■おもてなしの実現に向けて
goo旅行AIサービスは、同社が開発中の「gooのAI」を活用したサービスの第2弾という位置づけ。AIがユーザーとの対話を通じて、いまの気分に沿った旅行先を提案する。具体的には、AIからの問いかけ「今の気分は?」から対話がはじまり、用意された選択肢や自由回答を通じてユーザーが希望を伝えていくことで、ベストな旅行先を提案してくれる。NTTレゾナントでは「ユーザーのあいまいな現在の気分から、旅行に求めているもの、真にやりたいことを探索していく」と説明している。
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同社ではこれまで、AIが恋愛相談を行う「教えて!goo 恋愛相談」や、特異なキャラクター性を持ったAIの回答が楽しめる「キャラクターAI」を展開してきた。その次のステップに今回のgoo旅行AIサービスがある。説明会に登壇したNTTレゾナント 代表取締役社長の若井昌宏氏は「技術を活かした”おもてなし”の実現を目指していく」と説明した。
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会場では実際にデモがおこなわれていた。AIから「ご機嫌はいかがですか?」の問いかけに、「涼しくなってきて嬉しい」「体調が良く元気いっぱい」「最近、時間に余裕がある」「湿気が高くイライラする」などの選択肢が並ぶ。自由回答で「仕事が忙しい。のんびりしたい」と文字入力すると、のんびり過ごせる観光地などが表示された。
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1回のやりとりで目的地をサジェストすることもあれば、何回もやりとりをした末の提案になることもあるようだ。ここでAIが参照しているのは、gooブログやgoo地図、goo旅行などをはじめとした、同社の蓄積する旅行に関するデータ。このため季節によっても結果が異なる。またソーシャル上の話題を参照、今が旬の観光地を薦めることもできるという。
■NTTレゾナントが目指す未来像とは?
事業説明会では、NTTレゾナントが目指す未来のビジョンが示された。同社では、教えて!goo 恋愛相談で「回答文章の自動生成」を、キャラクターAIで「自然な対話技術」を磨いており、goo旅行AIサービスでは「ユーザーの興味/ 気分を判別する技術」を手に入れたい思惑がある。その先に見据えているのは、NTTレゾナントならではの発想を世界最先端の技術で実装することだという。
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ポータルサービス部門長の鈴木基久氏は、LINEが提供する「Clova」など他社が展開するスマートスピーカーを日常的に使用しており、そのメリットとデメリットについて身をもって実感していると明かした。「タッチディスプレイのスマートフォンが登場し、対話型のスマートスピーカーが出始めた。次にどんなインターフェースがトレンドになるのかは分からない」と鈴木氏。まだ見えてこない将来のデバイスとサービスのために、いまはAIを育てている、そんなところだろうか。
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ところで、それほど遠くない未来の話として、IoT時代の到来がある。NTTレゾナントでも、これに備えて日本発のプロジェクト「gSntk」を進めている。対話形式でユーザーの日常生活を変革することを目的にしたもので、テレビ、エアコン、照明、玄関の鍵、防犯センサーなどと連携することを考えている。関係各社とは、すでにアライアンスの話に移っているとのこと。なお同社では20日、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県に在住の世帯を対象に、一般モニターの募集を開始している。
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事業説明会で鈴木氏は、ドラえもんやハロ(機動戦士ガンダム)、R2D2(スター・ウォーズ)といった、未来を舞台にした映画やマンガに登場する対話型ロボットの名前を出していた。AIの育成が進んでいけば、(究極の形としてだが)そうしたロボットの開発にもつながるということだろう。
対話型デバイスの場合、ローカルの言語の処理能力の高さが使い勝手に大きく左右してくる。この点ではグローバルで展開する海外の企業よりも、日本市場に言語サービスを展開する日本の企業に地の利がある。NTTレゾナントにはNTTグループのアセットもあり、この分野で先行すれば大きな強みとなりそうだ。同社の今後の取り組みに注視したい。