【THE INSIDE】秋季地区大会…東京都大会の特殊性と苦労 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【THE INSIDE】秋季地区大会…東京都大会の特殊性と苦労

オピニオン コラム
「関東一・専修大附」の試合挨拶を終えて
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10月に入り、日本列島各地で高校野球の秋季地区大会が開催されるようになる。これは、来春の第90回選抜高校野球大会(以下センバツ)の代表校選出に大いに影響のある大会でもある。

センバツは、あくまでも招待大会という発想が原点にあるので、「秋季大会=選抜大会予選」ということは公言されてはいない。しかし、秋季大会の上位校がそのまま選出されるというケースがほとんどである。それだけに秋季大会では、ことに県大会から上位校がその先の地区大会へ進出してそこで上位に残ることは、そのまま春の甲子園をつかむことに直結していると言っても過言ではない。

夏の大会を終えて新チームが誕生し約2カ月半で、檜舞台を意識した戦いを求められることになるので、やはり選手たちもプレッシャーは感じられることであろう。また、我々見る側としては、フレッシュな活躍を見せてくれる学校の登場や、ニューヒーローとなれるような選手が出現してくれれば、さらに盛り上がっていくというものだ。

秋季大会は、新チームができて間もないだけにフレッシュさもある

そんな秋季大会だが、関東地区では東京都大会は独立した大会となっていて、関東大会と同列の大会という扱いとなっている。春季大会は東京都代表として関東大会に出場しているが、秋は独立しているという形になる。それだけに、秋季大会での東京都大会の特殊性を感じている人も少なくはないはずだ。

センバツ代表が地区大会の上位校から選出されるようになった当初は、東京都も関東地区大会に参加していた。当時は、関東一都七県(地区割としては山梨県を含む)の1位校が集結して関東大会が開催されていた。そして、そこから2~3校が選出されて出場していた。

だから、関東からの甲子園出場は、夏の大会よりもハードルが高かったともいえる。それが、1956(昭和31)年の秋季から、東京都大会が独立した。そして、持ち回り開催となっている関東地区大会は開催地のみが2位校も出場するという形で、8校によるトーナメントとなっていた時代が長く続いた。

単独大会となった東京都は、その理由としては、主催新聞社の都合という見方が大方だ。というのも、やはり主催者としては人口の多い東京都からは毎年代表校を送り出しておきたいという意向が強くあったからだ。また、現実に学校数も東京都は非常に多いので、その中から選出されるということでは意味はあるということであろう。

都大会1回戦「東大和・保谷」の試合から

また、東京から2校選出というケースも現れてきた。58年の早稲田実と明治を皮切りに、59年の日大二と日大三。63年の早稲田実と日大一などだ。そして、68年の佼成学園と日大三以降は、3年連続で2校選出となっている。そして、71年には日大三が全国制覇を果たすと、その翌年も2校選出となり、日大桜丘と日大三が史上初の甲子園での首都決勝対決となり、「春に強い東京勢」も印象づけた。

こうして、甲子園で実績を挙げていったこともあって、東京都が関東大会から独立して単独開催となり、毎年センバツ代表を送り出すことが出来ていることに何の抵抗もなくなってきたともいえる。全国制覇の回数では東京都を凌ぐ神奈川県や記念大会では2校代表を送り出せている加盟校数が160校を超えている埼玉県や千葉県の関係者などからは、「どうして東京都ばかり優遇されているのか…」というような声も、漏れ聞こえてこないわけではないだろう。とはいえ、今のところは、そんな意見も封印されていると言っていいだろう。

そんな東京都大会だが、最大の課題として球場問題がある。都内では、硬式可能な公共球場の絶対数が少ないというのも現状である。しかも、それらを大学野球に社会人野球、他にも少年野球や女子野球などの使用とも重なってくることも多々あり、球場の使用権争いは熾烈極まりない。

さらには、この秋は例年高校野球が優先されてきていた立川市営球場が改修工事で使用不可となっている。その上に、八王子市民球場も八王子市市制100周年となり、その記念事業として市民球場のある富士森公園がイベント会場となっていることで使用不可となった。そんなこともあって、今年は球場の割り振りにはことのほか苦労したという。

しかも、初日には前日来の大雨の影響で一部会場では試合中止となってしまった。流れた試合を1日3試合が可能な球場に割り振っていくという苦しい日程調整で、何とか予定スケジュール内でこなしていったという状況だった。

さらに、今後は老朽化の進んでいる神宮第二球場も、今後の使用がどこまで可能なのかということも検討されている。実際、外野なんかは人工芝も擦り切れてしまって、その下のラバーが露骨に露出しているという状態である。「とてもじゃないが、甲子園を賭けた試合を戦う場ではない」という意見も出ていたくらいだ。

神宮第二球場の俯瞰…ちょっと気の毒な環境でもある

それでも、交通の便やその他の事情などを考慮すると、可能な限り神宮第二球場は使用していかなくてはならないというのも本音のようだ。

一昨年から、具体的に甲子園を賭けた戦いとなる準決勝と決勝は、東京六大学野球連盟や東都大学野球連盟とも話し合い、神宮球場の使用が何とかできるようになった。これで、何とか格好はついたというところだが、来年以降のことを考えると、東京都の球場問題としては解決していない。

それでも、選手たちは与えられた中できちんと試合をこなし、来るべき春のセンバツへ向けて、熱い戦いが繰り広げられているのである。応援する我々は、そんな選手や関係者の気苦労や物理的苦労も含めて、見守っていきたいものである。

《手束仁》

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