彼のヘルメットには、「ライオンの牙から逃げる一匹のウサギ」がデザインされている。実は、そこには彼の人生に関わるメッセージが秘められていた。(以下、平昌オリンピック公式ホームページの情報より)
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◆市民権なしの過酷な少年時代
彼は幼少期を祖母とガーナで過ごした。彼の母が家族でより良い暮らしができるようにと、オランダに引っ越し働いていたからだ。8歳になったころ、ついに母の元を追ってオランダに移住。しかしながら大学生になるまで、彼は市民権を法律で認められなかった。
卓越した運動能力を開花させていったアクワシ選手。中学では200メートルの国内大会で優勝するも、市民権がないため、オランダに帰国できなくなることを恐れて海外の大会には参加できなかったこともあった。ついにはアメリカのユタバレー大学に奨学金を得て入学し、同時にオランダの市民権を得た。
◆陸上選手としての選手生命を絶たれた後、出会ったスケルトン
実はアクワシ選手はオランダ代表の「陸上選手」として2012年のロンドンオリンピックに参加することを狙って練習に励んでいたのだが、怪我により選手生命を絶たれてしまった。そのあとに出会ったのがスケルトンだったのだ。
持ち前の運動神経を活かしみるみる才能を開花させていくアクワシ選手。2014年のソチオリンピックの選考会には間に合わなかったものの、彼の妻により「アフリカ人選手として初めて冬季オリンピックでメダルを獲得する選手になる」という夢を諦めてはいけないと説得される。
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ガーナ初のスケルトン選手「アクワシ・フリンポン」氏
「当初、僕が狙っていたのは2022年のオリンピックだった。でも、2016年にはじめてレースに参加し始めると、自分で自分にも驚いたんだ。たくさんのコーチが、『まるでこの競技を何年間も練習してきたプレーヤーのようだよ』って言ってくれたんだ」
◆ヘルメットに込められた意味
見事この2018年、彼は4年間も前倒しで夢に挑戦できることになった。さて、彼のヘルメットのデザイン、「ライオンの牙から逃げる一匹のウサギ」。これはどういう意味だったのだろう。
「僕はウサギだ。ライオン(過去)からずっと走って逃げてきた。もう、僕の人生に降りかかってくる全てのことに、『食べられ』たりしない」
辛い様々な出来事を乗り越えてきたアクワシ選手。それを自分で強く示し、前を向いて「滑って」いく。「アフリカ人選手として初めて冬季オリンピックでメダルを獲得する」という夢を叶えることができるのだろうか。今大会、スケルトンで注目すべきなのはこの一匹のウサギだ。
It's officialProud to announce that I will be representing Ghana at the 2018 Winter Olympics. Dare to dream! #GhanaSkeleton pic.twitter.com/xBw6dH1wfq
— Akwasi Frimpong (@FrimpongAkwasi) 2018年1月15日