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16日は東京競馬場でヴィクトリアマイル(GI、芝1600m)が行われます。
古馬牝馬のチャンピオン決定戦として、2006年に創設されたGI競走で、過去の優勝馬にウオッカ、ブエナビスタ、アパパネ、アーモンドアイら歴史的な名牝が名を連ねていますね。
今年は現役最強のスプリンター&マイラーとしてGI5勝目を狙うグランアレグリア(牝5、美浦・藤沢和)の一強ムード。離れた2番人気が一昨年の阪神JF以来のGI勝利を狙うレシステンシア(牝4、栗東・松下)です。
グランアレグリアに騎乗するのは日本競馬の顔であるC.ルメール騎手、レシステンシアに騎乗するのは日本競馬のレジェンド・武豊騎手ということもあり、人馬ともハイレベルな争いが展開されそうですね。
そこで、C.ルメール騎手、武豊騎手の両名を中心に、当レースの過去データ、東京芝マイルGIの過去データを参考に、騎手データを見ていきましょう。
◆【ヴィクトリアM/データ攻略】「3-0-0-0」の成績が示す得意条件で浮上する穴候補の下剋上
■ヴィクトリアマイルでは戸崎騎手、ルメール騎手が優秀
まずは2005年以降のヴィクトリアマイルの成績データを基に、今年のヴィクトリアマイルに乗り鞍がある騎手の成績を表にまとめています。
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[2005年以降]ヴィクトリアマイルの騎手別成績
着順と人気のバランスが優れ、高い連対率を記録しているのが、戸崎圭太騎手、C.ルメール騎手の2名です。
戸崎圭太騎手は2015年のストレイトガール(5番人気1着)、2016年のストレイトガール(7番人気1着)で連覇を達成すると、2019年は11番人気のクロコスミアを3着に導いており、当レースでの勝負強さが光ります。
今年は秋華賞以降3戦連続で連対中のマジックキャッスル(牝4、美浦・国枝)に騎乗しますが、人気以上の着順が期待できそうですね。
そしてC.ルメール騎手も2017年のアドマイヤリード(7番人気1着)、2020年のアーモンドアイ(1番人気着)で複数の勝利を挙げています。
NHKマイルCの過去データからはあまり強調できなかった同騎手ですが、ヴィクトリアマイルでは人気通りの走りが期待できそうですね。
■ヴィクトリアマイルの武豊騎手は過信禁物
一方、戸崎圭太騎手、C.ルメール騎手と比べると、着順の落ち込みが目立つのが武豊騎手。
2014年以降は人気以下の着順に終わっています。2009年のウオッカ(1番人気1着)など過去4度の連対があることから、連対率は30.8%と高めですが、データ上は過信禁物の騎手と言えます。
それだけに同騎手が跨るレシステンシアについては慎重に考えた方がいいかもしれません。
■東京マイルGIで波乱を演出する柴田大知騎手
そして2005年以降の東京芝1600mGI戦の成績データを基に、今年のヴィクトリアマイルに乗り鞍がある騎手の成績も表にまとめています。
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[2005年以降]東京芝1600mGIの騎手別成績
東京マイルのGIで一発と言えば2013年のNHKマイルCを10番人気のマイネルホウオウで制した柴田大知騎手を思い出す競馬ファンが多いことでしょう。
他にも2013年のヴィクトリアマイルでは5番人気のマイネイサベルを3着に導いており、対象期間の6鞍全てで人気よりも上の着順を記録。着順と人気のバランスがとても優れた騎手と言えます。
今年は前日12時段階で10番人気のスマイルカナ(牝4、美浦・高橋祥)に跨りますが、掲示板以上を目指せるかもしれません。
■東京マイルGIのルメール騎手は優秀 ただ、武豊騎手は
そして背負う人気から着順の落ち込みは多少見られるものの、連対率43.8%とこの条件で好結果を残せているのがC.ルメール騎手です。
実はC.ルメール騎手は2020年のNHKマイルC(1番人気のレシステンシアで2着)以降、東京マイルGIで4戦連続で連対中です。先週のNHKマイルCも2番人気のシュネルマイスターで鮮やかに差し切っていて、東京マイルGIなら疑う必要はなさそうですね。
一方、東京マイルGIでデータ的に推奨しづらいのが武豊騎手。先週のNHKマイルCでも4番人気のホウオウアマゾンで9着に敗れていて、この条件では人気以下の着順となってしまうケースが多々見られました。
さて、今回は2つのデータからC.ルメール騎手、武豊騎手を中心に騎手データを見ていきましたが、ともに優れた数値を示すC.ルメール騎手をデータ注目騎手としてピックアップします。
今年のヴィクトリアマイルでは圧倒的な人気を背負う状況ですが、過去データから割り引きが必要なファクターは見当たりません。変に捻るよりは、素直にC.ルメール騎手が跨るグランアレグリアを軸に馬券を買うのが正解と考えます。
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著者プロフィール
伊藤大輔(いとうだいすけ)●「UMAJIN.net」編集部
秋田県生まれ。スポーツ関連書籍出版社、競馬専門紙の勤務を経て、現在はUMAJIN .netでライティング、競馬データ解析等を担当。『SPREAD』では主観的要素の強い「馬体解析」と客観的なデータの蓄積である「騎手データ」から、注目すべき馬と騎手を取り上げていく。