【山口和幸の茶輪記】モナコはやっぱり“熱海”に似ている | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【山口和幸の茶輪記】モナコはやっぱり“熱海”に似ている

オピニオン コラム
モナコではなく熱海です
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地中海に面するモナコ公国は皇居の2倍の広さしかない小国だが、F1グランプリをはじめ、テニスのマスターズシリーズ、ヨット競技など国際的なスポーツイベントが数多く開催される。

2009年にツール・ド・フランスの開幕地となってこの地にやって来たとき「デジャビュ」のような既視感にとらわれた。

そうだ、ここ。熱海に似てるんだ。

世界最大の自転車レース、ツール・ド・フランスが2009年のスタート地点としてモナコを選んだのは、「モナコをスポーツのメッカにしたい」と意気込むアルベール2世(モナコ大公)の意志によるものだ。女優グレース・ケリーを母に持つ同大公はボブスレー選手として冬季五輪に5度の出場を果たし、IOC委員も務めるスポーツマンだ。

ツール・ド・フランスがモナコを訪れたのは1964年以来45年ぶり6回目だったが、その年の開幕地となったのはそのときが初めてだ。7月4日に行われた第1ステージは距離15kmの個人タイムトライアル。距離3.34kmのF1サーキットのほぼ全コースを使用した。

モナコのエルキュール港でインタビューに応じる新城幸也

スタート地点はモンテカルロのエルキュール港だった。しかもアルベール1世通りでF1のそれとまったく同じ場所。途中に10%の激坂が待ち構えるハードコースで、ポルティエのコーナーから地中海に面したトンネルに入り、エルキュール港にゴールする。そんな世界最高峰の大舞台に、初出場を決めた別府史之と新城幸也という日本の2選手の姿もあった。

モータースポーツ界の頂点に君臨するF1グランプリの伝統的コースはオーバーテイクすることが困難と言われるほどの難コースだ。このコースを日本で最も熟知している元F1レーサーの片山右京に話を聞いたことがある。

「レーシングドライバーにとってモナコは栄冠と希望の象徴。モナコグランプリに乗ることが若いレーサーの夢。ボクにとっては青春時代の1ページとして過ごした地域。だからとても思い出深い。コースのいたるところに戦いのキズがある。すべてのコーナーに記憶がある」と右京。

とにかくモナコの全コーナーは難関らしい。とりわけトンネルの入口は針の穴くらいの小ささに見えるという。トンネル走行のストレスは呼吸することさえ忘れてしまい、出口から飛び出すとあわてて呼吸をする。カジノスクエアに横っ飛びで突っ込むオフバンクのコーナーがあり、セナがクラッシュしたポルティエのコーナーも最後に待ち構えている。最速ラインはF1マシンもロードバイクもタイヤ1本分しかないとのこと。

地中海に面するモナコ

そんなモナコを訪問してすぐに脳裏を駆けめぐったのが、街の景観が静岡県の伊豆半島にある熱海に酷似していること。この温泉地は修善寺町にある日本サイクルスポーツセンターに行くときに何度となく通過した。急傾斜地に高層ホテルやレジデンスが建ち並び、光り輝く海や港を見下ろす。全国から集まった観光客がつかの間のリゾート気分を楽しむにはもってこいだ。

熱海市は面積としてはモナコの30倍はあるが、中心部の温泉街は同程度の広さだ。一国と単一の市という違いはあるが人口はどちらも3万7000人。うわべだけの比較をしているとお世話になっているモナコ政府観光局に怒られそうなのでこのくらいにしておくが、どちらも観光地としてそれぞれの魅力を有している(とフォロー)。

3月下旬には、そんな熱海の魅力を再確認するために家族旅行で1泊。これまで何度も通り過ぎた街に初めて宿泊する機会があった。おりしも卒業旅行のシーズンで、東京や神奈川あたりの高校3年生が友だちと連れ添って宿の温泉で長話をしたり、おいしいもの紹介サイトで上位にランキングされる食事どころの店頭で列をつくっていた。

率直に感じたのはインターネットの大手予約サイトでブッキングできる一部の旅館のみが繁盛している感があった。行列のできる食事どころもスマホの検索で上位にランキングされるところばかりだ。これらの時流に乗り遅れたような旅館・店舗は廃業寸前であったり、シャッターを閉ざしていたり…。

熱海の魅力を再確認

修学旅行のような大口顧客を除くとホテル予約はいまやほとんどネットなんだとか。ボクのようなヘビーユーザーには大手予約サイトから連日のようにフランス語と日本語でそれぞれディスカウント情報が送られて囲い込みを図る。旅行会社「てるみくらぶ」の破産がニュースになっているが、旅行業界はとても厳しい状況にあって、この先は大手旅行代理店が立ちゆかなくなる可能性もあるのでは。

ちなみにモナコは宿泊料が破格の高さで、「フランスのニースに泊まってヘリでモナコに来たほうがいいよ」とアンリ・フィソール駐日モナコ公国大使がアドバイスしてくれた。陸路でニースからモナコを目指すと2時間は要するが、6分でエルキュール港入りできるらしい。結論は「モナコに行くのはお金がかかるから、せめて熱海でリゾート気分。だって、似てるし」

《山口和幸》

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