
12月31日のさいたまスーパーアリーナ「Yogibo presents RIZIN.26」に出場する朝倉海と堀口恭司が29日、オンラインインタビューに登場した。
ふたりがはじめて拳を交えたのは2019年8月18日の「RIZIN.18」。いまでこそ名実ともにRIZINを代表する選手となった朝倉海だが、当時RIZIN・Bellatorの2冠王者だった堀口との“格”の違いは明らかだった。しかし、戦前の下馬評を覆し、わずか68秒で王者をマットに沈めた朝倉海。この勝利で一躍その名を全国区とした朝倉海は、一気にスターダムを駆け上がる。
この試合から約2か月後、バンタム級のベルトを懸けて2019年大晦日「RIZIN.20」での再戦が決定。しかし、リベンジを期す堀口に悲劇が襲う。右膝前十字靭帯断裂と半月板損傷により、全治10か月と診断された堀口は手術を行い、出場予定だった大晦日のRIZINを欠場。RIZINとBellatorのベルトも返上した。
それから一年。待望のリマッチがついに実現する。朝倉海は2020年8月10日の「RIZIN.23」で扇久保博正と対戦しTKO勝ち。念願のバンタム級王座獲得に成功した。一方の堀口はこれが復帰戦だ。因縁のふたりの対決が、大晦日に決着する。
■「しっかり今回勝って、来年一発目でBellatorのベルトを取りに行けたら」
試合を間近に控え、ここまでの調整について朝倉海は、
「いつもより減量幅が大きかった分ちょっときつかったんですけど、残りあと3キロくらいなので、今夜水抜きをして落とします。順調に調整ができています。(これまでは3キロくらいだったが、当日は)5キロくらい戻そうかなと思っています。いつもよりパワーはつくと思います」
と、順調であることをアピール。記者からこの一年での進化を問われると、
「試合ごとに良いところ、悪いところを見つめなおして修正してきたので、一年前よりもさらに強くなって今回戦うことができる。全部向上しているので、とにかく試合を見てほしいですね。(全局面で進化のすべてを)見せられると思う」
また先日、榊原CEOが水面下での調整を明かしたRIZIN・Bellator2団体王者のタイトルマッチ。Bellatorのバンタム級王座はフアン・アーチュレッタが保持するが、
「すごく嬉しいことですし、堀口選手に勝てば必然的にそうなるのかな、と思ってる。しっかり今回勝って、来年一発目でBellatorのベルトを取りに行けたら」
と、かねてから表明していた「海外挑戦」にも前向きだ。そして試合前夜の過ごし方について質問が飛ぶと、
「普通に過ごしたい。考えはまとまっているし、作戦もまとまっているんで、普通にいつも通り過ごすだけ。前日に考えることはそんなにない。大事にしていることもないし、リラックスして早く寝るくらい」
と、あくまで自然体であることを強調した。あとは「人事を尽くして天命を待つ」のみ。
■RIZINのベルトは自分が持っているもの

対する挑戦者・堀口。やはり気になるのは膝の状態だろう。
「本格的にスパーリングを再開したのは7月か8月あたり。(怪我の影響はなく)いまは100%に近い状態、元の膝に近いような形に戻っています」
また拠点を海外に置いているだけに、コロナ禍の影響で調整の遅れなどなかったのか。
「日本に戻ってからは時差ボケもあるので、最初はそんなに飛ばさずに家の中でできることだけをやりました。2週間の隔離が終わってから、しっかりした対人などの練習を再開した感じですね」
一年前との違いを記者に訊かれると、スキルと対戦相手の研究について挙げた。
「自分のもともとのスタイルに、どんどん技を付け加えたって感じですかね。膝が壊れてから動けない期間が長かったので、動けないなりの技だったり、そういったのを加えていった」
「日本にいたときは感性で全部やってきた。ただ、アメリカに渡ってコーチのマイク・ブラウンから相手の研究など(を教わり)、プロの世界なので研究して弱点を見つけると、楽って言ったら変ですけど、攻略法がある(のでそこを攻めていきたい)。感覚もあるし、ちゃんと戦略も練る。一年前とはここが違いますね」
そしてRIZINのベルトの重みについては、
「自分が怪我して返しちゃったので、役目として自分が持っているものだな、と思っている。しっかり獲らないとな、って感じです」
と答えた堀口。
「自信はあります。不安はゼロで試合に向かえる」
そのまなざしは力強く、まっすぐ先を見据えていた。
文・SPREAD編集部