グラウンドで戦っている選手だけではなく、絶えず戦況を見つめているヘッドコーチ(HC)だって疲れる。
『ラグビーワールドカップ2019日本大会(W杯)』で優勝したあと、南アフリカのラシー・エラスムスHCが会見に出席する前に、祝勝会のために用意されたピザをつまみ食いする様子が大会公式ツイッターで明かされた。
優勝会見前にピザをパクり
祝賀会の準備が着々と進められるロッカールーム。そこに準備されたピザをひとつまみ手に取る男性の後ろ姿。南アフリカ代表を率いるエラスムスHCだ。
エラスムスHCはピザを咥えながら会見場に向かう。
Win Rugby World Cup
Eat Pizza
Head for post-match press conferenceClinical work from @Springboks head coach Rassie Erasmus#RWC2019 #RWCFinal #WebbEllisCup pic.twitter.com/JMr4QByaiR
— Rugby World Cup (@rugbyworldcup) November 2, 2019
南アフリカ代表にあったのは国民に喜びを与える特権
決定的瞬間を映されてしまったエラスムスHCだが、優勝会見では南アフリカの国や国民に果たした役割の大きさを真剣な面持ちで語った。
「我々には、人々に希望を与える特権がありました。希望を与える苦しみではありません」
これまでのインタビューで1995年、2007年に優勝したときのように、多民族国家である南アフリカに全員が同じことで喜べる瞬間を与えたいとエラスムスHCやシヤ・コリシ主将は繰り返してきた。
その目標はW杯3度目の優勝で達成することができた。
エラスムスHCは、南アフリカ初の黒人主将としてチームをまとめ上げ、優勝に貢献したコリシ主将の存在を讃えた。
「シヤには食べるものがない時期さえあった。そんな彼が南アフリカ代表を率いて優勝トロフィーを抱いたんだ」
“Rugby shouldn’t be something that creates pressure on you, it should be something that creates hope”
An eloquent response from @Springboks head coach Rassie Erasmus on the meaning of pressure for South Africans outside of rugby #RWC2019 pic.twitter.com/pvzLjrK9gZ
— Rugby World Cup (@rugbyworldcup) November 2, 2019
シヤ・コリシ主将の呼びかけ「力を合わせれば何だってできる」
ラグビー南アフリカ代表(スプリングボクス)は128年の歴史を持つ。だがアパルトヘイト(人種隔離政策)に対する国際社会の制裁により、国際舞台から締め出された時期もあった。
アパルトヘイトは撤廃され、南アフリカは1995年、2007年に次ぐ3度目の優勝を成し遂げたが、それでも完全に他民族の問題が解決されたわけではない。
「私たちは異なるバックグラウンド、異なる人種が集まってチームを作り、ひとつの目標を持ってやって来ました」
そう語ったのはコリシ主将。彼は全ての南アフリカ国民に感謝し、団結を呼びかけた。
「私たちは南アフリカの皆さんを愛しています。一緒に力を合わせれば何だって達成できます」
その言葉が理想論で終わらないことをW杯優勝で示した。