スポーツクライミングは3種類ある。3~5mの壁に設けられた課題に挑戦する「ボルダリング」、高さ12m以上の壁をロープで安全の確保をしながら登る「リード」、高さ15mの壁に登る速さを2名で競い合う「スピード」だ。今大会はリードで、用意された壁の高さは13m、最大傾斜約130°だ(男女各2ルートの計4ルート)。
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スポーツクライミング日本選手権リード競技大会2017予選が開催
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予選のルートに挑む参加者たち
男女ともに2ルートを完登した選手たちがトップに立った。男子はボルダリングで昨年世界選手権パリ大会優勝とワールドカップ(W杯)年間王者のタイトルを手に入れた楢崎智亜(ともあ・栃木県)ら8名、女子は長年クライミング界を牽引するディフェンディングチャンピオンの野口啓代(茨城県)ら4名だ。
1月に行われたボルダリングジャパンカップで男子二連覇を達成した藤井快(こころ・東京都)は12位タイ、女子史上最年少優勝を成し遂げた14歳の伊藤ふたば(岩手県)は5位で追いかける。
楢崎は予選後、「予想していたよりは優しかった」と語った。ボルダリングジャパンカップでは決勝に進むことができなかったが、今回は体が軽く調子がいいと頬を緩める。ボルダリングでは注目も集まりプレッシャーにつながるが、リードは「特に背負うものがないので気持ちよく自由に動いている」と笑う。
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楢崎智亜選手
ボルダリングとは違うテクニックも必要となるリード。楢崎は「ミスをしても負荷が低いので耐えられるが、それが積み重なっていく。一個のミスが後に響くので、持久力も大事だし、気持ちも乱されていくので常に落ち着いていることが必要」と話す。ボルダリングよりも呼吸を意識することで、ミスを減らすように心がけているという。
今大会の目標はリードでの日本代表権の獲得だ。「今年のW杯ではリードにも出たいと思っている。優勝も狙いたいが、是永(敬一郎)くんや波田(悠貴)くんは去年リードでも活躍しているのでいきなり勝てるか、難しい」と首をかしげる。
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予選ルートを完登した楢崎智亜選手
リード中心で活動する是永は昨年、W杯ヴィラール大会リードで2位、日本選手権でも2位に入っている。波田も世界ユース選手権広州大会リードで2位、日本選手権は5位の成績を残している。
しかし楢崎は、「今回は壁が低いから有利かな」と虎視眈々とリードでも頂点をうかがっている。スポーツクライミング日本選手権リード競技大会2017の決勝は5日に行う。加須市民体育館への入場は無料。