米プロアメリカンフットボール(NFL)は7日(日本時間8日)、第55回スーパーボウルがレイモンドジェームス・スタジアム(フロリダ州タンパ)で行われる。
今年の対戦カードはタンパベイ・バッカニアーズ対カンザスシティ・チーフス。チーフスの若き司令塔、25歳のパトリック・マホームズとバッカニアーズのベテランパサー、43歳のトム・ブレイディによる新旧クオーターバック(QB)対決は、戦前から注目を集めている。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で世界的に異常事態となったが、NFLは1試合も中止することなくスーパーボウル開催までこぎつけた。そんな異例のシーズンを締めくくるスーパーボウルは、バッカニアーズが本拠地でスーパーボウルを迎える史上初のチームとなったように、他にも初物づくしの記録達成が予想される。
◆【ハイライト動画】バッカニアーズとチーフスがスーパーボウル進出を決めたチャンピオンシップ戦の模様
■殿堂入り間違いなしの両QBによる「世紀の対決」
まずは、冒頭でも触れた世紀のQB対決。ブレイディ(試合当日43歳188日)とマホームズ(同25歳143日)の年齢差(18歳45日)は、先発QBとして史上最大だ。
レギュラーシーズンの勝率ではマホームズが44勝9敗(勝率.830)でNFL歴代トップの勝率。対するブレイディは、263勝80敗(勝率.767)で、同3位の数字を誇る。親子ほど年齢が離れている両者だが、数字だけを見ても現役だけではなく、歴代でも屈指のパサーと言える。
2020年のスーパーボウル最優秀選手に輝いた25歳のマホームズは、もしスーパーボウル連覇を果たせば、複数回スーパーボウルを制覇した史上最年少の先発QBとなる。一方、ブレイディが勝てば、自身の記録を更新する7度目のスーパーボウル制覇だ。
そんな殿堂入り間違いなしのQB対決は、今年のスーパーボウルの見どころの一つだろう。お笑い界で例えるなら、「ビッグ3」と「第7世代」がM-1の舞台で対決するようなものか。
■NFL記録を塗り替えたケルシーとWRコンビにも注目
チーフスのパスオフェンスは、リーグトップの破壊力を誇る。エースQBマホームズは、投げてはリーグ2位のパス4,740ヤードを記録。走ってもQBとしては上出来のラン1回平均5ヤードと、走って投げられる万能QBだ。
かつて横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)でプレーしたパット・マホームズ投手を父に持ち、父親譲りの強肩を武器にタッチダウンを量産。ディフェンスにつかまりそうになった時には、まるで内野手の送球のようにサイドスローでパスを繰り出す。また、抜群の身体能力を生かした機動力で相手ディフェンスをかわし、相手守備はなかなか捕まえられないという厄介なQBだ。
そのマホームズのメインターゲットになるのが、TE(タイトエンド)トラビス・ケルシー。NFL8年目の31歳は、リーグ2位のレシービングヤード(1,416)を記録し、TEのNFL記録を塗り替えた。身長196センチ、体重118キロとサイズがあるだけに、ゴール前では貴重なターゲットになる。他にも、“チーター”が愛称の快足レシーバー、WR(ワイドレシーバー)タイリーク・ヒル、2年目のWRメコール・ハードマンにも注目したい。
■不惑を過ぎても衰え知らずのブレイディ
対するバッカニアーズのオフェンスは、言わずもがなブレイディが中心。43歳の司令塔は、移籍1年目で万年下位だったチームを18年ぶりの頂上決戦へ導いた。その一方で、ブレイディが抜けたニューイングランド・ペイトリオッツは地区優勝を逃しただけでなく、プレーオフにも進むことができずにダイナスティが崩壊した。
そんな優勝請負人のブレイディは、新天地で自身13年ぶりのシーズン40TDパスをマーク。これは50TDパスを記録した2007年シーズンに次ぐ自己2位の数字だ。パス獲得ヤードも、リーグ3位の4,633ヤード。同2位のマホームズとわずか107ヤードと、18歳の年齢差を感じさせず、不惑を過ぎても止まることを知らない。
ブレイディの相棒は、マイク・エバンスとクリス・ゴッドウィンのWRデュオ。エバンスは、捕球獲得ヤードで一流レシーバーの証である1,000ヤードをルーキーイヤーから7年連続で突破した安定感抜群のレシーバー。ゴッドウィンは、ブレイディ移籍に伴い、それまで自身が着けていた背番号「12」を譲ったほどブレイディを信頼している。さらに忘れてはいけないのが、ペイトリオッツ時代の盟友、TEロブ・グロンコウスキー。ブレイディの誘いを受けて2年ぶりに現役復帰した31歳は、大舞台でもブレイディとのホットラインを開通できるか。