ボクシング・WBC世界スーパーミドル級&WBA世界同級スーパー王座防衛戦が27日(日本時間28日)、ハードロックスタジアム(フロリダ州マイアミ)で行われる。
世界4階級制覇王者のサウル・アルバレス(メキシコ)と、WBC同級2位の指名挑戦者アヴニ・イルディリム(トルコ)による一戦は、「カネロ」の愛称でも知られるアルバレスが優位と目されているが、果たして波乱の展開はあり得るのか。
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■海外ブックメーカーはカネロに“太鼓判”
アルバレスは2020年12月に行われたWBA世界スーパーミドル級王座統一戦でカラム・スミス(英国)に3-0で判定勝ちを収めるなど、ここまでの戦績は54勝1敗2引き分け(36KO)。アメリカの専門誌「The Ring」による全階級を通じてのランキング「パウンド・フォー・パウンド(PFP)」でも井上尚弥を抑えて1位に君臨するなど、名実ともに当代最強のボクサーだ。
一方のイルディリムは通算21勝2敗(12KO)で、2019年9月のアンソニー・ディレル(米国)戦以来のリングとなる。
これまでの戦績などを加味して、ここまではアルバレス優位との見方が大半だ。海外ブックメーカー最大手の「bet365」でも、アルバレスの勝利に対して「1.02倍」という“鉄板”オッズが設定されている(イルディリム勝利には「15.00倍」)。
■トルコスポーツ界にとっても大きなイルディリムの活躍
愚直に前に出るスタイルで「ミスター・ロボット」の異名を取るイルディリムは、これまでに元WBO2階級王者であるティモシー・ブラッドリー(米国)などのトレーナーを務めてきたジョエル・ディアス氏をチームに招いて調整を行っている。
米スポーツ専門局「ESPN」では、勤勉なイルディリムについて語ったディアス氏のコメントを紹介している。
「イルディリムが初めて私のところに来たとき、彼のボクシング能力には驚かされた。彼は向上心に溢れ、トレーニングについて文句も言わない。
タフな戦いになるのは彼自身も承知のうえだが、チーム一丸となることで勝者にだって鳴り得る」
また記事では、トルコ出身のボクサーがこのような大舞台に立つことが珍しく、同国のスポーツ界としても大きなステップであるとの関係者のコメントを報じている。
「トルコ人ボクサーがこんなチャンスを掴むことは過去になかったが、ここまで厳しい練習を積んできた。苦しい場面もあるだろうが、願わくば勝利を収めたい」と静かな決意を語っているイルディリム。下馬評を覆し、母国のスポーツ界にとっても大きな一歩を刻むことができるか。
文・SPREAD編集部