競馬=スポーツ、競走馬=アスリート、そして馬券=ドラマ、である。
再スタートした『SPREAD』では、野球、サッカー、ゴルフ、バスケットボール…これらのスポーツに加え、競馬を追加させていただくことになった。
読者の皆さまには、スポーツを予測する楽しみを、まずは競馬を通じて体験いただきたい。
競馬には、今秋誕生した牡牝無敗三冠馬のように、強い馬が強い競馬をするシーンもあれば、土曜スワンS(GII)を単勝オッズ143.7倍で激走した11人気カツジのように、穴馬が好走するシーンもある。
この誰もが予想できなかった「穴馬の好走を予測する楽しみ」をお届けしよう。
著者プロフィール
<文:山田剛(やまだつよし) 『SPREAD』編集長>
アスリートの素顔を伝えるメディア『SPREAD』の編集長。旅行・アウトドア雑誌のライターを経て、競馬月刊誌「UMAJIN」の編集長として競馬業界へ。その後、Neo Sports社にて、「B.LEAGUE」「PGA」「RIZIN」等のスポーツ×ゲーミフィケーション事業に携わり、現在に至る。競馬は、1995年マイルCSの16番人気2着メイショウテゾロの激走に衝撃を受けて以来、盲点となる穴馬の発掘を追求し続けている。
名牝2頭に他馬が割って入る可能性を探る
さて今週の天皇賞・秋。史上初の芝GI8勝が懸かるアーモンドアイ、宝塚記念を6馬身差でぶっち切ったクロノジェネシスと、歴史的名牝が1、2人気を背負うことになるわけだが、果たしてこの2頭が、無敗で菊花賞を制したコントレイルのように絶対的な存在か。
その菊花賞も、単勝23.0倍の4人気アリストテレスが、コントレイルにクビ差迫ったのは記憶に新しく、条件や展開次第で予測もしていなかった結果を迎えるのが、競馬である。
まず、どちらが崩れる可能性があるか、を予測したい。
アーモンドアイは、前走・安田記念で2年連続となる惜敗。稍重の影響か勝負どころでの反応はいつもより鈍く、またデビュー以来初となる中2週も、少なからず影響した可能性はあり、良馬場かつ間隔を開けて挑む今回、前走以上の走りは期待できる。
一方のクロノジェネシスは、稍重の宝塚記念で牡馬相手に大楽勝。本格化を思わせる活躍を見せているが、その宝塚記念が稍重で上がり36秒台の決着。今年の京都記念や昨年の秋華賞を含め、全6勝のうち4勝が稍重以上の馬場での勝利となっている。
天皇賞・秋は2年連続で1分56秒台の高速決着であり、クロノジェネシスにとっては決して適した舞台とは言い難い。つまり、条件・臨戦過程から前走からパフォーマンスを上げてくる可能性が高いのは、アーモンドアイのほうと見るのが妥当だろう。
前走からパフォーマンスを上げてくる穴馬
アーモンドアイと同じく、「前走からパフォーマンスを上げてくる可能性がある」という意味で、穴馬に挙げたいのが、ダノンプレミアム。昨年の天皇賞・秋で3人気2着の馬が、今年は前走・安田記念13着の大敗により、一気に評価が落ちて単勝20倍台となった。
その安田記念は、レース中に舌がハミを越し、4角で苦しくなってバランスを崩すシーンがあった。今回は中間からクロス鼻革やブリンカーを着用し、単走追いから併走追いと調教メニューを変えてくるなど、陣営の工夫が見られ、ガラリ一変の匂いがプンプン漂う。ここまでの走りから、スピード競馬となる東京芝2000mはドンピシャの舞台。人気以上の評価を与えたい。