WBA世界スーパーミドル級王座統一戦が19日(日本時間20日)、アメリカ・テキサス州のアラモドームで行われる。WBAミドル級スーパー王者のサウル・アルバレス(メキシコ)と同スーパーミドル級スーパー王者のカラム・スミス(イングランド)によるビッグマッチだ。2019年11月に4階級制覇を達成したカネロことアルバレスは、ボクシング界最強と評価されることも多々あり、アルバレス優位という声も聞かれる。果たしてスミスに勝機はあるのか。海外メディアではボクシング界の専門家たちによるスミス勝利へのカギが提言されている。
■命運を左右する約20センチのリーチ差
イギリスのボクシング専門誌「Boxing News」(電子版)では、「カラム・スミスがサウル・アルバレスを倒すためにできることは?」と題した記事のなかで、ボクサーや識者たちによる提言を掲載している。ロッキー・フィールディング(イングランド)やライアン・ローズ(イングランド)といった、アルバレスとの対戦経験がある選手もコメントを寄せており、スミスにとってはまさにこれ以上はないアドバイスといえるものだ。
各提言で共通しているのは、191センチというスミスの長身や、198センチのリーチを生かすべきという点だ。フィールディングは「動きを止めず、アウトボクシングに徹するべき。距離を保つように心がけろ」と、体格差を活用しての攻めを提言している。ローズも同意見となっており、「序盤は身長差やリーチを駆使して、距離をとっておく。カネロのミスショットを引き出して、カウンターを打ち込む。スミスとしては判定まで長引かせたくないだろうから、終盤でのTKOを狙ってくるだろう」という予想を披露している。
メキシカンボクサーならではの、インサイドでの強みと強烈な一打を兼ね備えているカネロの持ち味をいかに封じるか。スミスの勝機はこの1点にかかっていると言っても過言ではなさそうだ。北京五輪のボクシング銅メダリスト、トニー・ジェフリーズ(イングランド)も同記事にて「接近戦になれば(カネロの)強打が襲ってくる。カネロのスタイルを打ち破れる存在がいるとしたら、それこそカラム・スミスだろう」と語り、スミスに大きな期待を寄せている。
アルバレスは、アメリカの専門誌「The Ring」による全階級を通じてのランキング「パウンド・フォー・パウンド(PFP)」でも井上尚弥を抑えて現在1位に君臨。言うならば当代最強のボクサーだが、スミスもここまで27戦無敗、19KOの実力者でありタフな一戦になるのは間違いない。両者ともに1990年生まれ、同年代によるリーチ差約20センチの戦いの行方に注目したい。
文・SPREAD編集部