村田諒太、判定負けから新たなスタート…10月にエンダムと完全決着へ | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

村田諒太、判定負けから新たなスタート…10月にエンダムと完全決着へ

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アッサン・エンダム(左) とWBA世界ミドル級王座決定戦で戦う村田諒太(2017年5月20日)
アッサン・エンダム(左) とWBA世界ミドル級王座決定戦で戦う村田諒太(2017年5月20日) 全 3 枚 拡大写真
判定結果に有明コロシアムが騒然となったあの日から2カ月半が過ぎた。ボクシングのWBA世界ミドル級1位の村田諒太(帝拳)が8月3日、アッサン・エンダム(フランス)と完全決着をつける再試合を行うことを発表した。

5月20日のWBA世界ミドル級王座決定戦。村田はエンダムに対して攻めの姿勢を見せ、4回にパンチを浴びせるとダウンも奪った。最終12回までもつれ込む熱戦となったが、勝負の行方は判定に委ねられ、その結果1-2(117-110、111-116、112-115)で村田はプロ初黒星を喫した。

華麗な足さばきと驚異的な回復力を見せたエンダムは、大きな見せ場こそなかったが手数の多さが決め手となりチャンピオンベルトを手に入れた。しかし、この判定はファンを中心に物議を醸し、ついにはWBAのヒルベルト・メンドサJr会長がツイッターを通じて謝罪のコメントをするすほどの騒ぎとなった。また、会長自ら試合を見直し、117-110で村田の勝ちとする判定を下した。そして「DIRECT REMATCH」と再戦の指令を出していた。


異例の事態に発展したが、ついに村田とエンダムが再び拳を交えることが現実となった。村田は与えられたチャンスに対して「ベストを尽くすだけですね。結果は神のみぞ知るところだと思います」と冷静に構えるが、自分が何をすべきか断言する。

「唯一手元にないのはベルトですので、それを持って帰ります」

前回の試合は、村田にとって初めてとなる世界トップレベルの相手との戦いだった。プロデビュー戦こそ「冒険マッチだった」が、それ以降の試合は「実力さえ出しさえすれば勝てる相手との試合」と振り返る。エンダム戦は村田の2度目のチャレンジになった。判定負けではあったが、エンダムへの感謝の気持ちを語る。

「その試合が今の僕を作ってくれていると思いますし、彼が(自分のレベルを)引き上げてくれたと思っています。そういった意味で次の試合ではもっといい試合をして、もっと強い僕を見せて、そして彼を超えてもっと先を見据えたいと思います」


5月の試合ではチャンスで詰め切れなかった部分があったと反省を見せる。エンダムの回復力を警戒し、自分のスタミナを気にして試合展開について考え過ぎてしまった。その一方で、自分の戦い方がエンダムに通用したことは自信につながった。

「試合前は自分自身に半信半疑の状態でしたが、今は自分を信じ切れることができるようになっています」

負けたからといって、自分のボクシングスタイルを一新することはない。これまで築いてきた村田の戦いをしながら、チャンスが来たら次はもっと攻める。

「(再試合でも)根本的には変わらないと思う。僕はプレッシャーをかけて、彼はアウトボクシングをする。その図式は変わらないと思う。むしろ図式を崩して打ち合ってくれたら、そんな美味しいことはないです」

アッサン・エンダム(手前) とWBA世界ミドル級王座決定戦で戦う村田諒太 (c) Getty Images

村田陣営は次戦でノックアウトも狙うと宣言した。村田自身も意識はするものの、「でもノックアウトばかり狙いすぎてカウンターをもらってもしょうがない。冷静に戦いながら、チャンスが来れば次は逃しません」と落ち着いた口調で話す。

議論を呼んだ判定についても「それは第三者が判定することですし、僕もそれに関しては何か言うつもりはありません」と過ぎたことに意見は出さない。10月に完全決着をつけることが、その答えになる。

アマチュア時代の村田には、2度の対戦で2戦ともに負けた相手がいた。アテネ五輪ウェルター級金メダリストのバフチヤル・アルタエフ(カザフスタン)だ。だが、同じ対戦相手との試合にも前向きに考える。

「アルタエフとの2回目の試合は非常にいい内容で負けた。1回目は人間対サンドバッグだったけど、2回目は接戦に持ち込めた。そういった意味でリマッチは苦手ではないと思います」

WBA世界ミドル級王座決定戦、4回に村田諒太がアッサン・エンダムをダウンさせた 《撮影 五味渕秀行》

再戦となるとお互いに手の内はわかっているが、負けたことは経験値となって積み重なっていく。10月のエンダム戦に向けた課題も明白だ。同じ失敗は繰り返さない。

だが、自分の置かれている立場について「評価は上がっているにしても前よりは崖っぷちの状況」と気を引き締め、「この試合に勝って、もっともっとチャレンジする試合をやっていきたい。トップ・オブ・トップにはカネロ(・アルバレス)、(ゲンナジー・)ゴロフキンがいます」

エンダムとは「友人のように話すような仲になった」と笑う村田。気持ちの持っていき方は難しいが、リング上では最善を尽くしてパンチを浴びせるだけだ。一度ははじき返されたエンダムという壁を乗り越えることで、ラスベガスにそびえるさらに強大なビッグマッチが見えてくる。

「勝って、そこにたどり着きたい気持ちがあります」

世界中のボクシングファンが注目することになる村田とエンダムの試合は、10月22日に両国国技館で行われる。ボクシングは「勝ったら新しいスタート、負けたらエンディングを迎える」と5月の試合前に語っていた村田。今週からトレーニングキャンプが始まり、判定負けからの新たなスタートが幕を開けた。


《五味渕秀行》

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