【山口和幸の茶輪記】自転車の部品破損でそのよさを再認識する | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【山口和幸の茶輪記】自転車の部品破損でそのよさを再認識する

オピニオン コラム

車両が通過できる日本最高峰、大弛峠を行く。今回は自転車で走ってないので過去画像です
車両が通過できる日本最高峰、大弛峠を行く。今回は自転車で走ってないので過去画像です 全 10 枚 拡大写真
パーツ損傷でサイクリング断念。自転車で上るはずだった日本最高峰の峠までクルマで行って、展望台まで10分歩いて写真を撮ってきた。この物足りなさと敗北感。

でも普通の観光客ってこんな旅なんだよね。自転車で目的地を目指すってものすごい達成感が味わえて幸せなんだと再確認できたのが収穫だった。

気持ちいい秋の1日。この日はクルマに自転車を積み込んで山梨県に向かい、車両が通過できる日本最高峰の峠、標高2365mの大弛峠を目指す予定だった。かつてここは国内最高峰の峠と畏怖されたオフロードだった。ところが山梨県側の南面が全面舗装され、ロードバイクで日帰りすることも可能に。それは20年前には想像もできなかったことだ。

車両が通過できる日本最高峰の峠、標高2365mの大弛峠

じつはこの大弛峠、ぼくにとっては思い出の地だ。30年前に自転車専門誌「サイクルスポーツ編集部」に配属され、最初の出張がMTBで日本横断するという企画。そのときこの大弛峠を通過した記憶がある。柳平という最後の集落にゲートがあって、それが日暮れとともに閉鎖されていたのでしかたなくゲートの前にテントを張って野営。ヤブをかき分けて渓流に降りて、飯ごう炊飯のお米をといだ記憶まで鮮明にある。

10年後にはその会社を離れて他誌にも執筆することになるのだが、東京中日スポーツをはじめすべての自転車主要誌でこの大弛峠実走レポートを執筆した。それほどまでサイクリストにおすすめのコースなのである。

コースの出発地は健脚派なら南麓の牧丘町がいい。標高500mくらい。スタートすると北に向かってほぼ一直線に向かう急坂が出現。じつは全行程でこの序盤が最もキツい。15km地点で柳平の集落があり、ここが標高1500m。通行を規制する思い出のゲートが出現し、峠まではあと14kmという表示がある。ここから先はいったんキツくなるものの、しばらくすると平坦かと錯覚するほどの緩やかな上りが数km続く。ここまでの激坂に苦戦しただけに、まるでツール・ド・フランスの山岳スペシャリストになったかのように突っ走れる。

徐々に森林限界にも近くなり、光景がパッと広がる。最後は山の尾根を回るようにして標高2365mの頂上に到着する。その達成感は格別だ。登山客が「自転車で来たの!」と驚いて声をかけてくれる。10月中旬には紅葉が見ごろとなるだろう。

なんてスラスラと記述できるのも、過去に何度も上ったことがあるからだ。白状すると今回、ロードバイクでは上れなくて悲しいかなクルマで大弛峠を上ったのである。じつは高性能ロードバイクでありながら、1000円くらいで購入できるパーツが破損してしまったのだ。トホホ。

クルマで峠まで上り、スニーカーで展望台まで行って写真を撮ってきた

都心部の朝の渋滞を避けるために早朝にクルマで出発し、3時間足らずで柳平に到着した。前述したように大弛峠は健脚派だったら牧丘町の道の駅「花かげの郷まきおか」をスタートするのがいいのだが、54歳のボクには序盤の直線的激坂がとても重荷で、コース中盤にある柳平を出発地とするのが現実的だ。柳平の手前には琴川ダムがあり、ここには駐車場とトイレがある。クルマを自転車に積んで目的地に移動するサイクリストにはとってもいいロケーションなのだ。

自転車を組み立てたところに側溝の穴があったので、「こんなところにネジ落としたら終わりだよね」と、いつもよりキツめにシートクランプを回した。シートクランプとはサドルを取りつけている円形のチューブをフレームに固定するために用いられる金属製のパーツだ。いつもよりちょっと強めに六角レンチで締めつけたら、おそらく購入後7年の劣化もあったのか、シートクランプのネジ山をねじ切ってしまった。つまりシートチューブを固定することができなくなってしまった。こんな小さなパーツでも壊れたら乗れなくなるのが自転車のいいところです(泣)。

サドルが固定されなかったら自転車には乗れない。お尻を浮かせて走るダンシングポジションで走れと言われればそうするが、距離15kmの最高峰を目指すのは無謀だ。安定しないダウンヒルでは命の危険もある。この日はせっかく現地まで行ったのに、観光をして帰路に着くことになる。

自転車って壊れるときは壊れる。日常のメンテが大切だ

まあ、自転車をする限り、このようなトラブルはみな少なからず経験しているものだ。多くは日常の整備不良がたたり、肝心のときに走れないことに気づくこと。しっかりと整備をしていても部品の耐久性がその日終わりを迎えるということもある。さらにはペダル、車輪を止めるシャフトやネジを自宅に忘れたというポカもある。シューズをレース会場に忘れ、スニーカーで走ったというプロ選手もいるようだ。

サイクリング歴30年のボクがあえてエラそうにアドバイスするなら、出発前に忘れ物がないかチェックしましょう。普段から自転車を整備しましょう、ということ。自転車を整備するならできれば1週間前にやるのが正解。例えば出発前夜に整備して不具合が見つかってもすでに自転車ショップは閉店していたりする。社会人なら平日はショップに行けなかったりする。ボクのような残念な思いをしないようにね。

《山口和幸》

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