1月7日、コナミスポーツクラブ体操競技部は新年初練習を行い、リオオリンピック団体で金メダルを獲得した田中佑典選手も練習で汗を流した。
田中選手は、兄の和仁さん、姉の理恵さんとともに「体操の田中3きょうだい」として知られている。現在、3人の中で現役として活躍しているのは、末っ子の田中佑典選手だけだ。
この日の練習後に取材に応じ、今後の展望について語ってくれた。
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怪我に苦しんだ2018年
田中選手は2018年10月に肩を負傷。
その負傷の影響もあってか、直後に行われた世界選手権前では、得意種目の平行棒で落下してしまう。東京オリンピック予選も兼ねる大会で2連覇を逃すなど、2018年は苦しいシーズンを送った。
負傷について田中選手は「代表に入るまでは計画通りだったんですけど、オーバーワークで、自分の調整力不足でした」と振り返った。
それでもその経験は結果的に良かったと明かし、「力不足でチームには申し訳ないですけど、あの経験をさせてもらってもう一段強くなりたいという気持ち、貪欲にならなきゃいけないと気づかせてくれた大会でした」と語る。
「本気を出さないと今年もやばいでしょうし、今年きついと2020年もきつい。現役は2020年までなので、そこまでやれることをやり尽くしたいと思えた経験でした」と、2020年で現役を引退する意向を告白した。
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内村航平の存在
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(c)Getty Images
今年で30歳を迎える田中選手。1学年上の先輩・内村航平選手とともに、ベテラン選手として体操界を牽引している。
年齢について、田中選手は「身体の変化は少なからずありますけど、年齢は言い訳にしたくないですね」と、正直な胸の内を明かした。
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内村選手が「年齢の壁は越えた」と話していたことを知ると、「すごいですね。またリスペクトする部分が増えましたね。航平さんがいるからこそ自分はまだまだだと思います。一緒に体操を盛り上げていって、刺激をたくさんもらいたいです」と話した。
30代選手として目指す東京オリンピック
もし、田中選手と内村選手が2人とも代表入りを果たすとなれば、団体メンバーに30代の選手が複数選ばれるという極めて珍しい事態となる。
それだけ、年齢を重ねても2人がプロ意識を高く持っている証拠とも言えるだろう。
しかし、「下の子たちも成長しなければいけないし、そうしなければ、中国やロシアも強くなっているので、これからの日本も大変になってきます」と後進のことも気をかける。
田中選手は「若い世代の成長に期待しつつ自分の限界にも挑戦。これを両方成り立たせることが目標です」とまとめた。