そもそも、今回両崖山から天狗山のコースを歩いてみようと思ったのは、何より「天狗山」のネーミングに惹かれたから。黒田硫黄著の「大日本天狗党絵詞(漫画)」を読んで以来、すっかり「天狗」に魅了された筆者だから、「天狗」の名前がついた山が近くにあると知れば、登らずにはいられない。
さて、この天狗山であるが、同名の山が日本全国あちこちにある。山名に天狗の文字がなくても、山と天狗は切っても切れない関係で、霊峰と知られる山には必ず天狗がいるらしく、そもそも天狗は山の神という意味らしいし。足利市の天狗山も、きっと天狗と関係する山なのだろう。登ってみたら、その真意がわかった……気がする。
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山頂付近の岩は、かなりの急勾配
両崖山の山頂(足利城跡)を下りてすぐのところに、天狗山の登山道を指す道しるべがある。そのまま案内通りに進むと、ザレた下りの登山道。下りとあれば、自然と足早になる。早足が自然と小走りになり、小走りになって10(テン)も数えないうちに、激しく転倒(テンとう)。痛みをこらえて起き上がり、やってきたのは山頂付近の大きな岩。
それは“天(テン)”まで届きそうなほどに高く険しく、そして篆書体(テンしょたい)のように美しく。その様子は、まるで天狗の鼻のよう。「なるほど、それで天狗山か」と合点(がテン)がいった…(てんてんてん)。(実際のところ、山名の由来はいざ知らず)。