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エンゼルスの大谷翔平投手(26)が4日(日本時間5日)、本拠地アナハイムでのホワイトソックス戦に「2番・投手」で先発出場。投手として今季初登板し、投打同時出場の「リアル二刀流」を果たした。
球団によると、「2番・投手」は1902年9月1日のワッティー・リー(セネタース)、1903年9月7日のジャック・ダンリービー(カージナルス)以来118年ぶり史上3人目。投手、野手として3シーズンプレーしたのはボビー・レイス(1935年ドジャース、36、38年ボストン・ビーズ)以来83年ぶり。
◆【動画】大谷翔平、投げては162キロの剛速球、打っては飛距離138メートルの特大アーチ
■MLB公式「歴史的瞬間を目にしている」
245日ぶりの公式戦のマウンドに立った大谷は、ストレート162キロをマークするなど、初回からエンジン全開。2死から四球を与えたものの、無失点の立ち上がり。
直後の1回裏、衝撃の瞬間が訪れた。1死走者なしで迎えた第1打席。大谷がバットを振り抜くと、打球は右中間スタンドへ一直線。飛距離約138メートル、打球速度約185キロという超特大弾にスタンドは興奮のるつぼと化した。
1回表を剛速球でねじ伏せ、その裏にアーチをかけるというドラマチックな展開にSNSも大盛り上がり。「打球音が半端ない」「大谷、すげえ」という称賛の声があふれ、MLB公式サイトは「歴史的瞬間を目にしている」と、投打での驚異のパフォーマンスを伝えた。
今季2号を放った「二刀流」はピッチングでもギアをさらに上げ、3回には公式戦自己最速タイの163キロをマークするなど、順調にスコアボートに「0」を重ねた。バッティングでも2打席目は鋭いセンターライナー、3打席目もセンターに抜けようかという当たりを放った。
完璧に「二刀流」をこなした大谷だったが、5回に暗転。満塁とされた後、ワイルドピッチ、パスボールが重なり3失点。勝利投手の権利を得るまであと1人と迫っていたが、ここで無念の降板となってしまった。
■今後、存在感を増す「投手・大谷翔平」
2018年5月20日のレイズ戦以来、1050日ぶりの勝利を逃したものの、「二刀流」完全復活を印象付けた大谷について、メジャー通算49本塁打となった圧巻の先制ソロに目を奪われがちだが、右肘の筋肉を痛めて2試合の登板にとどまった昨季のことを考えると、注目すべきはバッティングよりピッチングだったはず。
4回2/3で92球3失点、三振は7で、いずれも空振りで奪った。そのうち決め球はスプリットが4、スライダーが3。特にオープン戦から急激な曲がり具合が注目されていたスライダーと、同じく「ありえない落ち方」と評されたスプリットが、実際に公式戦でもコントロールできたことは大きな収穫だったはず。
ヒット2本はいずれもストレートを打たれたものだが、こちらはスピード、球威ともに十分だった。5回に制球を乱したものの、3月29日のドジャースとのオープン戦で右手中指のマメがむけて降板したことを振り返れば、約1週間でよく仕上げてきた。
これらを考慮するとこの先、「投手・大谷」が存在感を増してくることは間違いない。
■投げては162キロ、打っては飛距離138メートル弾
【 #エンゼルス 】#大谷翔平 が『2番・投手』で先発出場し、第1打席の初球でライトへ第2号先制ホームラン!!投げては100マイル超を連発□https://t.co/P43qIL99rl#日本人選手情報 pic.twitter.com/Rpp7uvn4t7
— MLB Japan (@MLBJapan) April 5, 2021
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文・SPREAD編集部