「パラリンピック文化を日本に根づかせる」 陸上パラアスリート堀越信司が見据える2020年 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

「パラリンピック文化を日本に根づかせる」 陸上パラアスリート堀越信司が見据える2020年

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「パラリンピック文化を日本に根づかせる」 陸上パラアスリート堀越信司が見据える2020年
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2020東京で4大会連続となるパラリンピック出場が内定している陸上競技パラアスリートの堀越信司選手(ほりこしただし=NTT西日本)が、1月7日に都内で開催されたパラリンピック観戦チケット第2次抽選販売記者発表にゲスト参加し、大会にかける意気込みを語った。


堀越選手はブラインドマラソンのランナー。パラリンピックは2008北京大会でトラック種目の1500mと5000mに出場。2012ロンドン大会の5000mで5位。その後は競技距離を伸ばし、2016リオ大会では男子マラソンで4位になった。


2020東京大会では男子マラソン日本代表に内定している堀越選手に、競技への向き合い方やその人柄に迫った。


「東京でマラソンを走りたいという気持ちがあったので嬉しい」


東京という名前がついているのだから東京の街中を駆け抜けたいという気持ちが強かったです」という堀越選手。2020東京ではオリンピックのマラソンコースが急きょ北海道札幌市に競技会場を変更されるというニュースが話題になったが、パラリンピックは当初の計画通りに東京で開催されることになった。



質問に応じる堀越信司選手

撮影:山口和幸



「東京でマラソンを走りたいという気持ちがあったので、パラリンピックが東京を走ることになったのは個人的には嬉しい」と喜びを見せる堀越選手。それだけに、しっかりといい練習をして臨みたいと意気込む。


9月開催のパラリンピック・マラソンだけに、暑さが大きな敵となる。それにもかかわらず堀越選手は、同じ時間にスタートして同じコースを走るのだから、出場選手は誰もが同じ条件だとそれほど気にしていないという。しっかりと暑さ対策をしてその日を迎えればいいと考え、東京の暑さに関しての部分に不安は見せない。


「東京のコースは上り坂がきついと言われますが、それはみんな同じ条件。自分だけがきついわけではないし、結局マラソンはどんなコースでも後半はきつくなるので(笑)、しっかりとそのことを頭に入れながら走りたいです」


先天性の疾病により、右が義眼で左がわずかに見える程度。堀越選手になぜ陸上を選んだのか理由を尋ねると、「モーリス・グリーン選手のようにカッコよく走りたかったからです」と答える。


グリーン選手とは当時大活躍していたアメリカの陸上競技短距離選手だ。ただし堀越選手が練習し始めたのは長距離種目。中学や高校でマラソンをやる生徒はいないので、当初は1500mから始め、年齢とともに徐々に競技距離を伸ばしていく。


現在はマラソンに集中し、2019年4月のロンドンマラソン兼パラ世界選手権では2時間25分56秒のアジア記録をマークしている。


感じた「応援」の力


2012年のロンドンパラリンピック、何度か出場しているロンドンマラソンで観客からもらう声援に後押しされたことを堀越選手は実感している。ロンドンパラリンピックで出場した5000mでは、ほぼ満員のスタジアムから大声援を受けた



堀越信司選手

撮影:山口和幸



「みんなが心から応援してくれました。コーチがラップタイムを言ってくれるんですが、その言葉が聞こえないほどでした。そのおかげで自己ベストで走ることができたんです」


ロンドンマラソンも同様だ。42.195kmという過酷な競技はどんなに練習しても、周到に準備しても、きつくなる時間がある。それを乗り越えることができたのは応援の力によるものだった


「ロンドン市民のみなさんが町を挙げて応援してくれました。沿道の声援が割れんばかりで、走っていて気持ちいいですし、最後までしっかりと走れました」


「メダルを狙わないわけがない」


最大の目標は2020東京でのメダル獲得。2020年はこう見据えている。


「パラリンピックにはこれまで3回出場していますが、まだメダルを取れていない。今回は東京開催ですからね。自分が生きている中で二度とないんです。それに32歳という年齢で迎えるパラリンピックだけにメダルを狙わないわけがない


「これまで、修羅場をたくさんくぐってきた。好きなだけでやっていける世界ではないので、『絶対負けない、ナニクソ、この野郎』と思って走ってきました。応援の力も大きいです。声援があるので、つらい局面でもしっかり粘って走れるようになりました。まだまだ甘いですけどね(笑)」


パラリンピックの文化を日本に根づかせたい


大都市東京が舞台となるパラリンピックのマラソン。多くの人が沿道に詰めかけることは間違いないが、堀越選手は特に子どもたちにも集まってほしいと願っている。



「パラリンピックの文化を日本に根づかせたい」と語る堀越信司選手

撮影:山口和幸



「百聞は一見にしかずなんですよ。パラスポーツはいろいろありますが、すべてのスポーツがすべてのスポーツなりに面白いところがすごくあって、それぞれみんな必死になって世界と戦って、東京で結果を出してやろうと集まってくる。


そういった選手のパフォーマンスを間近で見てもらって、間近で応援してもらって。パラリンピックは東京以降に続いていきますが、この機会にパラリンピックの文化を日本に根づかせたい


パラスポーツの魅力を語る堀越選手の言葉は熱い。2020東京パラリンピック8月25日が開会式。堀越選手が出場するマラソンは最終日となる9月6日に行われ、最後のメダルを賭けた熱闘が展開されるはずだ。


≪山口和幸≫


堀越信司’s Favorite


Favorite1 セレッソ大阪


関西で活動する堀越選手はサッカーJリーグ、セレッソ大阪のファン。チームがホームグラウンドとする長居陸上競技場は、堀越選手のトレーニングフィールドでもある。ただ、「セレッソを応援するよりも、練習したり試合で走ることが多いです」とのこと。


Favorite2 カメラ


カメラ好きという堀越選手。撮影したものをFacebookに投稿したり写真展に出したりといった活動も行う。もともと美術が好きで、カメラを購入。景色などを写真に撮ってパソコンに取り込んで拡大してみると、ふだんの自分の目では見えないものが確認できる。「目が見える人たちがどんな景色を見ているのかが想像できるんです


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