今週は東で東京新聞杯、西できさらぎ賞のGIII2鞍。過去10年、1番人気は東京新聞杯【1-0-2-7】、きさらぎ賞【3-2-1-4】と、荒れる傾向にあるのは東京新聞杯のほうだ。
近年、東京新聞杯の勝ち馬には、インディチャンプやリスグラシューといったGI馬の名前も連なるが、どちらもこの時点ではGI未勝利だった。東京新聞杯は春のGI戦線へ向けた賞金加算の目的が強く、重賞初挑戦や条件戦を勝ち上がったばかりの馬の参戦も多い。
今年も、前走重賞組は16頭のうち8頭で、残り8頭はリステッド競走、オープン戦、条件戦。荒れる要素は十分にある。
◆「東京新聞杯」馬券圏内率75%という強力データに該当する馬
■過去10年で1~4枠9勝と内枠が圧倒
東京新聞杯の攻略で重要なのは、枠順の優劣。例年、開幕2週の東京芝コースとあって圧倒的に内枠が有利で、過去10年、1~4枠の9勝に対し、5~8枠はわずか1勝。これを今年の出走馬の前日オッズで当てはめてみると、より穴馬を内枠に求めたくなるはずだ。
年明けの1回東京では、内ラチから外へ9mの地点に柵が設置されるDコースを使用。つまり幅員が狭く、最大幅員のAコースでよく見られる横一線の置い比べではなく、ラチ沿いの攻防となるわけだ。実際、同じ東京芝1600mでもAコースで行われる富士Sでは過去10年、1~4枠の4勝に対し、5~8枠は6勝と外枠が有利。
今年、1番人気が予想されるヴァンドギャルドが制した昨年の富士Sも、5枠の同馬が1着、2着に8枠のラウダシオン、3着は7枠のケイアイノーテック。やはり外枠の馬が上位を占めていた。この視点で展開すると、今回7枠に入ったヴァンドギャルドが、富士Sと同等かそれ以上のパフォーマンスを発揮できるかは疑問となる。
前週は週中の悪天候の影響から8枠の好走が目立ったが、今週は転向に恵まれて馬場コンディションは良好で、前日土曜は内枠の好走が増えた。今年も内枠有利と見て問題ないだろう。
また、内枠に加えて抑えておきたいのが、脚質傾向。内枠有利=前有利と思いがちだが、過去10年の脚質傾向を見ると
逃げ【2-1-0-6】
先行【1-1-4-23】
差し【6-3-3-40】
追込【0-4-2-37】
と、差しが有利の傾向にある。
今年の1回東京はとくに馬場コンディションがよく、先週土曜の3歳未勝利では芝1800m1分45秒2というとんでもない好タイムが出た。今年も決め手は必要になるだろう。中団で脚を温存していた馬が直線インからスルリと抜け出す。そんなイメージがしっくりくる馬を狙いたい。
■真ん中~内枠に潜む人気の盲点を狙う
まずは、2枠のロードマイウェイ。前走・京都金杯は向正面で不利を受けて最後方まで下がってしまった。一昨年のチャレンジC1着後、見せ場なく終わるレースが続いていたが、2走前のキャピタルSでは上がり最速の末脚で2着と復調気配を見せた。東京コースは3戦2勝2着1回と相性がよく、復活を期待するのはこの舞台だろう。
続いて、3枠のトライン。ここまで14戦のうち8戦で上がり最速を計時しており、決め手はある。前走は道中掛かって末脚不発となったが、脚が溜まると上がり33秒台で飛んでくる馬。2走前の3勝クラスでは、東京芝1600mで上がり33秒3の差し切りV。前に壁を作りやすいこの枠なら、末脚は温存できる。
最後に、条件的にギリギリとなる5枠ではあるが、サトノアーサー。昨秋の富士Sは1番人気で9着に敗れたが、馬場の悪い内目を走らされた影響か末脚不発。前走・京都金杯は4角でぶつけられる場面もあり、近2戦は消化不良のレースが続いている。昨夏の関屋記念は上がり最速で勝利。昨年の東京新聞杯では0秒4差の4着と健闘しており、人気落ちのここはオイシイ存在だ。
著者プロフィール
山田剛(やまだつよし)●『SPREAD』編集長
アスリートの素顔を伝えるメディア『SPREAD』の編集長。旅行・アウトドア雑誌のライターを経て、競馬月刊誌「UMAJIN」の編集長として競馬業界へ。その後、Neo Sports社にて、「B.LEAGUE」「PGA」「RIZIN」等のスポーツ×ゲーミフィケーション事業に携わり、現在に至る。競馬は、1995年マイルCSの16番人気2着メイショウテゾロの激走に衝撃を受けて以来、盲点となる穴馬の発掘を追求し続けている。
twitterアカウントはこちら⇒『SPREAD』編集長・山田