100回目の夏を終え、考えていかなければならないこと | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

100回目の夏を終え、考えていかなければならないこと

オピニオン コラム
それにしても連日、よく入った甲子園
それにしても連日、よく入った甲子園 全 7 枚 拡大写真
格別暑かった、今年の夏。特に、7月の暑さは尋常ではなかった。

そんな中で、第100回全国高校野球選手権記念大会の地区大会が全国で開催されて代表校が決まった。さらには、なおも猛暑が続く中8月5日からは甲子園球場で100回目となる記念大会が行われた。その8月も、相変わらず暑かった。

今年は100回を記念する大会ということで、出場校も史上最多の56校で争われた夏の甲子園大会。大会運営そのものとしての大きな変革としては、今年から採用されることとなった、延長13回からのタイブレークシステムがあった。

これは2試合で適用された。史上初となった甲子園でのタイブレークは、1回戦の佐久長聖と旭川大高との試合だったが、13回をお互いが守り抜いて、14回に佐久長聖が内野ゴロで奪った得点の1点を守り切った。

2つ目のタイブレークは、星稜と済美の試合だったが、後攻の済美がタイブレークの13回表に2点を失った。こうなったら、「打っていくしかない」という状況で、無死満塁となったところで矢野功一郎君が左翼ポール直撃の逆転サヨナラ満塁弾を放った。

「延長戦のドラマがなくなるのではないか」と懸念されたタイブレークだったが、まずはいずれもタイブレークの緊張感と劇的さを味わわせるものだった。

青い空と甲子園、この構図も一つの文化

暑さ対策としては、地区大会からも多く見られた光景として、給水タイムを取る試合があった。また、京都大会のように開催時刻を夕方に大幅にずらしていくという対応策を取っていったところもあった。

東西の愛知大会も準決勝の開始時刻を予定より1時間繰り上げて9時にしたとともに、準決勝と決勝の間も予定より1日多く空けるという対応をしていった。こうした、各地区の高野連の対応も、柔軟性が求められてそれぞれが工夫した大会となった。

また、こうした現象とは別に、甲子園の空前の行列などのチケット問題も今後の中では大きな課題として捉えていくべきではないだろうか。高校野球の人気、注目度は毎年衰えることを知らず、試合のカードに関係なくどの試合も満員だった。

それにしても連日、よく入った甲子園

その日の試合が終わるとすぐに、次の日の準備となるのが高校野球だ。毎日、入場券を求める人たちで、第1試合開始の1時間以上前から、行列が出来ている状況が続いた。そして準々決勝は、前日の3回戦が終了した時点ですでに翌日の売り出しを待つ人たちの列が出来てはじめていて、シートなどを張って、徹夜で売り出しを待つという状況だった。正直、これは異常と言ってしまっては何だけれども、やはり尋常ではない状況である。

実際、始発電車で来ても既に行列が出来ているという状況で、何時間も並んでやっと入場ということになる。さらには何も行われていない球場のスタンドに腰かけたと思ったら、その疲れも出てきて、試合開始の8時には転寝どころか熟睡してしまっているという人もいたようだ。

とはいえ、今更その是非を問うのではない。そういう現象があることに対して、それに反応していかなくてはならないのが多くの高校野球ファンでもある。また、そんな意識をさらに煽っていくのが、連日の報道にもあるのかもしれない。

もちろん、高校野球はこうしたメディアの力を借りて、というよりメディアの力があってこその今の盛り上がりが作り上げられていったという事実も否定は出来まい。

ただ、今大会もそうだが、近年ことに言われているのが投手の球数問題だ。

しかし、この問題も奥が深い。もしこの大会で、球数制限があったとしたら、金足農の今回のフィーバーはまず起きていなかったに違いない。吉田輝星君が、投げ続けたことによって金足農の快進撃があったこと確かなのだ。それに、それがあったからこそ金足農の人気、盛り上がりを導いたのである。そのことはしっかりと認識しておかなくてはいけない。

球数制限の問題や投手複数制という考え方も一つかもしれない。ただ、高校野球が100年以上かけて育んできた一つの文化の形として、背番号1という存在の重さもあったのも確かだ。また、現実には公立校の場合、大阪桐蔭の様に将来プロで活躍しそうな投手を何人も準備しておくなどと言うことはとてつもなく困難なことである。そうなると、ますます私学野球強化校と公立校の二極分化が進んでいくことは否めない。この現実も、多くの人はわかっている。

いずれにしても、高校野球は既に来年へ向かって始動している。秋季大会も始まっている地も少なくない。高校野球の今後を語る際、例えば7月から週末だけで大会を進めていくなども一案だと思う。そうなれば、地区代表を決めていく地方大会は6月までに終えるということになろう。春季大会のあり方など従来からの大幅な日程の見直しも含めて、考察されていくべきことになっていくのではないかという気がしている。

そんなことを考える時期にも来ているのではないだろうか。連日の甲子園の満員のスタンドに身を置きながら、ふと、そんなことも思っていた。

《手束仁》

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