巨人は8日、エース右腕・菅野智之のポスティング制度による移籍交渉の手続きを、MLBへ申請したと発表した。
名実ともに日本を代表するエースのMLB挑戦は、現地でも連日大きく報じられており、すでに獲得に乗り出している具体的な球団名についても言及されている。果たして菅野がもっともフィットする球団はどこなのか――菅野に興味を持っているとされている主な球団の投手成績を改めて振り返りたいと思う。
※以下はすべて2020シーズンの成績
アメリカン・リーグ
●ヤンキース
チーム防御率:4.35(リーグ8位)
主な先発投手
・ゲリット・コール 7勝3敗 防御率2.84
・ジョーダン・モンゴメリー 2勝3敗 防御率5.11
・デイビー・ガルシア 3勝2敗 防御率4.98
田中将大、パクストン、ハップの3投手がFAとなり、実績のある先発はコールのみ。ヘルマンやセベリーノといった若手が控えている状況だが、両者はそれぞれトミー・ジョン手術や出場停止処分からの復帰となり、期待値通りの活躍が残せるか不安もある。安定したベテランを欲しているチーム状況を考えれば、菅野獲得に動き出すのも自然な流れと言える。
●レッドソックス
チーム防御率:5.58(リーグ14位)
主な先発投手
・ネイサン・イオバルディ 4勝2敗 防御率3.72
・タナー・ハウク 3勝0敗 防御率0.53
最下位に沈んだレッドソックスにとっては、何より投手陣のテコ入れが不可欠。特に先発投手は、現状計算できる存在がイオバルディのみ。トミー・ジョン手術を受けたセールの復帰は来夏以降、新型コロナウイルスによる心筋炎のロドリゲスの復帰も現状未確定であり、これまで日本人投手の活躍が躍進につながっているレッドソックスとしては、菅野は喉から手が出る存在だ。
●ブルージェイズ
チーム防御率:4.60(リーグ10位)
主な先発投手
・柳賢振 5勝2敗 防御率2.69
・タナー・ロアーク 2勝3敗 防御率6.80
・ロビー・レイ 2勝5敗 防御率6.62
ブルージェイズは近年、プロスペクト野手を中心に据えたチーム編成で徐々に力をつけてきている。今季は勝ち越し、地区3位となっただけに来季はプレーオフ進出を狙う。柳やレイなど実績ある左腕が揃っているだけに、右の先発投手補強が目下の課題。また近年は山口俊やドリスなどNPB出身投手の獲得に積極的に乗り出している。
ナショナル・リーグ
●ジャイアンツ
チーム防御率:4.64(リーグ8位)
主な先発投手
・ジョニー・クエト 2勝3敗 防御率5.40
・ケビン・グーズマン 3勝3敗 防御率3.62
・ローガン・ウェッブ 3勝4敗 防御率5.47
かなり早い段階から菅野への関心が伝えられているのがジャイアンツだ。実績のあるクエトも近年はピリッとせず、他球団同様に先発の頭数に不安は否めない。今季限りでサマージャとの大型契約が満了したこともあり、金銭面でも多少の余裕はあると見られている。ちなみに監督はかつて巨人でもプレーしたお騒がせ助っ人、ゲーブ・キャプラーだ。
●パドレス
チーム防御率:3.86(リーグ3位)
主な先発投手
・マイク・クレビンジャー 3勝2敗 防御率3.02
・ディネルソン・ラメット 3勝1敗 防御率2.09
・ザック・デイビーズ 7勝4敗 防御率2.73
・クリス・パダック 4勝5敗 防御率4.73
14年ぶりのプレーオフ進出を果たしたパドレスだが、2年契約を結んだクレビンジャーはトミー・ジョン手術のため来季は全休の予定。投打で若手が台頭し、打倒・ドジャースの機運が高まっている状況なだけに菅野の獲得でさらに勢いをつけたい。温暖な西海岸、さらに投手有利とされる本拠地という要素もある。
その他、現地報道ではレンジャーズも菅野獲得を検討しているとされている。FA市場ではサイ・ヤング賞右腕であるトレバー・バウアーに次ぐ評価をされている菅野は、どの球団にとっても魅力的な存在であるのは間違いない。依然としてコロナ禍で不安定な情勢が続いているのは確かだが、ポスティング終了まで各球団による水面下での鍔迫り合いが繰り広げられていくだろう。
文・SPREAD編集部