2019年3月11日、東日本大震災の発生から丸8年が経った。
この8年間、精力的なチャリティー活動の目立つ選手がいる。被災地・仙台出身のフィギュアスケーター、羽生結弦選手だ。
初めて羽生選手が東日本大震災のチャリティーオークションに参加したのは2016年のこと。ベルマーク協会が主催する東日本大地震チャリティーオークションに参加し、サイン入りのスケート靴を出品した。結果的にスケート靴には約330万円の値がつき、落札額は被災した学校の支援活動に寄付されたという。
その後、羽生選手は2018年と2019年の同企画にもサイン入りのスケート靴を出品。2018年は約850万円で落札された。2019年も3月11日14時時点で350万円以上の入札がされており、またしても高額寄付に繋がることが予想される。
誰でも寄付に参加しやすいLINEスタンプ
2019年には、LINE株式会社が羽生選手とコラボしたLINEスタンプを販売。
この「羽生結弦 3.11 SMILEスタンプ」は2019年4月11日までの限定販売。スタンプの売り上げは災害復興支援特別基金に寄付されるとのことだ。
羽生選手のスタンプは240円で購入可能。「羽生選手のチャリティーに参加したいけど、高額な入札が相次ぐオークションにはとても手を出せない」という方も、スタンプを購入するだけなら非常に安価なので簡単に参加可能だ。
ファンを巻き込む寄付の意味とは
ここで注目すべきは、これらはいずれも羽生選手がファンと協力しながら行ったチャリティー活動であることだ。チャリティーオークションは入札が無いと寄付金が発生しない。スタンプの売上を寄付するにしても、ファンが購入する必要がある。
寄付には様々な方法があり、著名人や大企業がポケットマネーを出すことも立派なやり方のひとつだ。実際、羽生選手が平昌五輪で金メダルを獲得した際は、報奨金1,000万円の全額寄付を仙台市に申し出たとの報道もあった。
しかし、羽生選手はそれと平行して、ファンを巻き込んで協力する形の寄付も行っている。そして、寄付に協力したファンには、サイン入りのスケート靴やLINEスタンプといった魅力的なリターンが手元に残る。だからこそ多くのファンは積極的に寄付へ参加し、復興を一過性のものではなく「自分事」としてとらえるのではないだろうか。
羽生選手は、これまでのチャリティーに参加する意図を詳しく語ったことはない。しかし、過去の例を紐解けば、おのずとそんな意図もあるのではないかと感じさせる。
真相は羽生選手本人にしか分からないことだ。しかし、少なくとも羽生選手の参加するチャリティーが多くの人々の心を動かし、また被災地の復興が一日も早く進むことを祈りたい。