋力の低下を抑える。そしてトレーニングの強度を徐々に高める。筋肉に働きかける訓練を続け、徐々に膝の屈曲に働きかけるようにするという。

砂の上での訓練などを紹介しつつ、少しずつ練習に参加。あわせて別メニューでリハビリを続ける。ダッシュ、バランス、ゴムなどを使ってランニング、特殊な床面を走るなどの訓練を行なう。

膝蓋腱の炎症は別名ジャンパー膝と言われる。ジャンプが膝にもっともストレスがかかるからだ。ジャンプを使った訓練は引き続きセラピストがついて訓練をサポートする。そして最後に運動活動への復帰となる。

◆復帰時に重要なメンタル

ニコライ氏は怪我の予防について「フィジカルテスト、機器を使ったテストなどで、それぞれの選手が何に気を使わないといけないかと確認します。特に膝については注意します」とした。また、選手のポジションの情報も重要だ。「ポジションにより怪我のタイプがあるからです。例えば、膝蓋腱の炎症はゴールキーパーに多い怪我です」。

こうしてさまざまな面から選手を見るというニコライ氏。

治療の後で選手が試合に出られるかは、選手を見てきたリハビリスタッフが評価するという。「選手の復帰は医療責任者が判断します。セラピストも回復を評価します。フィジカルトレーナーも評価をしますが、重要なのはメンタルです。試合に出る準備がメンタル的にできているかの評価です」という。

メンタル面での安定は重要で「試合に出てもすぐにもう一度怪我をするリスクはあります。そうなると若い選手には大きな問題になります。復帰させる試合がシーズンのどんな試合か、コーチがどう使うか、そういったところも評価する必要があります」という。「きちんと真実をみることが、選手を守ることにもなります。選手には14歳、15歳という若い選手も多く、そのときの真実を直視できないときもあります。例えば重要な試合には出たいとして、怪我を隠すこともあるのです。そうしたとき、選手の状況を正確に把握するのもセラピストの大きな役割です」と話した。

《編集部》

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