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11日に、2021年の3歳牝馬クラシック路線が幕を開ける。その第一弾が、阪神競馬場で行われる桜花賞だ。
昨年はデアリングタクトがこれを制し、勢いそのままに次走のオークス、秋の秋華賞も勝利。史上初の無敗の牝馬三冠に輝いた。2年前にはグランアレグリア、そして3年前にはアーモンドアイが桜の女王になるなど、名牝の登竜門とも言えるレースではあるものの、意外なことに1番人気の勝利は2014年のハープスターまで遡らなければならず、過去10年でこのわずか一度きり。近3年の勝ち馬はいずれも2番人気だった。
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■1番人気不振の理由はローテーションの多様化?
1番人気不振の理由はいくつか考えられるが、ローテーションの多様化は無関係ではないだろう。近年、調教技術の目覚ましい発展により、いわゆる“王道ローテ”と言われる前哨戦を使わずとも、本番で力を発揮できるようになってきた。ステップレースでトップレベルの直接対決が減ることで、不当に人気を落とす実力馬が生まれるわけだ。
また、馬齢3歳の春とは人間でいうと高校生くらいとされており、まさに成長期の真っ只中。わずかな時間が、立場の逆転を生むのは想像に難くない。
つまり桜花賞で狙うべきは「裏路線であるがゆえに評価を落としている実力馬」か、「この春に成長が見込める馬」の二択となる。
■“別路線組”の盲点3頭をピックアップ
ピックアップ1頭目はファインルージュだ。新馬戦では負けたものの、未勝利→フェアリーSを連勝。中でも前走では後の重賞馬ホウオウイクセルを子ども扱いし、ルメールに「GIでやれるレベルにある」と言わしめた。調教では手応え優勢で古馬を圧倒。3連勝で戴冠まで。
ククナも侮れない。重賞参戦のここ3戦は惜敗続きだが、前走はアカイトリノムスメからコンマ1秒、3走前はソダシからコンマ3秒差と、展開ひとつで十分逆転可能な着差にまとめている。母・クルミナルは3歳デビュー組であったが、成長曲線を描き桜花賞2着、オークス3着。娘もそれに続くか。
最後に取り上げるのはヨカヨカ。2歳時は持ち前のスピードに任せたレースが続いたが、前走フィリーズレビューでは好位で我慢する競馬で2着。着実に進展を見せた。中間の外傷の一報や、血統、熊本産が嫌われるならむしろ好都合。好配当の使者となる資格は十分だ。
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著者プロフィール
山田剛(やまだつよし)●『SPREAD』編集長アスリートの素顔を伝えるメディア『SPREAD』の編集長。旅行・アウトドア雑誌のライターを経て、競馬月刊誌「UMAJIN」の編集長として競馬業界へ。その後、Neo Sports社にて、「B.LEAGUE」「PGA」「RIZIN」等のスポーツ×ゲーミフィケーション事業に携わり、現在に至る。競馬は、1995年マイルCSの16番人気2着メイショウテゾロの激走に衝撃を受けて以来、盲点となる穴馬の発掘を追求し続けている。
twitterアカウントはこちら⇒『SPREAD』編集長・山田