今週は東京競馬場で東京新聞杯(芝1600m)が行われる。
かつてはリスグラシューやインディチャンプといった馬がこのレースを制し、スター街道へと駆け上がった。底力が問われる東京マイル重賞を勝つことの意味が窺い知れよう。
データで紐解く今年の東京新聞杯。過去10年のデータ分析から浮かび上がったキーワードをご覧いただきたい。
1.ヴァンドギャルドに死角あり、カギとなる「冬競馬実績」
2.シャドウディーヴァが持ちうる「馬券圏内率75%」という強力データ
3.データが導く2021東京新聞杯の穴馬候補は?
◆「東京新聞杯」過去10年わずか“1勝”外枠の人気馬より、内枠の大穴を狙う
■ヴァンドギャルドに死角あり、カギとなる「冬競馬実績」
東京芝1600mのGII・富士Sを制しマイル路線のトップグループへと躍り出たヴァンドギャルド。
強豪相手のマイルCS6着はこのメンバーでは大威張りできるものだが……ここはふたつ引っかかるデータがある。
・12-2月の成績【0-0-0-3】
・馬番フタ桁番時の成績【0-0-1-4】
馬券圏外のなかには昨年6着に敗れた東京新聞杯も該当。寒い季節にさしかかると途端にパフォーマンスを落としてしまっているのだ。
絶好調の福永祐一騎乗というプラス材料をも打ち消すマイナスデータ。外枠を引いてしまった点も含め、さすがに無視するわけにはいかない。
■シャドウディーヴァが持ちうる「馬券圏内率75%」という強力データ
昨年の東京新聞杯2着馬・シャドウディーヴァが今年も参戦。府中牝馬S2着、クイーンS4着と実績を積み重ね舞い戻ってきたわけだが、2200mからの距離短縮は不安にも映る。
ここでは、そんな不安を帳消しにするデータをご紹介したい。
・前走エリザベス女王杯組の成績【3-0-0-1】
勝ち馬3頭の内訳は、
・ホエールキャプチャ
・スマートレイアー
・リスグラシュー
あのリスグラシューも好走ローテを味方に勝利を飾っていたのだ。
コース実績は言うまでもなく、今年は臨戦過程が良好なシャドウディーヴァ。2年連続の馬券圏内に向けて待ったなしだ。
■データが導く2021東京新聞杯の穴馬候補
8人気馬が2勝を挙げるなど、波乱も珍しくない東京新聞杯。この項では、データ面から上位進出を目論む穴馬候補2頭を取り上げたい。
穴候補1 トライン
自身初のリステッド競走となった前走キャピタルSは6着。まだまだクラスの壁があるようにも思える馬だが、今回はデータ面から強調材料を見出すことができる。
・左回りでの成績【2-0-1-2】
この条件で敗れた前走は休み明け好走→間隔を詰めて再度東京遠征と厳しいローテーションだった。仕切り直しで間隔をあけて臨む今回、巻き返しの可能性は十分だ。
穴候補2 カラテ
全4勝を5人気以下で挙げる生粋の穴馬。目下連勝中も重賞ではさすがに……と人気の盲点にある同馬にもデータ面での追い風はある。
・12-2月成績【3-0-0-4】
一見すると好走率は低く思えるが、前提としてこの馬は「超」が付くほどのムラ駆け。22戦4勝、敗れた18戦はいずれも馬券圏外だ。父トゥザグローリーは有馬記念で2年連続3着と、冬競馬に高い適性を示していた馬。その血を受け継ぐ本馬の再激走があっても驚けない。
▼競馬ストーリーテラー・田原基成の重賞分析TV「東京新聞杯」
著者プロフィール
田原基成(たはらもとなり)●競馬評論家
競馬予想の魅力を世に発信し続ける「競馬ストーリーテラー」。予想に対して謎ときに近い魅力を感じており、ローテーション・血統の分野にて競馬本を執筆。現在はUMAJIN内「競馬サロン」にてコラム【競馬評論家・田原基成のいま身につけるべき予想の視点】 執筆中。『SPREAD』ではデータ分析から読み取れる背景を紐解き、「データの裏側にある競馬の本質」を伝えていく。
twitterアカウントはこちら⇒田原基成@競馬ストーリーテラー