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今週は中京競馬場で高松宮記念(芝1200m)が行われる。
年に2回しか行われない芝スプリントGI。コパノリチャード、グランアレグリアなど「初スプリント組」の好走も珍しくなく、短距離路線の王道を歩んだ馬と別路線組との比較も重要な判断材料となる。特に今年は芝1200m未経験の実績馬が多く揃った印象だ。
データで紐解く今年の高松宮記念。リニューアル後に施行された過去9年のデータ分析から浮かび上がったキーワードをご覧いただきたい。
1.レコード勝ちでいざGIへ。レシステンシアに死角はあるのか?2.インディチャンプに立ちはだかる「芝1200m重賞×ステイゴールド牡馬」の壁3.データが導く2021高松宮記念の穴馬候補は?
■レコード勝ちでいざGIへ。レシステンシアに死角はあるのか?
阪急杯をレコード勝ち。現役屈指のスピードを武器にGI2勝目ゲットを目論むレシステンシア。
圧巻のパフォーマンスから1人気濃厚の同馬に死角はあるのか? ここで取り上げたいデータはこちら。
・前走芝G2またはG3勝利から臨むGI馬【1-3-0-0】
上記の該当馬はロードカナロア、ミッキーアイル、レッツゴードンキ、グランアレグリア。4頭すべてが連対圏突入と抜群の安定感を示すデータだ。
2歳時に阪神JFを制したレシステンシア。昨年は1勝もできず悔しいシーズンを過ごしたが、年明け初戦の阪急杯は快速馬健在を証明する強さ。馬券内率100%データを味方につけたレシステンシアの視界は良好だ。
■インディチャンプに立ちはだかる「芝1200m重賞×ステイゴールド牡馬」の壁
そのレシステンシアと同じ阪急杯から臨むのがインディチャンプ。
マイルGIではアーモンドアイに先着するなど、トップマイラーの座を確かなものとしている馬。6歳にして初のスプリント路線殴り込みとなる。
短距離路線の天下統一といきたいところだが……ここでは不吉なデータが重くのしかかる。
・ステイゴールド牡馬の芝1200m重賞成績【0-0-0-14】
14戦馬券内ゼロと散々たる成績。インディチャンプ級のトップクラスが出走しなかったことは事実だが、そもそも出走する発想に至らないほどホースマンの間で「ステイゴールド×芝1200m」のイメージが湧いていない点にも注目すべきだろう。
国内のマイルGIでは馬券内率100%のインディチャンプ。やはり安田記念でこそ狙うべき馬なのかもしれない。
■データが導く2021高松宮記念の穴馬候補は?
昨年は9人気モズスーパーフレアが1着、19年には3連単449万馬券と波乱要素をはらむ高松宮記念。この項では、データ面から上位進出の可能性を秘めた穴馬候補2頭を取り上げたい。
<穴候補1 ライトオンキュー>
シルクロードS2着から臨む馬。昨年のスプリンターズSを見る限りGIではワンパンチ不足にも思えるが、同馬にとって追い風となるデータは存在する。
・馬番4番以内時の成績【4-1-1-1】
非常にわかりやすい内枠巧者と言えよう。外からズバッと差し切るだけの切れ味にかけるこの馬は立ち回りがすべて。自身の武器を最大限に発揮できる内枠でこその馬だ。引き続き得意の中京で臨める点も含め、ビッグタイトル獲得への準備は整った。
<穴候補2 ラウダシオン>
穴馬と呼ぶにはやや人気寄りかもしれないが、この馬もデータ面での上積みが大きい馬だ。
・左回りの成績【2-2-1-0】・前年に1400&1600重賞連対の4歳馬【1-1-2-2】
久々のスプリント戦となった前走シルクロードSはシヴァージ、ライトオンキューに次ぐ3着。昨年3月には同じ中京のファルコンS2着と舞台適性の高さも魅力だ。人馬ともども昨年のNHKマイルC以来となる重賞制覇のシーンは想定すべきだろう。
▼競馬ストーリーテラー・田原基成の重賞分析TV「高松宮記念」
著者プロフィール
田原基成(たはらもとなり)●競馬評論家
競馬予想の魅力を世に発信し続ける「競馬ストーリーテラー」。予想に対して謎ときに近い魅力を感じており、ローテーション・血統の分野にて競馬本を執筆。現在はUMAJIN内「競馬サロン」にてコラム【競馬評論家・田原基成のいま身につけるべき予想の視点】 執筆中。『SPREAD』ではデータ分析から読み取れる背景を紐解き、「データの裏側にある競馬の本質」を伝えていく。
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