【THE REAL】アジアの4強をかけた浦和レッズとの決戦へ…川崎フロンターレ・中村憲剛が抱く思い | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【THE REAL】アジアの4強をかけた浦和レッズとの決戦へ…川崎フロンターレ・中村憲剛が抱く思い

オピニオン コラム

アジアの4強をかけた浦和レッズとの決戦へ
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勝敗を左右するアウェイゴールの差


先勝した川崎フロンターレが逃げ切るのか。浦和レッズが大逆転劇を再現するのか。日本勢が対峙するAFCチャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝セカンドレグは9月13日、埼玉スタジアムでキックオフを迎える。

8月23日に等々力陸上競技場で行われたファーストレグでは、フロンターレが3‐1で快勝している。この結果を受けて、セカンドレグでは勝利はもちろんのこと、引き分けてもベスト4へ進出できる。

1点差の負けでも2戦合計のスコアでレッズを上回るため、優位に立つ状況は変わらない。もっとも、2点差の負けとなると、ファーストレグでレッズが報いたアウェイゴールの存在が状況を一変させる。

2戦合計のスコアがイーブンとなった場合は、アウェイゴールの多いチームの勝ち抜けとなる。たとえばレッズが2‐0で勝てば2戦合計で3‐3となり、アウェイでゴールしているレッズに軍配が上がる。

3‐1でレッズが勝てばすべてが並ぶため、15分ハーフの延長戦を実施。それでも決着がつかない場合はPK戦で雌雄を決する。逆に勝っても4‐2ならば、アウェイゴールで上回るフロンターレが準決勝へ進む。

つまり、最初の1点をどちらのチームが奪うかで、戦況は大きく変わってくる。フロンターレなら3点以上が必要となるレッズが前へかけるプレッシャーをより強めてくるし、レッズならば一気に混沌としてくる。

フロンターレとしては守備に重心を置いたほうが、試合を優位に運べるかもしれない。それでも大黒柱のMF中村憲剛は「頭を切り替えなきゃいけない」としながら、セカンドレグに臨む心構えをこう説いた。

「ファーストレグの結果をへての戦いですけど、やるべきことは変わらない。アウェイゴールを取りにいくところは変わらないし、つまりは自分たちのいまのサッカーを貫くことがすごく大事になってくる」

ファーストレグではフロンターレが快勝
(c) Getty Images


中村が指摘する「自分たちのサッカー」とは


在籍15年目を迎えたバンディエラ、36歳の中村が指摘する「自分たちのいまのサッカー」とは、今シーズンから指揮を執る鬼木達監督のもとで、夏場になってようやくたどり着いた理想のスタイルでもある。

昨シーズンまで4年半率いた風間八宏監督(現名古屋グランパス監督)が掲げた、ボールも人も絶えず動き続ける究極のポゼッションサッカーは昨シーズン、クラブ史上最多の年間勝ち点72となって花開いた。

ヘッドコーチから昇格した鬼木監督は、一度高められた技術は簡単には落ちないという前提のもと、前任者のスタイルに守備の意識を融合させた。具体的には「攻守の切り替えの速さ」と「球際の激しさ」となる。

シーズン序盤は不本意な戦いが続いた。新監督の指針を意識するあまり、ストロングポイントとしていた、相手を握り倒すスタイルが「ピンボケしていたところがあった」と中村は続ける。

「いまは自分たちの頭のなかも整理されてきて、オニさん(鬼木監督)のやりたいサッカーを体現できるようになった。ボールをもったときに相手を握り倒すのもそうだし、取られた瞬間に切り替えて、球際のところで戦えないと試合にも出られないと、練習の段階からみんなが口を酸っぱくして言い合っている」

象徴的なシーンが9日の横浜F・マリノスと対峙した、明治安田生命J1リーグ第25節の後半30分に飛び出した。敵陣の中央でマリノスのボランチ、扇原貴宏が後ろ向きでパスを受けた瞬間だった。

死角から入り込んだ中村が強引にボールを奪い、そのままショートカウンターを仕掛ける。最後はMF家長昭博がダメ押しの3点目を奪った一連の動きが、ベテランの口調を弾ませる。

「自分たちのサッカーというものが、自分たちのなかではっきり見えている。言葉だけが独り歩きしている状態じゃないことは、すごく大きいと思う」

鍵は自分たちのサッカーを貫くこと
(c) Getty Images


ホーム&アウェイで味わった悔しさと歓喜


セカンドレグでもフロンターレは主導権を握り、レッズがどのような布陣で臨んでくるにせよ、必ず生じる隙を中村やボランチの大島僚太、前線の小林悠、阿部浩之、家長が流動的に動きながら探って突いてくる。

一方のレッズはホームとアウェイで、たとえるなら90分ハーフで戦う大一番で、この1年で悔しさと歓喜を味わってきた。悔しさは鹿島アントラーズと対峙した、昨シーズンのJリーグチャンピオンシップ決勝だ。

敵地でのファーストレグを1‐0で制しながら、ホームでのセカンドレグを1‐2の逆転負けで落とした。2戦合計で2‐2ながら、アウェイゴールの差で10年ぶりの王座を逃した苦い思いはいまも忘れられない。

歓喜はまだ記憶に新しい、ACLの決勝トーナメント1回戦となる。済州ユナイテッドFC(韓国)に敵地で0‐2と苦杯をなめながら、ホームで行われた5月31日のセカンドレグを2‐0として、もつれ込んだ延長戦でDF森脇良太が劇的な決勝ゴールをあげた。

もっとも、当時指揮を執っていたミハイロ・ペトロヴィッチ監督は7月末に解任され、堀孝史コーチが後任を託された。1‐3で完敗したファーストレグを、就任からわずか3週間あまりで迎えていた。

しかも、先発メンバーに予定していた司令塔・柏木陽介がアップ中に、左足のつけ根に異変を訴えてプレーが不可能となる予期せぬアクシデントも発生していた。希望を紡ぐアウェイゴールをあげたMF武藤雄樹も累積警告でセカンドレグが出場停止となるが、それでも堀監督は努めて前を向いていた。

「アウェイで1点を取って浦和に帰れることをポジティブに考えて、次のゲームに臨みたい」

クラブ側も埼玉スタジアム窓口で取り扱う当日券を、前売り券価格で販売することを決定。最寄りの埼玉高速鉄道線・浦和美園駅からのシャトルバスの往路も無料運行にするなど、強力な後押しを展開している。


何が起こるかわからない一発勝負の怖さ


一発勝負では何が起こるかわからない。サッカーがもつ「怖さ」をあらためて教えられたのが、12日に行われた上海上港と広州恒大の中国勢同士によるACL準々決勝のセカンドレグだった。

ファーストレグで0‐4の惨敗を喫した広州恒大だったが、絶対にあきらめない執念が奇跡のゴールラッシュを導く。ホームでのセカンドレグを4‐0で90分間を終え、勝負の行方は延長戦へと委ねられた。

退場者を出した上海上港がリードを奪うも、終了間際に広州恒大が同点に追いつく死闘はPK戦の末に、上海上港に凱歌があがった。フロンターレもしくはレッズが勝ち抜けば、準決勝で上海上港と対戦する。

フロンターレはクラブ史上初、レッズは2007、2008年に続く3度目のベスト4進出をかける。フロンターレが出場した5度のACLすべてを経験している中村は、「年を取ったよね」と笑いながら自信を込める。

確固たる自信をもち敵地へ乗り込む
(c) Getty Images

「もちろん技術やアイデアというところもあるけど、攻守両面においてしっかり走り切るところを誰一人としてさぼらないという、チームとしてすごく大事にしているベースがある。そのうえでボールをもてば、勝手にできるところが僕たちにはあるし、相手のこともよく見られるようになってきた」

直近のJ1の軌跡を比較すれば、6戦連続負けなしで2位に浮上したフロンターレに分があるだろう。リーグ最少失点のマリノスから3ゴールを奪い、なおかつ5試合ぶりの完封も達成して敵地に乗り込む。

もっとも、7月5日のリーグ戦でレッズに4‐1と快勝した直後に、中村はこうも語っていた。

「次はまた違うシチュエーションになるだろうし、いまの浦和じゃないと思う」

今シーズンに奪った2勝の舞台は、ともに等々力陸上競技場だった。果たして、埼玉スタジアムでどのようなドラマが生まれるのか。運命のキックオフの笛は19時30分に鳴り響く。

《藤江直人》

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