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23日は東京競馬場でオークス(GI、芝2400m)が行われます。
3歳牝馬3冠戦の第2戦目となるレースで、昨年はデアリングタクトが63年ぶりに無敗で牝馬2冠の座に輝きました。
長きにわたり無敗の牝馬2冠馬はなかなか現われなかったのですが、今年は白毛馬のソダシ(牝3、栗東・須貝)が無敗で桜花賞を制しており、2年連続で無敗牝馬2冠馬が誕生するかもしれません。
同馬に跨るのは先週時点で全国リーディング5位の吉田隼人騎手。ただ、吉田隼人騎手はこれまでオークスの騎乗経験、東京芝2400mで行われるGIの騎乗経験が乏しいため、そういった過去データだけではサンプル不足なところがあります。
そのため東京芝2400m戦の過去データを交え、騎手データを細かく見ていきます。
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■オークスでは松山騎手、川田騎手が優秀
まずは2000年以降のオークスの成績データを基に、今年のオークスに乗り鞍がある騎手の成績を表にまとめています。
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[2000年以降]オークスの騎手別成績
過去の乗り鞍はそこまで多くありませんが、オークスの過去データから着順と人気のバランスが優れていると判断できるのが松山弘平騎手、川田将雅騎手の2名。
松山弘平騎手は今年のオークスでアールドヴィーヴル(牝3、栗東・今野)、川田将雅騎手はステラリア(牝3、栗東・斉藤崇)に騎乗します。
松山弘平騎手は昨年デアリングタクトでオークスを初V。2013年には17番人気のフロアクラフトを掲示板内の5着に導いていますね。
川田将雅騎手は2012年のオークスを3番人気のジェンティルドンナで優勝。2014年のハープスター(1番人気2着)、2018年リリーノーブル(4番人気2着)と、過去3度馬券絡みした経験があります。
戸崎圭太騎手、福永祐一騎手も上々の成績を残せており、オークスを得意にしている騎手は多いようですね。
■吉田隼騎手は判断不能 ルメール騎手は極端な成績
さて、肝心要の吉田隼人騎手の過去データですが、2012年のマイネエポナ(14番人気17着)の1鞍しか騎乗経験がなく、これだけでは残念ながら判断不能。後半に記す、東京芝2400mのデータを判断材料としたいと思います。
そして、人気に比べて着順の落ち込みが目立つものの、連対率40%と高い数値を記録しているのがC.ルメール騎手。
データ的には人気過剰でも押さえなければならない騎手と言えるでしょう。
2017年のソウルスターリング(1番人気)、2018年のアーモンドアイ(1番人気)を勝利に導く一方で、2016年は3番人気のエンジェルフェイスで10着、昨年は5番人気のサンクテュエールで13着と、1着かフタ桁着順という極端な成績に終わっています。
過去のデータを参考にした場合、C.ルメール騎手が跨るアカイトリノムスメ(牝3、美浦・国枝)は買うなら1着固定、軽視するならズバッと切ってしまうのが良さそうですね。
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■東京芝2400mでは川田騎手に注目 吉田隼騎手は悪くない成績
ここからは2000年以降の東京芝2400m戦の成績データを基に、今年のオークスに乗り鞍がある騎手の成績も見ていきましょう。このデータを見ていくことで、吉田隼人騎手の良し悪しがデータから分かるかもしれません。
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[2000年以降]東京芝2400m戦の騎手別成績
結果はご覧の通り。各騎手で騎乗数のバラつきがかなりあるため、過去50鞍以上の騎乗経験がある騎手を対象に見ていくと、この舞台で着順と人気のバランスが優れていると判断できるのは川田将雅騎手です。
平均人気が近い田辺裕信騎手、岩田康誠騎手、福永祐一騎手らと比べると、連対率が明らかに高く、データ的に推奨できそうです。
そして吉田隼人騎手ですが、悪くないデータが算出されています。連対率は13.5%と心もとないものの、人気通りの着順が見込めますね。
それだけにオークスで騎乗するソダシをデータ的に割り引く必要はないと考えます。
■ルメール騎手の高連対率は注目に値する
オークスでは極端なデータとなったC.ルメール騎手ですが、対象範囲を東京芝2400m戦に広げると、連対率が48.3%と更に上昇します。
背負う人気を思えばどうしても着順が落ち込んでしまいますが、この程度の落ち込みなら許容範囲かもしれません。
東京芝2400m戦ならC.ルメール騎手を中心に考えるのが正解と言えそうです。
さて、今回は2つの異なる騎手データを見ていきましたが、ともに優れた数値を示す川田将雅騎手をデータ注目騎手としてピックアップします。
ほか、吉田隼人騎手は割り引く必要なし、C.ルメール騎手を買うなら頭、これを意識してオークスの馬券を組み立ててみるとレースをもっと楽しめるかもしれません。
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著者プロフィール
伊藤大輔(いとうだいすけ)●「UMAJIN.net」編集部
秋田県生まれ。スポーツ関連書籍出版社、競馬専門紙の勤務を経て、現在はUMAJIN .netでライティング、競馬データ解析等を担当。『SPREAD』では主観的要素の強い「馬体解析」と客観的なデータの蓄積である「騎手データ」から、注目すべき馬と騎手を取り上げていく。