『名古屋ウィメンズマラソン』初挑戦…30kmからの試練とゴール後に悟った“マラソンを走る理由” | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

『名古屋ウィメンズマラソン』初挑戦…30kmからの試練とゴール後に悟った“マラソンを走る理由”

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『名古屋ウィメンズマラソン』初挑戦(2017年3月12日)
『名古屋ウィメンズマラソン』初挑戦(2017年3月12日) 全 25 枚 拡大写真
2016年10月都内某所

ヤマモト「いや~、『Apple Watch Nike+』着けてると走りたくなりますね~」

ナイキ担当者さん「じゃあ3月の名古屋ウィメンズマラソン走ります?」

ヤマモト「いいですね、走りましょ!」

そんな会話から6ヶ月…



気がつけばスタート3分前に…

そうです、『名古屋ウィメンズマラソン』を走ることになったのです。今までの最大走行距離が3km(しかも高校時代)の私が、ナイキの担当者さんとの軽い感じのやりとりがきっかけとなり、42.195kmを走るわけです。

それにしても、ものすごい人です。しかも全員女性。

33km地点でこの密集率


名古屋ウィメンズマラソンは、「世界最大の女子マラソン」としてギネス世界記録に認定されており、今年も去年から250人増となる19,857人が出走。大会自身が持つギネス記録を更新しました。

この日のために、人生で初めて栄養バランスに気をつかって食事をしたし、人生で初めて3km以上走ってきたから大丈夫…きっと大丈夫…




スタート地点はナゴヤドーム。“ナゴド”といえば、中日ドラゴンズ。ドラゴンズといえばマスコットキャラクターのドアラということで、沿道にはドアラの姿が(本物のドアラです)。そのドアラに見送られながらスタートします。

沿道の声援がとにかくすごい。人が途切れません。序盤はとにかく直線コースです。沿道のハイタッチに笑顔で応える人たち、一緒に参加した友人とおしゃべりをしながら走る人たちと、賑やかな雰囲気が漂います。

6km地点では、先頭を走る選手たちとすれ違いました。拍手やエールを送る市民ランナーたち。走る人が走る人を応援するのっていいですね。



ひたすらまっすぐ走り、9kmあたりで折り返し、来た道を戻る途中で桜通に入ります。名古屋の中心地・栄を走ります。テレビ塔を楽しみに走っていたのに私の視界にまったく入ってくることなく栄を通過しました。見逃しました。

道路も広く、走りやすいです。ベテランランナーさん曰く、名古屋は舗装も綺麗で足の負担が少ないとのこと。



22.5kmは、給食地点です。バナナ、パン、チョコなどの一般的な補給品から、愛知県の特産品も並んでいます。ここでは、『サボテンのど飴』(サボテンの粉末を含む)とれんこんチップスを配っていました。

給食地点は年末セールの会場のように人がごった返していて私はバナナをもらうのが精一杯だったというのと、飴を舐めながら走ることに勇気を持てず、特産品は断念しました。ランナーとしては正しい選択ですが、取材記者としては大失態です。



私は練習でハーフを1度しか走ったことがなく、その1回も相当な疲労感だったのでフルマラソンはどうなるかと不安でしたが、25kmを2時間44分で通過。しかも疲れのない余裕の走りです。「もしや、このまま5時間前半でゴールできるんじゃない…?」と、自惚れたのが間違えでした。甘い。甘すぎた。



25kmを超えるとさすがに疲れが溜まり始め、ストレッチを挟むようになりました。そして、名古屋城が小さく見え、そのまま近づくことなく遠ざかっていくのを見送っていた時……


…………。


右膝が痛い。


何度も立ち止まりストレッチを繰り返すけれど、膝は痛みを増すばかり。27.5km地点で脚を休ませるためにトイレに行き、救護所にも寄ってマッサージを受けます。「あとちょっとなので頑張ってください」と、トレーナーさんに送り出してもらい、膝の痛みもなくなったと思い走り始めるもすぐに激痛が…。

残り約15km。制限時間の7時間にはまだまだ余裕がある。この時点で私の中では2択の考えがありました。

無理をして走るか、リスク回避でここから歩くか。

この膝の痛みから考えると、無理をして走れば痛みが悪化し、最悪の場合歩くこともできなくなってしまうかもしれない。私の頭の中で「質のいい歩きで、休憩なしでナゴヤドームに帰ろう!」プランが練られました。



なんとか坂を登り切りました


名古屋ウィメンズマラソンではおなじみの34km地点の上り坂にさしかかる直前、沿道の方が配っていたキュウリを補給します。30kmを超えたあたりから、補給食やエアーサロンパスを提供する沿道の方が増えてきます。ありがたい。

仮装して走っているランナーもいます


歩く人もちらほら見かけるようになってきます。前半ぶっ飛ばして力尽きた私は、歩きながら走る人たちを眺めます。5.6km地点では、半分以上も差があった人たちにも抜かされながら、「ペース配分は大事だなあ」と心の底から思いました。38kmあたりから、脚に疲れが溜まってきたことを感じ、一度ストレッチをしてみると…


……………。


歩けない。

ストレッチの仕方を間違えたのか、歩くことすら苦痛な状態に陥ってしまった。残り10kmもあるのに…。もう半泣きです。

脚痛い、歩けない、つらい、止まりたい…。

「もっと膝を鍛えておけば…」「前半飛ばさなければ…」と後悔が生じますが、たらればを言っていても仕方がないので、とりあえずゴールのことだけを考えなければと、自分に30回は言い聞かせました。

右足を引きずりひたすら前を見て歩きます。歩き始めてから聴き始めた『ウルフルズ』が心に沁みます。前半は距離を気にすることなく走っていましたが、今はただただ残りの距離を気にするばかりです。

今日は空が綺麗だ…。



愛知学院大学前では、学生さんが補給食を配っていました。スライスチーズのような形状のういろうをいただきました。おそらくおいしかったのですが、ゴールしたいという感情以外が無になっていたのでイマイチ味を覚えていません。ごめんなさい、写真ないんです。今度は写真を撮る余力は残しておきます。



歩きながら考えます。

こんなに苦しい思いまでして、なぜマラソンを走るのだろう。歩きながらも、また走り出そうとする人。ゆっくりだけれども、走り続ける人。お金をかけて42kmも走って何が楽しいのだろう。

そんな問いの答えを見つけるために私は今走っているのかもしれません。歩いてるけど。

レース当日はとてもいい天気でした


41km地点から道路が狭くなり、沿道の応援も熱が上がります。今まで沿道とは反対側の端を歩いていた私は、沿道の人たちとハイタッチを交わすようにしました。

もうここまできたら他力を自力にするしかない。「おかえりなさい!」と声をかけてくれる方々ばかりです。今初めて出会った人、そしてもう2度と会わないであろう人からの「おかえり」がここまで心に深く染み渡るとは思ってもいませんでした。

あと1km…。

ナゴヤドームの駐車場に入ると、今度は先にゴールしたランナーの方々が迎えてくれます。たくさんの労いの言葉をもらいながら、一人ひとりとハイタッチを交わします。

今まで、頑張っているランナーの中の一人として声援を受けていたので、ハイタッチをして私だけに直接送られるエールに耐えきれず、半泣きでハイタッチを続けます。あとから気づいたんですけど、私この時走れていたんですよね。応援の力って本当にすごいと思いました。



ドーム内に入るとゴールが見え、思わず涙。ゴールアーチをくぐり、イケメンなお兄さんからティファニーのネックレスなどの完走賞をもらい、スポーツドリンクを受け取り、想像していた「終わったー!」みたいな達成感がなかなか押し寄せてきません。長い距離を走ったからか、ランニングがまだまだ続くような気がします。




沿道の声援、迎えてくれるランナーの激励。人に応援されることにこんなに力をもらえるとは思ってもいませんでした。

健康のため、自己を高めるためなど、人によって様々な目的があるかもしれないけれど、私が思うマラソンを走る理由は、『人とのふれあい』に尽きる気がします。

人生でこんなにもたくさんの人たちに応援されることなんてそうそうないと思います。私はけっこう勝ち負けにこだわる人間なのですが、マラソンに敵はいませんでした。走る人、応援する人全員が味方でした。

前半のぶっ飛ばし具合がわかります。


42.195kmをただ走るだけは嫌だけど、マラソンはこれからたくさん挑戦していきたいです。よーし!また明日から頑張るぞー!


翌日



一歩たりとも歩けない。



<取材協力:名古屋ウィメンズマラソン>

《山本有莉》

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