このオープニングを飾るのは、メディアアーティストの真鍋大度さんと石橋素さんが率いる「Rhizomatiks Research」と演出振付家のMIKIKOさんが率いる「ELEVENPLAY」によるコラボレーション・ワークだ。
4月13日には、関係者向けにパフォーマンスが初開催された。なお、一般には15日、16日に公開される。
このパフォーマンスは、多数のプロジェクターの光を特殊なソフトウェアを用いて複雑な空間を構築し、ダンサーやオブジェクトがその中に入っていく「ダンス・インスタレーション」という新たなジャンルの作品だ。
ダンサーと光が緻密に連動することによって、立体的な形とその流れの軌跡を楽しむことができる。




MIKIKOさんはイベントについて「前から見る視線と両サイドの視線。見る場所によって見える景色が違うという作品に挑戦したくて、正面だけではなくあえて横からも見られていることを意識する3パターンの振り付けをつくりました。今日はお客様が入ってその様子を見られてよかったです」と振り返った。



真鍋さんは「お客さんが入ると気温など条件も変わる。今回初めてやってみて、まだ調整する必要もあるとは思うがなんとか1回目が終わってほっとしている。僕らは振り付けそのものは作らないですが、新しい振り付けが作られるような環境をつくることを目指している。今までもAIやVR、映像などを使って、今までのアナログというか、ダンサーだけでやっていたものから違う動きが出てくるように仕組みを考えてきた」とクリエイターからの視点で総括した。





ダンスを光を使って演出した理由として、「ダンスと映像、ダンスにドローンだったりと今までやってきた。今回はドローンよりもより細かく制御できるオブジェクトということで『光』を選んで作った。まだ技術的にも課題はあるが、今すぐ使えるものの中で、考えられる中では今回(の技術)がベスト」と明かした。

光によってダンスとしての動きが拡張された今回のパフォーマンス。これはダンサーにとってもプラスの作用を及ぼした。
「ダンスに関して、スタジオで指導している時はいつも『手の先に本当に光が見えているように踊って、まるで空気が見えているように踊って』と指導していましたが、今回はすべてが可視化されて、振り付けを空間に残像として記述するのがテーマでした。ですから、ダンサーにとっても体の動き方などで新たな発見がありました。残像がホログラムとして残って、オーラみたいなものが空間の中に焼き付けられたらいいな、と。今回のシステムによってダンサーのスキルアップにもなったと思います」
