「青学大の5連覇ならず」「東海大優勝」「往復新記録」など2019年の箱根駅伝はひときわ盛り上がりを見せた。
そんな今年、実は拓殖大学は箱根駅伝の歴史を塗り替えるあることをしていた。それは史上初、留学生ランナーがキャプテンに就任したことである。
エースで、キャプテンで、留学生
拓殖大学のワークナー・デレセ選手はエチオピア出身。実力もあり、人一倍責任感が強く、チームと人への思いやりが強いことがキャプテンに選ばれた理由だ。
1年生の頃は日本語のコミュニケーションができず苦労を重ね、また競技成績も思うように伸びなかったデレセ選手。しかし拓殖大学の岡田正裕監督は、素質を見抜き経験を積ませることで根気強く接し、デレセ選手を育てたという。
その後実力をつけ、ランナーとしてだけではなく人間性もチームに欠かせないものとなり、キャプテンへと就任。
当初、デレセ選手はキャプテンの打診を断ったという。しかし岡田監督を日本の父と慕う彼は「監督を喜ばせたい」との思いによりキャプテンへと就任する。
出雲駅伝で大健闘、箱根路の走りも見事
デレセ選手の活躍もあり、拓殖大学は2018年の出雲駅伝で史上最高順位である4位に。個人としては3区で区間賞を獲得した。
箱根駅伝で優勝し恩師を胴上げするという大きな目標を達成することはできなかったが、チームにもたらした財産は非常に大きいだろう。
岡田監督の勇退
恩師である岡田監督は2019年の1月で退任。今後の役職は発表されいないが、何らかの形で大学に残るそうだ。岡田監督との絆を胸に今後のデレセ選手の人生も応援したい。