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女子フィギュアスケート米国代表のカレン・チェン選手は、四大陸選手権後に大きな決断を下すことになる。それは2022年の北京五輪を目指すために避けては通れないものだ。
2016-17シーズンの全米選手権を制したチェン選手は翌年も銅メダル。アメリカを代表する女子スケーターだが、2018-19シーズンは疲労骨折のために全休。復帰した今シーズンは大学に進学し、環境が大きく変わった。
そのなかでグランプリシリーズではスケートアメリカ8位、NHK杯9位と結果を残せなかった。
「今年はつらい年でした。復帰シーズンだし、学業との両立もあるから難しい年になるのは分かっていたけど」
それでもチェン選手は全米選手権で4位入賞を果たし、四大陸選手権の代表に選ばれた。
「全てがうまくいったことに満足しています。グランプリシーズンと比べると、全米選手権でのスケートはしっかりしたものでした」
復調を喜ぶチェン選手。だが、それこそが悩みの種になっている。
コロラドでの集中トレーニングが大きな違いを生んだ
チェン選手は年が明けてからの巻き返しには、直前練習を大学があるニューヨークではなく、コロラドスプリングスで行えたことが大きいと分析する。
自分のことをよく知っているコーチ、そして仲間との練習が状態を上向かせた。
「ここへ来る前にコロラドで2、3週間トレーニングできたことに感謝しています。それが大きな違いになりました。慣れ親しんだ環境と親しい人たち、そしてもちろんコーチに見てもらえたからです」
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(c)Getty Images
大学へ進学しても学業と競技を両立する選手もいる。男子シングル世界王者のネイサン・チェン選手は、米国の名門イェール大学で学びながらタイトルを勝ち取り続ける。
今回の全米選手権も数週間前にインフルエンザで体調を崩したが、圧巻の演技で合計330.17点。大会4連覇を達成した。
チェン選手も学業との両立を目指したが、実際には短期間の集中トレーニングで大きな違いが生まれたことを「正直少しショックでした」と笑いながら話す。
「だからこそ、この大会の直後にこれが自分の将来にどんな意味を持つのか、私は本当に多くのことを考えなければなりませんでした。現実的になって『オリンピックは? 来年はどうするの?』と。自分が何をしたいのか、どのような決断をするのが一番いいか」
四大陸選手権をとても重要な大会と位置づけるチェン選手は、全米選手権後も学校へは戻らずコロラドで練習した。
「四大陸選手権で本当に成功したいと思っています。もし今週、学校に戻ったら私は非常にストレスを感じ、そのまま韓国へ向かうことになるでしょう」
五輪を見据え、学業との両立を見直す可能性
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(c)Getty Images
チェン選手の悩みは「オリンピックは手が届く目標。自分がどのような決断をし、それに取り組み、犠牲を厭わないかにかかっています」と話すトップスケーターだからこそ難しい。
「学校とスケートの両立が難しことは分かっていましたが、そう自分に言い聞かせる前にチャレンジしてみたいと思いました。その結果、スケートで成功したいなら学業を調整するか、あるいは休学することを考えなければならないと分かりました。
コロラドで過ごした2、3週間でとても上達できたと思います。それが証明しているのは、私が選手として最高の状態でいたいなら、いるべき場所はそこだということです」
最近は全米選手権や五輪のことを考える機会が増えたと話すチェン選手。四大陸選手権後の決断も注目される。