近年のツール・ド・フランスは3週間と2日、つまり23日間の日程で開催される。要するに土日で始まり3週目の土日で終わるというわけだ。この23日間という最長のステージレースはジロ・デ・イタリア、ツール・ド・フランス、ブエルタ・ア・エスパーニャの3大会しかなく、近年は国際自転車競技連合の名の下にさまざまなルールが規定されている。
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地元の人たちが思い思いに選手に声援を送る
そのなかでも特徴的なのが「2日間の休息日を日程に組み入れること」だ。つまり最近のツール・ド・フランスは21レースと休息日2日で構成されているわけだ。もちろん大観客が期待できる週末に休息日が設けられることは興行的にない。疲れがたまり始めた第2週の平日、そして最後の勝負どころに突入する前の第3週の平日に設定される。だからたいていは月曜日だ。
取材者としてのボクが確信していることは、休日というのは選手のためにあるわけではないということだ。全日程を追いかける大会主催者、取材陣、スタッフのためのものだと確信している。じつはそれだけ休日設定は絶妙だ。洗濯物がたまる、仕上げなければならない原稿がたまる、ストレスがたまる。すべてを解決して安息を与えてくれるのが休息日なのである。
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記者の仕事場、サルドプレス
はたして選手が休息日に体を休めているのかというとそうではない。選手は休息日前日のレースを終えると、たいていはその日のうちに休息日を過ごす町まで移動する。そして休息日はいつもよりのんびりと起床して、50km程度の練習に出発する。23日間も自転車に乗る選手たちだけに、いきなり自転車をこがない日が訪れるとコンディションを落としてしまうからだという。
チームのメカニックやマッサー、主催者、取材陣、広告キャラバン隊たちは休息日のとらえ方がちょっと違う。選手たちは専用機やTGVで前日夜までに移動してしまうが、それ以外の関係者はゴール後にいつものように宿泊し、休息日には500kmの長距離を大移動しないといけないのだ。休息日なんて言葉はとんでもないよ。ボクらにとってあれは単なる移動日だ。
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お化けの出そうな館に泊まることも
今年はアルプスの北側の玄関口、シャンベリーで大会9日目を終えたので、休息地に設定されたフランス中西部のドルドーニュ地方まで580kmの大移動。それでも気持ちの上ではリフレッシュ。洗濯も原稿もしっかりと済ませて、心機一転でパリを目指す。23日間の長丁場でちょっとだけ一息つける1日なのである。
それでは長距離ドライブ、行ってきます!