世界の名峰に挑む登山家らに迫ったドキュメンタリー『クレイジー・フォー・マウンテン』が7月21日より新宿武蔵野館をはじめ、全国で順次公開されることが決定した。
5月28日には東京・スペースFS汐留で映画に関するトークショーが行われ、同映画の監督であるジェニファー・ピードンさんと、日本人最年少で世界7大陸最高峰を制覇した南谷真鈴さんが出席した。
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本映画は、脚本を担当した作家ロバート・マクファーレン氏の著書「Mountains of the Mind」をもとに構成され、『人はなぜ山に登るのか、そしてなぜ山を愛するのか』といった根源的な理由に迫ったものである。
ピードン監督は「今まで様々な現場で仕事をしてきたが、いつも紅一点だった。その時私は、女性視点で新たな作品が描けるのではないかと感じた」と自身の経験より、従来の山に関する映画とは異なる角度から映画を製作したことを明かした。
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ジェニファー・ピードン監督
また、本作はオーストラリア室内管弦楽団らによるヴィヴァルディ「四季」、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」やショパン、グリーグらの名曲が圧巻の山岳映像の映像と融合する。
「音楽が映像を導いていく作品でもある」と、本作において音楽も重要な鍵となっているとピードン監督は言及した。
南谷さんは、「今までに登ったことがある山も出てきて思い出が蘇りました。人はなぜ山に登るのか、恐怖に引かれるのか。思うことが多くありました。哲学的で普遍的な“なぜ人は山に登るのか”という部分が描かれていて、今までで一番惹かれる山映画でした」と映画を絶賛していた。
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南谷真鈴さん
北極点や南極点、エベレストなど世界7大陸最高峰を制覇した南谷さんに「登山は続けるの?もしくは他の目標はあったりするの?」と尋ねたピードン監督。
南谷さんはこの質問に、自身が山に惹かれた経緯も含め英語で語った。
「私が香港に住んでいた時、『コンクリート・ジャングル』のような環境で、インターネットにいつでもつながっていました。自分は地球の中のちっぽけな存在であると感じられる山に惹かれてから、どんどん様々な山へ足が運ぶようになりました」
「私は自分のことを”登山家”とは認識していないんです。今はセーリングで世界を巡ることが目標です。自然が好きだし、自分をそういった環境に置くことが好きなのです。(自然に身を置けば)自分のことを深く知ることができるし、極限状態で、人間がどういった気持ちを抱くのか、ということを追求することができます」
《大日方 航》