【山口和幸の茶輪記】21年連続でツール・ド・フランスの完走を目指す | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【山口和幸の茶輪記】21年連続でツール・ド・フランスの完走を目指す

オピニオン コラム
IDカードとクルマに貼るステッカーを受け取る。関係車両のブルーピンクは、競技の間に入れないけど、先行する広告キャラバン隊を1日1回だけ追い越していいというルール
IDカードとクルマに貼るステッカーを受け取る。関係車両のブルーピンクは、競技の間に入れないけど、先行する広告キャラバン隊を1日1回だけ追い越していいというルール 全 12 枚 拡大写真
ツール・ド・フランスの全日程となる23日間を単独で追いかけるようになって21年目、取材に関わるようになって30年となるが、世界最大の自転車レースとともに真夏のフランスをかけめぐる壮大な旅は何度経験しても不安で、それでいながら感慨深いものがある。

2016年の大会を終えて帰国してすぐに手術。それから11カ月はツール・ド・フランス取材のためのトレーニングに明け暮れた。どんなに体調を整えても終盤戦にバテてしまうので、事故などの取り返しのつかない事態を誘発しかねない。そんな不安は年を重ねるにつれて強くなるので、その対策として身体を鍛えるしかない。

そのおかげで今季は体脂肪率、BMIとも過去最高のコンディションで臨むことになったのだが、それでも不安だ。クルマで随行するボクたち記者でさえパリにたどり着けるか定かじゃないのだから、自転車で走る選手はそれ以上に過酷だろう。

積算トリップメーターは11km。23日間で5000kmを乗り回す

東京中日スポーツの派遣記者として全日程を追いかけるようになったのが1997年。初日のスタートラインに立ったとき「無事にパリまでたどり着けるんだろうか?」と不安で胸が押しつぶされそうだった。以来20年間、距離にして10万kmを無事故1違反(路上駐車ね)、一度も身体を壊すことなくなんとか取材を重ねてきた。

今回はドイツで開幕するとあって、日本からJALでフランクフルトに飛んだ。デュッセルドルフにはANAの直行があって、しかもスタート/フィニッシュ地点は空港のすぐ近く、日本から唯一参戦している新城幸也の滞在ホテルは空港直結だったが、ボクのクルマがフランクフルトにしか陸送されないのでこんな旅程になった。

過去コラムでも紹介したが、フランスには外国人の免税特権で新車を購入できるシステムがある。

【山口和幸の茶輪記】フランスには外国人が免税で新車を購入できるシステムがある

ツール・ド・フランス取材は21回目だから、ボク名義の新車はこれで21台目となる。パリからフランクフルトまで陸送された今回は、ピックアップの約束をしたガレージ近くのホテルを取ったのだが、そこに向かう幹線は歩道がないので森の中のサイクリングコースを通ってかなり遠回りしなければならないことが現地で分かった。ヤレヤレって感じだったが、日本でジョギングの練習もしていたのでうれしい限りだ。

サイクリングロードの案内板。馬も通るようだ

森の中のサイクリングコースは踏み固められた砂利道で、細身のタイヤのロードバイクでも快適に走れそうだった。距離は7kmあって、1km5分のペースで走らないと、280kmほど離れた場所で午後3時に開催される新城の記者会見に間に合わなかった。それでも意外といいペースで走り切り、すんなりとマイカーをもらったのだが、じつはデュッセルドルフまでの高速が大渋滞。新城の記者会見はギリギリだった。

こうして新城の恒例インタビューが済んでから、ようやくツール・ド・フランスのペルマナンスと呼ばれる大会本部に向かい、関係書類を受け取った。ペルマナンスはサルドプレスの一部にあって、ここに到達するまでにセキュリティが2つ設置されていた。関係者である承認として持ち込むバッグにタグをつけてくれるのだが、これがあるからってフリーパスではなく、毎日荷物検査を受けることになる。テロ対策なのでこちらとしても厳格にやってもらったほうがいいので、もちろん文句を言うところではない。

7回目の出場となる新城幸也。日本勢初のステージ優勝をねらっていく

そんなこんなで始まったツール・ド・フランス取材。ボクが全日程取材にこだわるのは、過酷な難所を切り抜けてパリに凱旋した選手の気持ちを共有したいからだ。

健康で仕事が続けられる限りツール・ド・フランス取材に関わりたいとは思っているけど、これからは毎年これが最後のつもりで頑張っていきたいと感じるようになった。そして今年も真夏のフランスを駆け抜ける男たちとともに無事にパリまで完走することを目標に頑張るだけだ。

安否のほどは、20年にわたって大会期間中に取材者日記をつづっている東京中日スポーツや、当サイトの連載コラム【山口和幸の茶輪記】などで確認できます。

《山口和幸》

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