【THE REAL】いざ、念願の日本代表デビューへ…鹿島アントラーズの若武者、DF植田直通の武者震い | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【THE REAL】いざ、念願の日本代表デビューへ…鹿島アントラーズの若武者、DF植田直通の武者震い

オピニオン コラム
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10月シリーズで目指す日本代表デビュー


勝負をかける舞台は整った。約2年9ヶ月も待ち焦がれてきたA代表デビューへ。巡ってきたチャンスを必ず生かしてみせる。鹿島アントラーズの若武者、22歳のDF植田直通が決意を新たにした。

ニュージーランド代表(10月6日、豊田スタジアム)、ハイチ代表(同10日、日産スタジアム)とのキリンチャレンジカップ2017に臨む日本代表メンバーが9月28日、日本サッカー協会から発表された。

招集されたのは総勢24人。そのなかにはオーストラリア、サウジアラビア両代表とのワールドカップ・アジア最終予選を戦った、まだ記憶に新しい前回シリーズに続いて植田の名前も含まれている。

日本代表にとって6大会連続6度目のワールドカップとなる、来年6月開幕のロシア大会出場を決めているバヒド・ハリルホジッチ監督は、国内で行われる10月の2連戦をこう位置づけた。

「今回の合宿では、これまであまり出ていなっかった選手に出場機会を与えたい。2試合とも違ったメンバーで戦うことになると思う。それぞれの選手がチャンスをつかんでほしい」

植田が初めてA代表に招集されたのは2015年1月。オーストラリアで開催されたアジアカップに、故障で辞退したDF内田篤人(当時シャルケ、現ウニオン・ベルリン)の代わりに追加された。

しかし、ハビエル・アギーレ前監督に率いられていた当時の日本代表のセンターバック、吉田麻也(サウサンプトン)と森重真人(FC東京)が築いていた壁は高く、険しかった。

代表ベンチに座る植田(右)
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アントラーズの2年先輩、昌子源とともに出番のないまま日本は準々決勝で敗退。悔しさを押し殺しながら、まだ20歳だった植田はこんな言葉を残している。

「A代表の先輩たちが真剣勝負を繰り広げている姿を、間近で見ることができた点ですごくいい経験にはなった。普段はどのような生活をしているのかもわかったので」

鹿島アントラーズの先輩・昌子源から受ける刺激


昨夏のリオデジャネイロ五輪、そしてアントラーズの一員として獲得した二冠を糧に、心技体でひと回りたくましく成長したいま、A代表で先輩たちと同じ時間を共有しているだけでは物足りない。

「自分は代表にいっても、いつも試合に出られない。悔しさを感じているなかで、もっと成長しなければいけないということもわかっている。来年のロシア大会まで残された時間は少ないですけど、日々の練習から貪欲に取り組んでいければ」

直近のハリルジャパンを振り返れば、オーストラリア戦は23人のベンチ入りメンバーのなかにすら入れず、埼玉スタジアムのスタンドでFW杉本健勇(セレッソ大阪)らと日本の快勝劇を見届けた。

ワールドカップ出場を決めてから5日後。舞台を敵地ジッダに移して対峙したサウジアラビア戦ではベンチ入りこそ果たしたものの、ハリルホジッチ監督から声がかかることはなかった。

先発フル出場したのは吉田と、6月シリーズから森重に代わった昌子。アントラーズでディフェンス陣を束ねる昌子もまた、A代表への初招集から約2年8ヶ月もの雌伏の時期を強いられてきた。

「いつも隣でプレーしている選手が日の丸を背負って戦っているので、やっぱり自分も、という気持ちになります。負けていられない、いつか必ず追い越してみせる、という思いでプレーしています」

昌子源
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若きセンターバックコンビを組み始めたのが2014シーズン。お互いに切磋琢磨して、ライバル勢の追随を許さない「19」ものタイトルを獲得した常勝軍団の最終ラインを支えてきた。

ミスが失点に直結してしまうポジションゆえに、責任の重さに打ちひしがれたときも少なくない。だからこそ、努めて前を向く昌子の背中が羅針盤になった。アントラーズのディープレッドから日本代表のブルーにユニフォームが変わっても、刺激し合う関係は変わらない。

劇的な決勝ゴールとともに飛び出した雄叫び


1995年の早生まれで、植田とは同じ学年になるセンターバックの三浦弦太(ガンバ大阪)も、6月シリーズからハリルジャパンに名前を連ね始めた。オーストラリア戦ではベンチ入りも果たしている。

代表発表の5日前に、ガンバをホームのカシマサッカースタジアムに迎えた明治安田生命J1リーグ第27節が行われた。後半アディショナルタイムに雄叫びをあげ、ヒーローになったのは植田だった。

MF永木亮太が蹴った右コーナーキック。マーク役のDF金正也を引きはがし、反対側からニアサイドへポジションを移してきた植田が完璧なタイミングで宙を舞い、武器であるヘディングを見舞った。

「今日の試合は絶対に勝つしかなかったので、最後の最後、絶対にチャンスが来ると信じていました。こういう(拮抗した)試合はセットプレーが勝敗を左右するので、あの場面では自分が決めてやるという気持ちで上がっていった。それが通じて、ボールが自分のところに来たのかなと思います」

1‐1の均衡を破り、アントラーズを5連勝に導く劇的な決勝ゴール。しかも、スタンドにはハリルホジッチ監督が視察に訪れていた。迎える10月シリーズ。三浦の名前はリストに書き込まれなかった。

「植田は週末のガンバ戦で非常にいいプレーを見せてくれた」

メンバー発表会見でハリルホジッチ監督から称賛された植田だったが、もちろん満足などしていない。リーグ戦を例にあげれば、アルビレックス新潟戦、ガンバ戦と連続して先制を許しているからだ。

「最近は逆転勝ちするパターンが多いのもいいことかもしれないですけど、ディフェンスとしてはやっぱり失点をゼロに抑えて勝ちたいという気持ちがあるので。先に失点するとゲーム展開的にも難しくなるので、そこはこれからの課題だと思うし、これからも厳しさをもって練習していきたい」

1対1におけるすべての局面で勝つために


186センチの身長は昌子を4センチ上回り、10月シリーズで招集されたセンターバック陣では吉田の189センチに次ぐ高さとなる。もっとも、ガンバ戦でもぎ取ったゴールはJ1通算3得点目だった。

「ようやく取れて、申し訳ないという気持ちもあります。Jリーグも残り試合が少ないですけど、得点を狙っていければ。もうひとつも落とせないし、優勝へ向けて全員でしっかりと戦っていきたい」

2015年4月16日の柏レイソル戦でプロ初ゴールを決めてからは、今年3月18日の清水エスパルス戦まで無得点が続いていた。高さが武器と自負するだけに、忸怩たる思いも募らせていたのだろう。

小学生時代にサッカーとの二刀流で挑んだテコンドーで叩き込まれた、強靭なフィジカルと旺盛な闘争心、そしてサイズの相乗効果で威風堂々としたオーラを放つ男は「成長」の二文字に対して貪欲だ。

「自分はまず1対1で負けないことが一番だと思っている。すべてで勝ちたい。空中戦も含めて、自分が得意だと考えているプレーをもう一段階、二段階とあげていかなければ世界とは戦えない。もっともっとスキルをアップさせていかないといけない」

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リオデジャネイロ五輪を戦い直後の昨年夏。けがで辞退した昌子に代わり、アジア最終予選の初戦に臨もうとしていたハリルジャパンへ初めて招集された。指揮官は当時から植田を高く評価していた。

「植田はかなりのポテンシャルがあり、パワーもある。A代表にはパワーが足りないので、植田のような選手が必要だ」

あれから1年あまり。アントラーズは2位の川崎フロンターレに勝ち点で8ポイント差をつけて、7試合を残して独走状態に入ろうとしている。敵地でサガン鳥栖と対峙する30日の次節を勝って連覇への足元を固め、気合いも新たにA代表デビュー戦に臨む。青写真はもうできあがっている。

《藤江直人》

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