東京五輪の開幕まで、あと4カ月。本来ならばワクワク感が最高潮のはずだが、新型コロナウイルスの影響で、一天にわかに掻き曇ってしまった。
東京五輪はどうなるのか? モチベーションの維持が難しい、モヤモヤした状況のなか、残り少なくなった代表の座を争う選手たちがいる。
昨年のラグビーワールドカップで一気にブレークした、ジャパンのウイング、福岡堅樹選手もその一人だ。
《文:牧野森太郎●フリーライター》
アスリートとしての有終の美
福岡選手のラグビーワールドカップ東京大会2019での活躍は、凄まじいものがあった。開幕戦のロシア戦こそ欠場したものの、4試合に出場、4トライをあげた。
なかでも、決勝トーナメント出場を決めたスコットランド戦での2トライは今でもハッキリと目に浮かぶ、というファンも多いことだろう。
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(c)Getty Images
その福岡選手が次なる目標に掲げたのが、東京五輪の7人制ラグビー代表だった。しかも、五輪終了後は大学に入り直して医師を目指す。つまり、アスリートを卒業するという。
重心の低い独特のフォームで駆け抜ける姿を見るのも最後かと思うと、代表入りを願う声援が一層、高まって当然だ。
実は、福岡選手はすでに五輪出場経験がある。2016年のリオデジャネイロ大会の代表として出場していたのだ。
「え? そうだった?」という人も多いだろう。実際、大会直前にレギュラーを奪われ、控えでの出場が主だった。
リオ大会のジャパンは、初戦でニュージーランドを破るなど、4位ともう少しでメダルに手が届く大健闘をみせた。その一員としての経験が、福岡選手の15人制での飛躍につながったことは間違いない。
福岡選手はインタビューで、「オリンピック(リオ大会)では、メダルを取るか取らないかで、その後の扱いの差を感じました。やるからには、メダルを取りたい」と、負けん気が強いところを見せている。
東京五輪は、27歳で迎えるラガーマンとしての有終の美であり、やり残した仕事なのだろう。