【インタビュー】ケンブリッジ飛鳥、100m9秒台への挑戦(後編) | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【インタビュー】ケンブリッジ飛鳥、100m9秒台への挑戦(後編)

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【インタビュー】ケンブリッジ飛鳥、100m9秒台への挑戦(後編)
【インタビュー】ケンブリッジ飛鳥、100m9秒台への挑戦(後編) 全 12 枚 拡大写真
2016年8月19日。リオデジャネイロ五輪陸上男子4×100mリレー決勝の大舞台で、日本代表のアンカーとしてバトンを受け取ったケンブリッジ飛鳥選手。3人の仲間とともに日本陸上界の歴史に残る銀メダルを手に入れた彼は、2017年からプロ選手としての道を歩みだした。

日本人の陸上選手は、ほとんどが企業の陸上部に所属して実業団選手として競技活動を行う。短距離では2004年アテネ五輪などに出場した為末大氏がプロ選手第1号になった。プロ選手になれば競技により専念できる反面、実業団選手のような保証はなくなる。すべてが己の成績にかかってくるリスクも背負う。

決意を新たにしたケンブリッジ選手。インタビュー後編では、プライベートの過ごし方や陸上競技の魅力について聞いた。(聞き手はCYCLE編集部・五味渕秀行)

【インタビュー】ケンブリッジ飛鳥、100m9秒台への挑戦(前編)

ケンブリッジ飛鳥選手

---:100mを走っているとき、ケンブリッジ選手は何を考えていますか?

ケンブリッジ:走っているときは基本的には何も考えていないですね。ほぼ無心です。

---:スタート前は何か考えます?

ケンブリッジ:ずっとレースのイメージをしていますね。そのレースで勝っているイメージをして挑んでいます。

---:スタートの瞬間は緊張はしますか?

ケンブリッジ:しないんですよね、緊張は…。気持ちの高ぶりはすごくあるんですけど、緊張でどうしようっていう経験が全然なくて、変わってるなとよく言われます。さすがにオリンピックは緊張するのかなって思ったんですけど…しなかったです(笑)。

---:いつもと同じ大会の感じ?

ケンブリッジ:やっぱり雰囲気は盛り上がっていたので、いつもと同じ大会っていうことはなかったです。いつも以上に高ぶっている感じはありました。もう早く走りたくてしょうがなかったですね。

リオデジャネイロ五輪男子4×100mリレー決勝の様子
(c) Getty Images

---:緊張しないように何かをしているわけではないのですよね?

ケンブリッジ:特に何もしてないんですよね、性格なんだと思います。

---:では、自然体でスタートに立てる感じなのですね。

ケンブリッジ:そうですね。よし、やるぞって感じで。何で緊張しないんですかね?(笑)それは僕も知りたいんですよね。

---:緊張しないのは中学生のころからですか?

ケンブリッジ:しなかったですね。多分初めての試合は緊張したと思いますが、それ以外のレースで緊張した記憶はないですね。インターハイ、インカレ、去年の日本選手権もなかったですし、リオも特に緊張しなくて。それは僕も不思議なんですけど。楽しいって気持ちの方が勝るのかな

---:楽しい気持ちでそのまま100mを走っちゃうのですね。

ケンブリッジ:はい。

---:100mは桐生祥秀選手や山縣亮太選手など優秀なスプリンターがたくさんいます。周りに競い合える仲間がいることについてどう思われていますか?リレーでは仲間になり、100mではライバルになりますが。

ケンブリッジ:すごく刺激になりますね。他のふたりが走るレースは気になりますし、常にチェックしています。ふたりがいい記録で走ったりすると、負けてられないなという気持ちになってモチベーションも上がります。自分にとってはプラスの存在ですね。

---:試合やイベントで会う機会が多いと思いますが、それ以外にプライベートで会ったりすることはあるのですか?

ケンブリッジ:イベントで会うことが多かったので、その後に一緒にご飯行くとかは多かったですね。ワイワイと陸上に関係ない話をずっとしています。

---:例えばどんな?

ケンブリッジ:そりゃもういろんな話です(笑)。

銀メダルを獲得したリオデジャネイロ五輪男子4×100mリレーメンバー
左から飯塚翔太選手、ケンブリッジ飛鳥選手、山縣亮太選手、桐生祥秀選手
(c) Getty Images

---:オフシーズンだからこそ、プライベートで楽しんでいることはありますか?

ケンブリッジ:やっぱりシーズン中は遊ぶ機会も少なかったので、時間があるときは友だちとご飯に行ったり、買い物に行ったり、常にどこかに行っていますね。今しか時間が取れないので。

---:今ハマっていることは?

ケンブリッジ:ドライブですね。遠くても1時間ぐらいですが、千葉の海まで行ったりしています。

---:ドライブ中によく聴く好きなアーティストはいますか?

ケンブリッジ:洋楽が好きです。R&B系が好きで、Ne-Yo(ニーヨ)とかよく聴きます。洋楽を聴くようになったきっかけですね。

---:好きな食べ物は何ですか?

ケンブリッジ:やっぱりお肉ですね!肉なら何でも。以前はずっと馬刺しにハマっていたんですけど、最近は(お店に)行かなくなってきたので、新しいものを探しています。

---:お肉を食べるときはどれくらいの量を食べていますか?

ケンブリッジ:ステーキとかなら食べるときで300~400gぐらい?そんなに多くはないかな?

---:一般の方と比べて特別多く食べてるわけでもないのですね。

ケンブリッジ:ちょっと多いぐらいですね。一食でそんなに多く食べる方ではないので、朝昼と夕食の間に軽く一食何かを挟んだりはしますね。

ケンブリッジ飛鳥選手
使用するシューズは『ナイキ ズーム スーパーフライ エリート』だ

---:普段の食事で気をつけていることはありますか?

ケンブリッジ:余計なものは摂らないようにしていますが、特別何か制限したりはしていないです。もちろん栄養のバランスは意識して摂っていますけど、揚げ物は食べないとか特別なことはないです。

---:体脂肪は一時期4%台になったそうですが、今はどれくらいですか?

ケンブリッジ:今は増えています。最後に測ったときが8%ぐらいです。体重も増えているので。

---:日本選手権やオリンピックのときと比べて、体重はどれくらい変わりますか?

ケンブリッジ:昨シーズン76kgで、今は79~80kgに乗るか乗らないか。だいたい3、4kg増えてる感じですね。

---:陸上に出会ってなかったら今何をやっていると思います?子どものころに夢はありましたか?

ケンブリッジ:サッカーをやっていたので、サッカー選手になりたいと思っていました。そのままサッカーやっていたら、プロになれたのかな?(笑)わからないですけど、サッカーやっていたんじゃないですかね。でも何かしらスポーツはやっていたと思います。

---:好きなサッカー選手はいますか?

ケンブリッジ:昔は(ティエリ・)アンリがメッチャ好きだったんですよ。アーセナルにいたフランス代表です。あとはブラジル代表だったリバウドとか好きでした。今は誰だろうな…。最近もサッカーは観るんですけど、パッと出てこないですね。

---:やったことがないけど、やってみたいスポーツとかありますか?

ケンブリッジ:うーん、バスケとかやってみたいですね。

---:身長が高いですけど(180cm)、バスケットボールの経験はないのですか?

ケンブリッジ:ないですね。授業とかではありますけど、本気になってやったことがないので、ダンクとかできたらカッコいいですね。

リオデジャネイロ五輪男子4×100mリレー決勝の様子
(c) Getty Images

---:将来的なケンブリッジ選手の目標を教えてください。

ケンブリッジ:4年後の東京オリンピックでは、個人種目でもメダル争いができるような選手になっていられたらいいです。でも東京で結果を出すためには、2019年の世界陸上である程度力を示していないと難しい。そこが一番重要になると思います。

---:中学生で陸上に出会い、10年以上競技を続けてきました。100分の1秒を争う世界、その短い時間で競い合う陸上の魅力は何ですか?

ケンブリッジ:100mって短いじゃないですか。その10秒間は観てる人は誰も目をそらさないと思うんですよね。そういうスポーツってなかなか無い。全員がその10秒間に集中する、そういう所にすごく魅力を感じますね。

競技場でもそうですしテレビで観ている人も、(試合時間の)長いスポーツだとちょっと目をそらす時間もありますけど、陸上はそういうのが無くて。みんなが集中しているのでそこが魅力的ですね。そういう中で走れるというのは楽しいです。

走る側の魅力としてはやっぱり速い選手に勝つのは一番楽しい所かな。今まで勝てなかった選手に勝ったりすることに僕は魅力を感じます。

---:最後に今シーズンの目標をお願いします。

ケンブリッジ:まず9秒台を出すということ。日本選手権はしっかり優勝して世界陸上の代表になる。そして去年はファイナルに残るという目標を達成できなかったので、そこを必ず達成したいと思っています。

ケンブリッジ飛鳥選手

●ケンブリッジ飛鳥(ケンブリッジあすか)
1993年5月31日、ジャマイカ出身。ジャマイカ人の父と日本人の母のもとに生まれる。中学1年で陸上を始める。2011年、高校3年で日本ジュニア選手権200mを制す。日本大学に進学し、2012年の世界ジュニア選手権4×100mリレーで銅メダルを獲得。2015年織田記念100mで優勝。

2016年は5月の東日本実業団対抗100m予選で10秒10を記録して、リオデジャネイロ五輪参加標準記録(10秒16)を突破。6月の日本選手権で優勝を果たす。リオデジャネイロ五輪では100mと4×100mリレーに出場。100mの決勝進出は果たせなかったが、4×100mリレー日本代表(山縣亮太、飯塚翔太、桐生祥秀、ケンブリッジ飛鳥)でアンカーを務め、アジア記録の更新と銀メダル獲得に貢献した。1年間所属した株式会社ドームを2016年12月で退社し、2017年からプロ選手として活動する。

《五味渕秀行》

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