2017年の最下位から2018年5位、2019年4位と着実に順位を上げ、昨季は2位で4年ぶりのクライマックスシリーズ(CS)進出を果たしたロッテ。1年間のトータルでは失点が得点を上回ったが、優勝したソフトバンクに勝ち越すなど、粘りの野球で終盤の2位争いを制した。
就任4年目の井口資仁監督の下、投打で若手が着実に力を付け、今季は16年ぶりとなる悲願のリーグ優勝に向けて突き進む。
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■イチロー絶賛の新外国人加入、ドラフトでは投打に即戦力獲得
FAで美馬学、福田秀平を獲得するなど、積極補強を行った昨年の開幕前と比べると今年は静かなオフになった。新外国人3人のうち2人は育成契約で、FAやトレードでの補強はゼロだった。
ただ、期待は大きい。新外国人のエチェバリアは、メジャー9年間で通算778安打のキューバ人内野手。マーリンズ時代は4年間で3度、規定打席に到達しており、当時チームメイトだったイチローが絶賛した守備力が武器だ。
ドラフトでは1位で法政大の左腕・鈴木昭汰を獲得した。最速153キロの速球と多彩な変化球で開幕から先発ローテーション入りが有力。春季キャンプでは今季の新人では最速となる実戦デビューを果たし、練習試合でも投げる度にその評価を上げた。4位の河村説人は亜細亜大を中退後、星槎道都大から24歳でプロ入りした右腕で、こちらもフォークを武器に三振の取れる投球で開幕1軍の可能性が高い。2位の中森俊介は高卒だが完成度の高い右腕で、早い時期の1軍昇格もありそうだ。
野手では、3位の小川龍成が堅守と巧打でショートの定位置争いに加わる。国学院大時代は世代屈指と言われた守備力で、50メートル5秒9の俊足も大きな武器となる。
■若手台頭が目立つ先発と盤石なリリーフ陣
先発陣は石川歩、美馬学の二本柱に、近年は若手投手の台頭が目立つ。2019年に8勝を挙げた種市篤暉はトミー・ジョン手術で今季は間に合いそうもないが、初の開幕投手が内定した二木康太を筆頭に、小島和哉、岩下大輝、中村稔弥など、伸び盛りの選手が揃う。他にも有吉優樹や大嶺祐太など、ケガから復帰した実績組にも注目だ。
昨季31度の逆転勝ちで“逆転のロッテ”と呼ばれた原動力となったリリーフ陣は今年も健在。唐川侑己がFA宣言せず残留し、昨季23ホールドのハーマン、抑えの益田直也と、勝ちパターンの継投は万全だ。さらにFA補償選手として移籍してチーム2位の40試合に登板した小野郁、39試合登板で防御率2.54の東條大樹、育成出身のフローレスなどコマは揃っている。
そしてプロ2年目を迎える“令和の怪物”佐々木朗希。オープン戦で実戦デビューを果たしたが、1軍でその姿を見られるかどうかは微妙な状況。この男が1軍舞台で輝きを放てば、新たな時代の幕開けを宣言できるのだが…。
■ドラ1コンビの覚醒で攻撃力アップなるか
一方、昨季はリーグ最下位のチーム打率.235で3割打者が不在だった攻撃陣だが、こちらも投手陣と同様に、着実に若い力が育っている。
その筆頭が2017年ドラフト1位の安田尚憲で、昨季は113試合に出場して87試合で4番を任された。CSでは初戦に本塁打を放つなど4打点をマークし、今季は不動の4番に挑戦する年となる。2018年1位の藤原恭大も昨季は10月に一軍昇格し、先頭打者本塁打を二度記録するなどブレークの兆しを見せた。甲子園を沸かせた2人のスター候補がリードオフマンと4番打者に定着できれば、新時代到来に相応しい夢のある打線になる。
その他、すでに来日済みのマーティン、レアードの両外国人が安田の脇を固め、下位には中村奨吾、井上晴哉、藤岡裕大など、実績のある中堅選手が並ぶ。熾烈なのが外野争いで、荻野貴司、菅野剛士、和田康士朗に、昨季FA移籍も不本意な成績に終わった福田秀平など、藤原の定位置奪取への道は簡単ではない。
井口監督の下で着実にチーム改革は進んでいる。鳥谷敬や角中勝也など、若手の見本となるベテランも揃い、攻撃陣が化学反応を起こせば“打倒ソフトバンク”も夢ではなくなる。
記事提供:ベースボール・タイムズ
データ提供:野球DB