東京五輪新種目となった「3×3(3人制バスケットボール)」。5人制のバスケットボールと「3×3」の両輪活動を行う選手も少なくない。
2018年「3×3」の日本ランキング1位に輝いた落合知也選手もかつてはその1人だった。2018年3月にBリーグに所属するリンク栃木ブレックスとの契約を解除し、「3×3」に専念してまで上り詰めた。

そんな落合選手が「3×3」に対する熱い思いを語ってくれた。
ー:3×3を知らない人にアピールするとしたらどのようなところですか?
落合知也選手(以下、敬称略):まず、3×3は基本的に外で行う競技なんです。
日本だと普通のBリーグとか、実業団の試合を観にいくとしたらアリーナに行かないといけないじゃないですか。でも3×3は基本的に、デパートの外だったり、特設会場を作ってやるときもありますし、ショッピングがてら見に行けるんですよ。
なおかつお客さんとの距離が近いので、すごい近くで迫力のあるぶつかり合いとかを見れますし、試合時間が10分で、もうあっという間に試合が終わってしまいます。点の入れ合いとかもハーフコートで短いですし、シュートの回数も多いんですよ。そういった意味では迫力を感じられるのが一番のポイントですね。
ー:バスケを知らない人にも楽しんでもらえますか?
落合:そうですね。この競技を始めて、「全くバスケは知らないけど楽しかった」と声をかけられることも多かったです。
そういった意味ではバスケットボールのPRになるというか「3×3」面白いって幅広く思ってもらえる競技かなって感じています。
ー:「3×3」に転向してから身の回りで変化したことはどんなことですか?
落合:やっぱり東京オリンピックの正式種目になったので「3×3」のことをより考えるようになりましたね。
例えばトレーニング期間も3×3の大事な大会に向けてどう身体を作るかっていうのも今から考えてトレーニングしています。「3×3」中心の生活なので、それにフォーカスしているトレーニングだったりをやっています。
ー:トレーニングする上で変わったことはどんなことですか?

落合:例えば、今のBリーグの選手はシーズン中なので、あまり身体を追い込めないんですね。毎週試合があったり、平日に試合があったり、日本のリーグは試合数がとにかく多いんですよ
僕はそれを気にせず、2月から「3×3」の代表選考が始まって、5月にアジアカップがあると考えると、そこに向けて身体づくりをしなくちゃいけないっていうのを考えています。
海外の選手と戦うにおいて、まだまだ自分の足りない部分ってのはあるので、そこに向けてパワーアップをしていかないとって思っているので。
トレーニングの量も増やして、より重い重さを上げたりとか、パワーをつけるようなトレーニングをしてやってこれました。普通だったら刺激を与える程度というか落ちないように筋肉を維持するというか、シーズン中とかはその程度ですね。

ー:東京五輪までの1年半はどのように捉えていますか?
落合:短いようで長いというか、難しいですね。どうなんですかね、短いとは思うんですけど、長いとも思うどっちの思いもありますね。
気持ちの焦りはないですけど、よりプレッシャーが強くなってくる1年にはなるなと今年感じています。
例えば僕は今、日本ランキング1位ですけど、これを守れるかというのもありますし、僕が目指しているのは日本ランキング1位じゃなくてその先のアジアランキング1位だったり、世界ランキングトップ10に入るとか。
そういった細かい目標も自分の中で立てているので、そこに向けてどれだけできるか。それってオリンピックに向けてあと1年しかないので。そう考えると短いかなってのはありますね。
早くオリンピックが来て、高ぶったまま試合したいっていうのもあるので、そう考えると長いなって思って、いろんな意味での捉え方はあるかなって思います。
ー:2019年は日本ランキング1位を守りつつ、世界に挑戦して行く年という捉え方ですか?
落合:そうですね、国内のランキング1位は去年取れたので、次は本当に世界ですね。去年十分手応えを感じた部分はあったんですけど、勝ちきれない部分があったので、海外の大会がこれからたくさんあるのでそこで勝つことです。
ー:今の自分に足りないと感じる部分はどういったところですか?
落合:やっぱり勝利への執着心というかそういうのが一番違うかなって思いますね。
ー:どういったところで感じるんですか?
落合:例えば、セルビアの「Dusan Bulut」っていう選手が世界ランク1位で、彼は僕が3×3を始めた時から知り合ってずっと友人で、彼のキャンプとかにも去年の夏参加して、一緒にプレーしたりとかしていたんです。
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@dusan.bulut @sean_hinkley @hayate24 @ma_tsu144 @sugitennn イタリア頑張ってこーい
2週間くらいセルビアに行っていて、その時も彼らの国っていうのはバスケで生活ができないような国なのに、セルビアは「3×3」も「5対5」も強いので、どういったところにあるんだろうと思っていたんです。
「3×3」の場合、勝って賞金をもらったり、スポンサーをつけて活動をして行くんですけど。そういったハングリー精神ってそこからくるようなことなんだろうなーっていうのはすごい見てて思いました。

余談なんですけど、彼(Dusan Bulut選手)がルーマニアの大会で決勝で負けたことがあるんですよ。
その時ちょっと審判のミスジャッジがあって負けちゃったんですけど、本当に審判にすごい文句言って「お前外出ろ」って。そんな文句言う選手あんま見たことないんですけど、本当に喧嘩になるんじゃないかってくらい、審判もビビっちゃって。
結局みんなが止めて終わったんですけど。それをやっていいかって言ったら、やっちゃいけないですけど。
「それくらいの気持ちでやらないと世界で勝っていけないんだな」っていうのは僕はベスト8で負けて観客として見ながら思いました。
そういうのが勝利への執着心というか、「何が何でも勝つんだ」っていう気持ちが大事だなって、その差を感じましたね、去年の夏。
ー:海外の選手との交流は多いんですか?
落合:そうですね。やっぱり海外の色々な大会に出ていると、友達も増えるので、インスタグラムとかツイッターでメッセージを送りあったりしています。
「最近どう?」とかやりとりして、普段はコートを離れたら仲の良い友人なので、情報交換したりとかしています。
ー:バスケットボール以外の競技の選手との交流はありますか?
落合:トレーニングしている場所でほかの競技のアスリートと会ったりはします。2年前に膝の前十字靭帯を切って怪我してずっとリハビリしてた時があったんですけど、その時に他の競技の日本代表の選手とかとの交流があっていろんな話を聞いて、ほかの角度から色々なことを見れたし、そういう経験もあるんだとか、貴重な話はたくさんありましたね。
ー:最後に東京五輪に向けての意気込みを教えてください
落合:さっきも言いましたけど、1年半なんで、本当に今年の結果がすごい大事になってくる。
代表もそうですけど、個人でも、チームの大会も結果を追い求めて戦って、東京五輪を決めてそこでしっかりメダルを取れるように毎日準備したいと思います!
