【インタビュー】野口啓代、クライミングの面白さを伝えたい…東京五輪に手ごたえ | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【インタビュー】野口啓代、クライミングの面白さを伝えたい…東京五輪に手ごたえ

スポーツ 選手
プロフリークライマーの野口啓代(2017年5月20日)
プロフリークライマーの野口啓代(2017年5月20日) 全 6 枚 拡大写真
国内外のスポーツクライミング大会で活躍するプロフリークライマーの野口啓代(あきよ)選手。

ボルダリングワールドカップ(W杯)では2008年7月のボルダリングW杯フランス・モンタルバン大会で日本人女性として初優勝して以来、常に世界トップレベルで登り続け、年間総合優勝にも4度輝いた。

「クライミングをしているときが一番楽しい」とはにかみながら話す野口選手に、東京五輪への手ごたえなどについて聞いた。(聞き手はCYCLE編集部・大日方航)

野口啓代選手

---:2020年東京五輪の正式種目にスポーツクライミングが選ばれました。改めて、どのように感じていますか?

野口:クライミングが普及していることを感じ、たくさんの子どもたちが夢を持てるスポーツになったな、と思います。今まではクライミングジムのイベントなど小さなコミュニティーで活動をしていましたが、現在は大きな施設や一般企業の方ともお仕事がをできるようになって世界が広がっています。そのぶんやり甲斐がありますし、頑張ってもっともっと広めていきたいです。

---:スピードクライミングは「ボルダリング」「リード「スピード」の3種複合競技(※)になりますね。現段階で東京五輪への手ごたえは?

野口:長年、ボルタリングもリードもやっているので、今までの経験値も踏まえて東京五輪に向けてどんどん実力を伸ばしていきたいです。スピードはやってみないとわからないですが、色々な種目を同時進行でやるのは得意。東京五輪に向けては手ごたえを感じています。

※ボルダリングは4~5mの壁を使い、複数の課題をこなして完登できた数を競う。リードは12m以上の壁をロープで安全確保しながら登り、登った高さを競う。スピードは15mの壁を2名同時にスタートして、登る速さを競う。

リード日本選手権2017で2連覇、6回目の優勝

---:クライミング大会を観戦するとき、どこに注目すると楽しめますか?

野口:選手一人ひとりによって登り方や持ち味も違います。同じ課題でも、それぞれ登り方が違う。そこを見比べてもらったら楽しいと思います。

---:野口選手が競技を始めたきっかけは、小学校5年生のときに家族旅行で訪れたグアム島のゲームセンターでフリークライミングを体験したことだそうですね。

野口:小さいころから木登りや高いところが好きでした。クライミングは「安全な木登り」という感覚だったので、普段遊んでいるものの延長線上という感じで、怖くはなかったですね。W杯に出るようになってから、もっと上を目指したい、趣味からもっと上の世界を目指していきたいという感覚が芽生えてきました。

『三井不動産クライミングパーク for TOKYO 2020』で子どもたちに指導

---:クライミングが人生に役立ったことはありましたか?

野口:ずっと競技をやっていて、自分と向き合う時間も長いので自分のこともわかるようになりました。こういうことが「得意」でこういうのが「苦手」とか。苦手を克服するのはキツくて、諦めたくなる瞬間もあるのですが、自分に負けない気持ちは強くなりました。

子どもの頃はすごく人見知りだったのですが、こうやって人前でしゃべったりするタイプになるとは思わなかった(笑)。クライミングを通して自分の世界観も広がりましたし、どんなことにもチャレンジできるようになりました。

---:プライベートはどのように過ごしていますか?

野口:友だちとご飯に行ったり、ご飯を作ったり、買い物をしたりと、かなり普通です。でも、クライミングをやっている時間が一番楽しいですね。

---:今後クライミングを始める人もますます増えていくことが予想されますが、どんな性格、体格の人がクライミングに向いていますか?

野口:日本人は向いていると思います。手先が器用というか、体をうまく使えるし、指先や、重心移動の感覚が優れている。クライミングは奥が深いです。ひとつのことを極めるのが日本人は得意なので、性格的にも向いていると思います。リードやボルタリングは難易度を競うものなので、特に向いていますね。

ボルダリングW杯八王子大会の課題に挑む

残り1秒で完登した第3課題

---:5月7日に行われたボルダリングW杯八王子大会は惜しくも2位でした。反省点などありましたか?

野口選手:予選から決勝まで通して登れなかった1課題があったので、そこが反省ポイントです。決勝の第3課題も苦手としていた課題なので、苦手を克服しなければいけない(第3課題は残り1秒で完登し、会場を沸かせた)。しっかりと(気持ちを新たに)切り替えてトレーニングしていきたいと思います。

---:今後の目標を教えてください。

野口:選手としては、東京五輪で金メダルを獲得することです。クライミングを通して世界観が変わったので、クライミングには感謝しています。その恩返しとして、さまざまな人に競技の面白さを伝えていきたいです。

●野口啓代(のぐち あきよ)
1989年5月30日生まれ、茨城県龍ヶ崎市出身。茨城県山岳連盟所属。スポーツクライミング日本代表(ボルダリングS代表、リードA代表)。2016年からKDDI株式会社が結成した「TEAM au」のメンバーとしても活動。2005年7月世界選手権ドイツ・ミュンヘン大会リードで3位となり日本人女性初の表彰台を獲得。2009年、2010年、2014年、2015年にボルダリングW杯年間総合優勝。ボルダリングジャパンカップは2005年第1回大会から9連覇、2016年に通算10回目の優勝を達成。牧場だった実家に父・野口健司氏がプライベートウォールを設置し、ホールドを輸入販売する「THE FARM climbing hold depot」を経営している。

《大日方航》

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