WBA世界バンタム級スーパー王者ノニト・ドネア選手は、11月7日にワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)バンタム級決勝にて、WBA・IBF世界同級王者の井上尚弥選手と対戦する。
5日にインスタグラムを更新したドネア選手は、アメリカのミュージシャン、キリスト・グレーの歌詞を引用しながら「チャンピオンの人生」と意気込んだ。
いじめ対策で始めたボクシングで世界の頂点に
5階級を制覇し、軽量級のレジェンドと目されるドネア選手。だが幼少期は身体が弱く、ひどいイジメにあった。その対策にと習い始めたのがボクシングだった。
愛称は『フィリピーノ・フラッシュ(フィリピンの閃光)』。鋭い踏み込みと強烈な左フックでKOの山を築いてきた。
ボクサーとして常に観客を楽しませるプロ意識の持ち主。派手なKOシーンの創出は、アジア系の軽量級ボクサーがアメリカで有名になるための手段でもあった。
日本人ボクサーとは2012年にWBC名誉王者だった西岡利晃選手との対戦がある。必殺の左フックを警戒し、右のガードを顔のそばから離さなかった西岡選手に対し、ドネア選手が次々にパンチを当てる完勝だった。
井上尚弥と戦うのは運命
WBSS準決勝で井上選手はエマヌエル・ロドリゲス選手を2ラウンド1分19秒で倒した。試合後のリングにドネア選手が上がり両者は対面を果たしている。
¡Se acabó! Naoya Inoue deriba a Rodríguez en el segundo round y se lleva la pelea de semifinal del WBSS
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— ESPN Boxeo (@ESPNBoxeo) May 18, 2019
ドネア戦のファイトプランを聞かれた井上選手は、「ノニトは憧れていた選手なので戦えることは光栄。どう戦うかはこれから練っていきたい」と答えた。対するドネア選手は「自分と井上が戦うのは運命」と語った。
実は井上選手とドネア選手は2014年にも会っている。井上選手が世界2階級制覇を目指し、オマール・ナルバエス選手が保持していたWBO世界スーパーフライ級王座に挑戦する試合の前に、ドネア選手が井上選手を激励したのだ。
この時点でナルバエス選手はWBO世界フライ級王座を16度、WBO世界スーパーフライ級王座を11度連続防衛中の大物だった。そのナルバエス選手にプロのリングで唯一黒星をつけたのがドネア選手。
井上選手が練習するジムを訪れたドネア選手は、激励だけでなく練習もサポートした。
五年前、目の前にいるレジェンドと戦うなんて一ミリも想像してなかった、、
同じ舞台まで上り詰めた証、決勝の舞台ではドネアを必ず倒さなきゃいけない pic.twitter.com/SrCUtoqeoQ— 井上尚弥 Naoya Inoue (@naoyainoue_410) July 15, 2019
ドネア選手からの応援を受けた井上選手は試合で圧巻のパフォーマンスを披露する。プロ・アマ通じて20年以上のキャリアで1度も倒れたことがなかったナルバエス選手から、4度のダウンを奪う2ラウンドKO勝ちでタイトル奪取。
試合後のナルバエス選手は、自分を破ったふたりを比較して「井上はドネアよりも強かった」という感想を残している。
5年越しの対戦が実現した井上選手とドネア選手。運命の一戦が刻一刻と迫る。