【THE INSIDE】この秋も戦国東都から目が離せない…大学野球探訪(7) | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【THE INSIDE】この秋も戦国東都から目が離せない…大学野球探訪(7)

オピニオン コラム

マウンドで相談する東洋大バッテリー、右は飯田晴海君(4年・常総学院)
マウンドで相談する東洋大バッテリー、右は飯田晴海君(4年・常総学院) 全 22 枚 拡大写真
9月も10日間が経過したが、その間に東都大学野球の秋季リーグ戦が開幕した。神宮球場の使用権の東京六大学連盟との兼ね合いや日程の都合で、どうしても平日開催となることは否めない東都大学野球である。

しかし、その質の高さは野球ファンにとっては見逃せないものとなっており、開幕を楽しみにしている人は多い。

毎年のことながら、東都リーグは“戦国東都”をキャッチフレーズとしているが、それは一部6校と二部6校の12校の実力差がそれほどなく、前期優勝校でもちょっと調整を誤ったりすると、簡単に最下位に沈んでしまうという危機感が常にあるからだ。

さらには2部優勝校との入替戦は「勝つと負けるでは天国と地獄」と言われるくらいに厳しい戦いとなる。それもまた、東都リーグの面白さのひとつだというファンもいる。もっとも、当事者としてはやはり厳しい戦いを強いられることは否めない。だから一部各校は、まずは何とかその「地獄の入替戦」を回避したいところから始まる。

神宮球場に掲げられている“戦国東都”のポスター

過去に一度だけリーグ優勝を果たした実績のある立正大の伊藤由紀夫前監督も、「ウチなんかですと、優勝を狙うということよりも、まずは、『勝ち点の2の5勝』これが目標ですよ。そこから初めて、上を見ることが出来て、『今季はどこまで行けるかどうかな』という意識になるというのが本音です」と、語っていたことがある。

もちろん各校とも、「優勝を目指す」という意識はあるのだろうが、多かれ少なかれ一部校は、消極的という意味ではなく、「何とか一部に残る権利を得ておかないと…」という意識が最初に念頭にあることは否めないのではないだろうか。そんな、上と下を常に睨みながらの戦いとなるのも、東都リーグの面白さともいえる。

今秋は15季年ぶりに一部昇格を果たした立正大の戦い方も注目されるのだが、その初戦は國學院大の山岡就哉君(3年・広島新庄)と立正大の釘宮光希君(3年・日大三)のエース同士が緊迫した投手戦を展開して、いきなり延長にもつれ込む熱戦だった。最後は立正大が延長11回に佐々木斗夢君(2年・北照)が代打サヨナラ本塁打で決めるという劇的なものとなった。

立正大の坂田精二郎監督は、「東都のレベルの高さと厳しさをアピールしていくためにも、ウチにとっては今後を占っていくためにも、とても大事な初戦でした。延長に入ってもベンチからもよく声が出ていて、ベンチ全員で打たせた一発でした」と、サヨナラ本塁打について興奮気味に話していた。そして、十分に一部で戦って行けるぞということを実感していた様子だった。

15季ぶりの一部復帰で活気あふれる立正大

また、春季リーグの王者・東洋大も開幕戦で日大に敗れて黒星スタートとなった。実は、春も連敗から始まっていたのだが、ベテラン高橋昭雄監督は、「春はねぇ、そこから切り替えが上手くいったんだけれどもね…。その後の選手権(初戦)で負けて、あれからどうも雰囲気がよくなくて、ムードが上がり切れないまま秋を迎えちゃった感じだね…」と、開幕戦当日は嘆き節もあったが、2回戦ではすっかり立て直して、3回戦も制して勝ち点を奪ったあたりはさすがである。

わずかな気持ちの緩みも許されない緊張感の続く、2ヶ月の戦いとなるリーグ戦。4年生にとっては最後のシーズンでもあり、4年生の力がチームを勝たせるということもあるくらいだ。

チームの雰囲気としては、修徳での指導実績もある國學院大の鳥山泰孝監督は、高校野球以上に活気のあるチームを作り上げてくるところでも定評がある。春も、あと1勝というところで優勝を逃しているが、「結果ではなくて、チームを作り上げていくプロセスを大事にしていきたい。その中で、学生野球ならではというものが生み出されてくるはずだ」という意識にはブレがない。

相手校のシートノックを見つめる國學院大

そうして、毎シーズンのように優勝争いに絡んできている。そろそろ、結果がついてきて10年秋以来のリーグ優勝を果たしてもいいというくらいに、機は熟したはずである。第1週は2戦、3戦は奪い返して勝ち点1のスタートとなった。

1931(昭和6)年に専修、中央、國學院、日大と東京農大の5校でリーグがスタートしたが、その発足校のうち、専修が今春に最下位となり入替戦で立正大に敗れて、農大とともに二部に沈んでいる。そして、二部リーグ戦も厳しい戦いとなるが、こうした新陳代謝で刺激を受けながら切磋琢磨していくのも東都の面白さでもある。

11年以降では、最も優勝回数の多い亜細亜大を今季も優勝候補筆頭に押す人も多いが、04年秋以来優勝から遠ざかっている中央も、今季は機をうかがっている。群雄割拠の混戦となることは必至である。この秋もやはり、目が離せない“戦国東都”の戦いである。

《手束仁》

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