熱戦が続く『ラグビーワールドカップ2019日本大会(W杯)』。
日本代表はプール初戦のロシア戦に30-10で勝利すると、第2戦では当時世界ランキング2位(2019年10月4日時点では4位)の強豪アイルランド戦にも19-12で勝利。前回大会の南アフリカ戦に続く番狂わせを起こし、チームが目標とする史上初のベスト8進出へ大きく前進した。
そんな日本代表を長年支えているのが、4大会連続でW杯出場を果たしているチーム最年長38歳のベテラン、ロック(LO)のトンプソン・ルーク選手だ。
幼い頃はサッカー少年だった
トンプソン選手はニュージーランドのクライストチャーチ出身。実家は牧場を営んでおり、父は元ラグビー選手、弟は競馬の騎手、妹はネットボールのニュージーランド代表というスポーツ一家。
トンプソン選手自身はサッカーに打ち込む子ども時代を過ごし、13歳の時にラグビーを始めた。
年代別の代表に招集 日本でのプレーを決断
ラグビー選手としては遅いスタートになったが、14歳以下のカンタベリー州代表に選ばれるなどすぐに頭角を現す。その後も各年代で代表に選出され、ニュージーランド代表(オールブラックス)入りを目指した。
しかし同じポジションにはブラット・ソーン選手やクリス・ジャック選手といった名選手がひしめき、層が厚かった。そのこともありトンプソン選手は、チャンスを掴むために日本でのプレーを決断した。
日本のチームで活躍 愛称は「トモさん」
2004年に三洋電機ワイルドナイツ(現・パナソニック)に加入したトンプソン選手は、いつも傷だらけになりながらタックルを続ける献身的なプレーで活躍。仲間やファンからも愛され、「トモさん」という愛称で親しまれる。
2006年には近鉄ライナーズに移籍し、2008年からはチーム史上初の外国人キャプテンに就任した。
2010年には日本国籍を取得
日本に来た当初は1~2年でニュージーランドに戻るつもりだったというトンプソン選手。しかし日本で暮らすうちに、日本のラグビーや人、文化への思いを深めていったという。
近鉄移籍以降は東大阪市に住み続け、地域の人々にも親しまれる。2010年には日本国籍を取得。現在では関西弁を流暢に操り、通訳をほとんど介さないインタビューでは日本への愛をたびたび語っている。
一時は代表を引退 W杯出場は4度目
日本代表には2007年に初選出され、2007年、2011年、2015年と3大会連続でW杯に出場。2015年に行われた前回大会では強豪南アフリカ代表を破る快進撃にも大きく貢献した。
2015年大会終了時には代表を引退。しかし2017年6月のアイルランド戦で代表復帰を果たすと、今大会では歴代最多となる4大会連続のW杯出場を果たした。
今大会も快進撃に大きく貢献 独特のインタビューも話題に
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(c)Getty Images
今大会ではプール初戦のロシア戦で途中出場を果たすと、プール第2戦のアイルランド戦では先発出場。この試合の出場でW杯通算12試合目の出場となり、小野沢宏時さんが持つW杯日本人最多出場記録に並んだ。
試合では、強靭なフィジカルを持つアイルランド代表の選手に対して果敢にタックルを仕掛けて攻撃を封じ、前回大会に続く番狂わせに大きく貢献した。
試合後のインタビューでは相手のアイルランド代表を「めっちゃ強い」と称えつつ、「めっちゃ嬉しい」と勝利の喜びを語った。
3児のパパとしての姿
プライベートでは3児のパパ。自身のSNSには子どもたちと共に、七夕祭や浴衣、餅つきを楽しむ様子も投稿されている。
今大会の終了後には引退することを表明しているトンプソン選手。プールAで2連勝を飾った日本代表は、10月5日に行われるサモア戦に勝利すれば念願のベスト8がいよいよ見えてくる。