【ボクシング】井上尚弥VSマロニー “モンスター”のラスベガス初陣はカシメロ戦への序章 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【ボクシング】井上尚弥VSマロニー “モンスター”のラスベガス初陣はカシメロ戦への序章

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【ボクシング】井上尚弥VSマロニー “モンスター”のラスベガス初陣はカシメロ戦への序章
【ボクシング】井上尚弥VSマロニー “モンスター”のラスベガス初陣はカシメロ戦への序章 全 1 枚 拡大写真

【速報】井上尚弥、ラスベガス・デビューを7回2分59秒KOで飾る!

トーンダウンを否めないモンスターのラスベガス・デビュー

井上尚弥選手の対戦相手、ジェイソン・マロニーの写真を見たときの第一印象は、「顎が細いな」。ボクサーにとって細い顎は打たれ弱さの象徴。モンスターの狙いすました右ストレートが炸裂して、後方に吹っ飛ぶシーンが頭に浮かんだ。

ご存知のように、井上選手は本来、4月25日にラスベガスMGMグランドホテル特設リングに華々しく登場し、3団体のベルトをかけてジョンリエル・カシメロとグローブを交えるはずだった。

ところが、コロナ禍で試合は延期。新しいスケジュールを待っているうちに、いつの間にか相手選手が変わってしまった。しかも、同じMGMとはいえ、会場は通称“バブル”と呼ばれるカンファレンスセンター。さすがに見慣れてはきたが、観客のいない会議室はかなり寂しい。試合の価値は、かなりトーンダウンしたと認めざるを得ない。

著者プロフィール
<文:牧野森太郎 フリーライター>
ライフスタイル誌、アウトドア誌の編集長を経て、執筆活動を続ける。キャンピングカーでアメリカの国立公園を訪ねるのがライフワーク。著書に「アメリカ国立公園 絶景・大自然の旅」(産業編集センター)がある。デルタ航空機内誌「sky」に掲載された「カリフォルニア・ロングトレイル」が、2020年「カリフォルニア・メディア・アンバサダー大賞 スポーツ部門」の最優秀賞を受賞。

試合序盤でのKO勝利が濃厚か

挑戦者、マロニーはオーストラリア出身で、双子の弟、アンドリューは元スーパーフライ級世界チャンプだ。井上選手と同じ、兄弟ランカーということになる。

ジェイソン・マロニーの戦績は22戦21勝(18KO)1敗。現在、WBA2位にランクされている。戦績自体は悪くないが、唯一の敗戦がWBSS(ワールドボクシング・スーパーシリーズ)1回戦、エマヌエル・ロドリゲス戦の判定負け。ロドリゲスといえば、WBSS準決勝で、井上選手が2RTKOで痛烈に葬り去った選手だ。

さらに、両選手との対戦経験がある、元世界スーパーフライ級チャンピオン、河野公平さんと高橋智明トレーナーが「ボクシング・マガジン」(ベースボール・マガジン社)のインタビューに応え、マロニーのバランスのよさを認めながらも、そろって井上選手の早いラウンドのKO勝ちを予想している。力関係は崩れそうにない。

当初の対戦相手、カシメロは9月に圧勝

では、どうして対戦相手がカシメロからマロニーに変更になったか、その経緯を確認しておこう。

4月25日のビッグマッチが延期になり、カシメロもスケジュールのアップデートを待っていた。しかし、6月にトップランク社の興業が再開されてもオファーがない。業を煮やしたカシメロサイドが、PBCとShowtimeが提案したデューク・ミカー(ガーナ)との試合を受けてしまったのだ。

試合の詳細は8月末に発表され、興業は9月26日にアメリカ・コネチカット州のモヒガンサン・アリーナで行われた。結果は、カシメロが得意の荒っぽいファイトで圧倒し、3RKO勝ちを収めた。

井上陣営から見れば、カシメロが対戦を避けたようにも映るが、カシメロはそれを全否定し、井上選手がマロニー戦をクリアすれば、いつでも戦う準備がある、と発言している。そして、我々と同様にモンスターがマロニーに大楽勝するだろう、と予想している。

波乱が起こる条件を考える

さて、マロニー戦に話を戻そう。この記事が配信された数時間後には、試合開始のゴングが鳴っているはずだから、すでに結果を知っている人も多いかもしれない。それを承知でマロニーが善戦する要素を探してみることにする。

最も気になるのは体格だ。もちろん、両者はバンタム級(53.52キロ)で対戦するわけだが、それは試合前日の計量時点でのこと。リングに上がるときの体重ではない。減量で体を絞ったボクサーは、一晩で数キロ増えるのが通常で、極端な場合は7キロも増えることがある。

井上選手はライトフライ級からキャリアをスタートしたが、マロニーは逆にスーパーバンタム級から降りてきた選手だ。もともとの体の大きさは4階級も違う。

もし、リング上で対峙したときにマロニーがひと回り大きく見えたら、井上選手のパンチが思ったより効かない可能性がある。ウエイト制で戦うボクサーのパンチの効果は、想像以上に繊細だ。井上選手の強烈なパンチを12R耐え切ったノニト・ドネアも、フェザー級チャンピオンになった経験があった。

大観衆を前にしたラスベガス・デビューを改めて期待

次に挙げたいのは試合勘。ドネアとの激闘から、すでに1年が経ってしまった。2014年から2015年にかけて拳の怪我のため1年間のブランクを作ったことはあるが、それ以外はコンスタントに3~6カ月で試合を行ってきた。この空白が試合運びに影響を与えないとは言い切れない。一方のマロニーは6月にバブルで試合をして、7RTKOで快勝している。

3つ目は、2週間前にワシル・ロマチェンコが敗れたこと。もちろん、井上選手とは何の関係もないが、パウンドフォーパウンド最強の呼び声高いロマチェンコが大番狂わせで敗れたことは、どうも嫌な予感がする。

もしも、予想よりも試合が長引いて判定にもつれるようなことがあれば、ハロウィーン・サプライズが起こらないとも限らない……!?

と、ちょっと苦しい予想をしてみたが、それはあくまでも余興だ。代役のオーストラリア人を軽く一蹴して、来年の早いうちにカシメロとの頂上決戦を実現してほしい。そのときは、ぜひ、満員の観客で埋まったMGM特設リングでのモンスター登場を見たいものである。

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