アルペンスキーの競技種目の1つ、滑降(ダウンヒル)。ただでさえ滑降することは恐怖なのに、それを視力のない状態で挑むなんて、想像しただけで恐ろしい。
ジェイドは彼女の母親と共にスキーを始めた。彼女の母親は全盲であり、その遺伝子は少しずつ彼女の視力を低下させ、17歳で視力の95パーセントを失った。
「(視力が低下していくにつれ)何度も転倒した。ただ、大きな怪我には繋がらなかった。一番ひどかったのは膝を骨折したこと。でも、怪我をするとき『見えない』ということが役に立ったわ。衝撃の瞬間に、よりリラックスできるから」
成長するにつれ、勝利への欲求は鋭くなっていった。衰えていく視力は、彼女のできることをより制限させていった。しかし、それに抗おうとする気概は、障害をもつアスリートに共通する点だ。
「重要なのは、すべての環境に慣れること。滑降をすることだけではなく。スキーをする前にも、光に慣れなくてはいけない。視力が良い状態の日や、悪い状態の日が続いたけれど、一度調整できると、そのあとは自信を持ってスキーに取り組めたわ」
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ソチオリンピックで3つのメダルを獲得した後、ジェイドはこう言った。
「スキーは私により強い心構えを持つことをサポートしてくれた。私は、誤った考え方を持つ人にアピールすることを決心したの。私は障害者じゃない、私はジェイドなんだ、って」
26歳になったジェイドは、結婚し、地理学の教員として活動している。日々の生活がチャレンジに満ちているが、今でも競技生活を懐かしく思う。