21日(日)は今年初のGI競走フェブラリーS(GI、ダ1600m)が開催されます。
モズアスコット(昨年の優勝馬、既に種牡馬入り)、チュウワウィザード(昨年のチャンピオンズC優勝馬、サウジアラビアに遠征中)、ゴールドドリーム(昨年のチャンピオンズC2着馬、既に種牡馬入り)、クリソベリル(昨年のチャンピオンズC4着馬、18日に右トモを再手術)らの名前がないこともあり、今年は大混戦模様を呈しています。
それだけに騎手の腕が大きく結果を左右しそうですね。
◆「フェブラリーS」根岸S組、差し・追込という穴党セオリーの“逆”を突く
■北村宏、田辺はフェブラリーSで好成績
それではフェブラリーSの気になる騎手データを見ていきましょう。
中山競馬場で行われた2003年を除く、2000年以降のフェブラリーSの成績データを基に、今年のフェブラリーSに乗り鞍がある騎手の成績をまとめています。
各騎手の騎乗数に大きなバラつきがあることを考慮する必要はありますが、着順と人気のバランスが優れているとデータが示すのが北村宏司騎手、田辺裕信騎手です。
北村宏司騎手は肝心の馬券圏内突入こそありませんが、2015年のフェブラリーSでは11番人気のグレープブランデーを4着に導いていますね。
また、過去6回の騎乗の内5回は騎乗馬を人気以上の着順に導いており、人気以上の走りが期待できる騎手と言えます。
今年、同騎手が跨るのが前日13時段階で6番人気のソリストサンダー(牡6、栗東・高柳大)。前走でOPを初めて勝った馬ながら穴人気している状況ですが、この鞍上なら軽視はできないでしょう。
そして田辺裕信騎手も優秀な数値を残す騎手のひとり。
2014年は16番人気のコパノリッキーで見事優勝しています。この勝利が数値を引き上げている形ですが、一発には警戒が必要ですね。
同騎手が今年騎乗するのが前日13時段階で2番人気のアルクトス(牡6、美浦・栗田)。昨年のフェブラリーSでは9着だった同馬。今年は昨年以上の結果を残せるのか注目です。
■人気馬で結果を残すのはC.ルメール
さて、フェブラリーSの過去データを見ていくと、C.ルメール騎手、M.デムーロ騎手、武豊騎手の3名が人気馬に騎乗する機会が多いと分かります。
その3名の中で人気に比べて着順の落ち込みが少ないのがC.ルメール騎手です。
2009年のカネヒキリ(1人気3着)、2016年のノンコノユメ(1人気2着)、2019年のゴールドドリーム(2番人気2着)と人気馬で勝ち切れない競馬が続きましたが、昨年は1番人気のモズアスコットで鮮やかに突き抜けていますね。
今年は前日13時段階で1番人気のカフェファラオに騎乗しますが、データからは嫌うよりは信頼するのが正解かもしれません。
■人気以上の好走が見込める騎手
続いて昨年のGI成績データを基に、今年のフェブラリーSに乗り鞍がある騎手の成績もまとめていますので見ていきましょう。
騎手ごとに騎乗数のバラつきがかなりありますね。騎乗数を重視し、10鞍以上騎乗した騎手の中から見ていくと、着順と人気のバランスが優れているデータが示したのが松山弘平騎手です。
デアリングタクトの牝馬3冠以外にも、10月のスプリンターズSでは10番人気のアウィルアウェイで3着、12月の有馬記念では11番人気のサラキアで2着に好走していますね。
昨年のGIでは伏兵馬であっと言わせるケースが多く、同騎手が跨る前日13時段階で12番人気のエアアルマス(牡6、栗東・池添学)は侮れないかもしれません。
■C.ルメールと川田は連対率に大きな差
最後に昨年のGIで人気馬に騎乗する機会が多く、今年のフェブラリーSでも人気馬に騎乗するC.ルメール騎手、川田将雅騎手のデータを見比べていきましょう。
騎乗馬の質、人気ともC.ルメール騎手が飛び抜けていることを考慮する必要はありますが、C.ルメール騎手、川田将雅騎手とではGIの連対率で4倍近い差が出ています。
昨年のGIで同等の人気を背負った福永祐一騎手と比べると、昨年の川田将雅騎手はGIでそれほど乗れていなかったことが分かります。
実際に高松宮記念のダノンスマッシュ(3人気10着)、秋華賞のリアアメリア(2人気13着)のように上位人気に推されながら大敗するケースが何度もあったのは気になるところ。
今年のフェブラリーSで川田将雅騎手が跨るのが前日13時段階で3番人気のレッドルゼル(牡5、栗東・安田隆)。昨年のGIデータを参考にすると、過信は禁物かもしれませんね。
著者プロフィール
伊藤大輔(いとうだいすけ)●「UMAJIN.net」編集部
秋田県生まれ。スポーツ関連書籍出版社、競馬専門紙の勤務を経て、現在はUMAJIN .netでライティング、競馬データ解析等を担当。『SPREAD』では主観的要素の強い「馬体解析」と客観的なデータの蓄積である「騎手データ」から、注目すべき馬と騎手を取り上げていく。