現役時代に“ハマの番長”の愛称で親しまれた三浦大輔新監督の下で新たなスタートを切るDeNA。2002年から2015年までの14年間で10度の最下位を味わった低迷期から、ラミレス前監督が指揮した5年間はAクラス3度とクライマックスシリーズ(CS)の常連チームとなった。新たなステージへ向けて、現役通算172勝を挙げ、投手出身では球団45年ぶりとなった生え抜き監督が、1998年以来となる悲願のリーグ優勝に挑む。
■ドラフト、他球団からの移籍選手に注目
新外国人3人のうち2人は育成契約。新戦力の補強はドラフトが中心で、その他、トライアウトで投手を1人、FAの人的補償で野手を1人獲得したのみと、比較的静かなオフとなった。
ルーキー組では、まず1位指名の入江大生に期待。最速153キロのストレートにスライダー、フォークも威力十分で、1年目から先発ローテーション入りが期待される。明治大出身の投手としては、昨季は3位入団の伊勢大夢が中継ぎとして即戦力になっており、他チームでは森下暢仁(広島)が新人王を獲得するなど、いわば“安心のブランド”と言える。
さらに注目が2位指名の牧秀悟。侍ジャパン大学代表で4番を務めた内野手で、春季キャンプでの紅白戦の初打席で本塁打を放つ“衝撃デビュー”。手薄な二塁のレギュラー奪取の可能性もありそうだ。下位指名では、5位の社会人出身左腕の池谷蒼大にも即戦力の期待がかかる。
新外国人選手では、ドミニカ共和国出身の150キロ右腕・ロメロに先発の一角が期待されていたが、DeNAはコロナ禍の影響で外国人選手全てが春季キャンプに参加できない見込み。その意味ではトライアウトで獲得した風張蓮(前ヤクルト)にチャンスがありそう。野手では梶谷隆幸のFA補償選手として巨人から移籍した田中俊太が、アピールを続けており、内野争いに食い込んできそうだ。
■故障者が復帰すればリーグ屈指の投手陣に
投手陣は、現状ではFA移籍した井納翔一の穴を若手が競うかたちになるが、故障者の復帰状況次第で大きく変わる。
左腕エースの今永昇太と2018年新人王の東克樹はともに手術明けで、開幕に間に合うかどうかは微妙な状況。現状では、昨季自身初の2ケタ勝利をマークした大貫晋一を中心に、濱口遥大、平良拳太郎、上茶谷大河らが続く。残りの枠を昨季プロ1年目から4勝をマークした左腕の坂本裕哉、近年ローテ候補として名前が挙がる京山翔弥、阪口皓亮、中川虎大などが争う。
昨季までの4年間で219試合に登板したパットンが抜けたリリーフ陣は、石田健大とエスコバーの両左腕を中心に、国吉佑樹、砂田穀樹、武藤祐太、平田真吾、伊勢など左右の異なるタイプが顔を揃え、故障明けの三上朋也などの実績組やブレイク候補の櫻井周斗なども控えるなどバリエーションは豊富。クローザーは昨季途中から定着した三嶋一輝が有力だが、2019年まで絶対的存在で復活を目指す山﨑康晃の状態が注目されるところだ。
■野手は各ポジションで熾烈な定位置争い
打撃陣は、2018年、19年の本塁打王で、早くもNPB通算100本塁打を達成したソト、昨季出場65試合で20本塁打をマークしたオースティンの両外国人が強力。コロナ禍の影響での調整遅れをクリアできれば問題ないはずだ。その2人に加えて、昨季最大のサプライズとも言えた佐野恵太と首位打者経験のある宮﨑敏郎が今季も打線の中心になるが、注目はFA移籍した梶谷の後釜となるセンターのポジションだろう。
昨季、規定打席不足ながら打率3割をマークした神里和穀が最有力で、将来の4番候補と評される5年目の細川成也が続く。ラミレス前監督が高く評価した2年目の蝦名達夫、控えで存在感を発揮する乙坂智や楠本泰史、復活を期す関根大気など、ここでも熾烈な争いが予想される。
内野陣は、大和や柴田竜拓、倉本寿彦の実績組に、20年ドラフト1位の森敬斗やこちらもクリーンアップ候補と評価が高い伊藤裕季也らがどこまで迫れるか。レギュラー不在の捕手争いは、昨季チーム最多の96試合に出場した戸柱恭孝と復活を期す伊藤光の争いになりそうだ。
打線は破壊力十分。FA流出による戦力ダウンは、若手の成長でカバーする。あとは、いかに勢いに乗ることができるか。新監督の采配、手腕も重要なファクターになる。
記事提供:ベースボール・タイムズ
データ提供:野球DB