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バスケットボール女子リーグ(Wリーグ)は21日、東京・六本木で新体制発表記者会見を行い、会見の後半には河瀨直美新会長の就任祝いとして、女優の土屋太鳳さんと日本女子バスケットボールのエース・渡嘉敷来夢選手が駆け付け、花束とエールを送った。
◆「命を輝かせる姿を!」 河瀨直美新会長がWリーグの魅力発信に意欲
■太鳳さんと渡嘉敷選手がボールハンドリングを披露
太鳳さんは中学時代に「10番のスモールフォワード」としてバスケットボールに打ち込んだ自身の経験を振り返りつつ、Wリーグの今後の発展に期待を寄せた。今春、日本女子体育大学を卒業した太鳳さんは、新会長の前で秀逸なボールハンドリングの腕前を披露。渡嘉敷選手も思わず「チームメイトよりも上手い」と驚きの表情を見せた。
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ボールハンドリングで会長就任を祝う、土屋太鳳さんと渡嘉敷来夢選手
太鳳さんの降壇後、新会長と渡嘉敷選手によるトークセッションが行われ、河瀨会長は渡嘉敷選手を「らむちゃん」と呼んでいることを明かし、終始和やかなムードで対談は進んだ。
■河瀨直美会長 × 渡嘉敷来夢選手のトークセッション
河瀨会長:Wリーグに対して常々思っていることを聞かせてほしいな。
渡嘉敷選手:私自身13年目になるんですけど、女子バスケットボール界の盛り上がりを見ると、少しずつ盛り上がってはいるんですけど……もっともっと男子だけじゃなく、女子のバスケットが盛り上がればいいなとはいつも思っています。自分たちの意見を伝えられる場があるというのはすごく大事だと思います。
河瀨会長:今の現役時代や、セカンドキャリアでやりたいことは……
渡嘉敷選手:日本バスケット界をもっともっと盛り上げていきたいと思っています。現役中も、試合を見せるだけでなく子供や応援してくださる皆さんと触れ合って恩返しできる機会がほしいなと思っています。コロナ禍で接触が難しければ、質疑応答をするとか。子供に夢を与えられるようなこともしたいし、バスケットボールを見たことのない人も一緒に試合を楽しんで、また違う人も誘って……という風に広がっていくものだと思うので、そういう活動に貢献していきたい。
河瀨会長:遠めでもリアルに動いているアスリートを見るだけでものすごく興奮するし、「あの人みたいになりたい」と思う、「バスケットをやっているけど、どこに辿り付くのか分からない」と思っている全国の少女たちに伝えたいよね。
渡嘉敷選手:そうですね。バスケ女子(Wリーグ)は男子(Bリーグ)と違って試合で(全チームが)全国を転々と出来るところが武器だと思っています。各地でどれだけ人を集めて、観客の心を掴めるかが大事になってくると思うので、バスケの試合だけでなく、やはり触れ合う機会をつくりたいですね。
河瀨会長:地域や社会に貢献する活動としては、具体的にどのようなものが挙げられるかな。
渡嘉敷選手:現状では試合後、自分側の応援ベンチのみにお辞儀をして終わりで、試合結果もただ得点をポンポン並べて公開しているだけなので、そうじゃない部分を見せることで変わることができると思います。例えば会場でハイタッチをするとか、自分側の応援ベンチだけでなく相手チームの応援に来た方たちにも気持ちを込めて何かしたい気持ちがあります。
河瀨会長:らむちゃんはメディアに出るのはOK?
渡嘉敷選手:練習に支障がなければ飛び跳ねていきます。注目していただけることはとても嬉しいので、積極的に参加してリーグを盛り上げていきたいです。
河瀨会長:メディアでのコメントや言動でより親近感を持てるのはあるよね。試合が終わった後にミニトークをしたりとか、その試合のMVPが話をして間近で見れるとか、そういうのは難しい?
渡嘉敷選手:いちばん始めやすいと思います。大阪の会場では、VIP席かもしれないんですけど、階段横の席に座っているお客さんは試合後に好きな選手を呼んで写真を撮ることが出来るんですよ。そういうのを他の会場でも広げていくのもいいと思います。
河瀨会長:今の時代 SNSで拡散してもらえたりもするしね。
渡嘉敷選手:リーグ側がそれを主導してくれると助かります。大阪のVIPに限らず、そういうことができたら面白いんじゃないかなと。
河瀨会長:あとは選手が触ったボールを触れるとか、選手たちがプレーした場所で自分たちもプレーできるっていうのもいいかもしれない。
渡嘉敷選手:チケットに番号を付けて試合後に抽選で質疑応答をするとかすると、試合以外の楽しみもあっていいんじゃないかな。バスケットボール選手は試合をするのが仕事ですけど、ファンの方にどれだけ楽しんでもらえるかを考えてチームごとの盛り上げ方で実践していけたらなと思います。
河瀨会長:こうやって選手やリーグの各メンバーたちから意見を出してもらって、私たちがそれを具体化していくことで、ファン層を広げて行く行くは大きな目標である「世界最高峰の女子リーグ」になる、ね。
渡嘉敷選手:なれると思います! 私がいるうちにやります! 河瀨さん頑張りましょう!
河瀨会長:渡嘉敷選手は今年のオリンピック代表選手からは怪我で外れてしまいました。渡嘉敷選手離脱後のヒーローインタビューで選手たちの発言から、どれだけらむちゃんがこのチームに貢献して大黒柱だったのかということを目の当たりにしました。怪我を背負いながら合宿に参加する姿も見ていましたし……でも気持ちを切り替えて、Wリーグに復帰できるように準備をしているとも聞いてます。
これから世界の金メダルを取るかもしれないメンバーたちにメッセージはありますか。
渡嘉敷選手:上手くいかない日もあると思うんですけど、一日一日でベストを尽くしてほしいなと思います。持ってる力を出し切れないという風にはしてほしくないので。全ての選手に、全力で合宿に取り組んで選考に取り組んで、オリンピックの舞台で悔いだけは残してほしくないので、その舞台でいちばんいい色のメダルを獲ってもらえるように頑張ってもらいたいと思います。
正直悔しいんですけど、でも私はWリーグ復帰にシフトしているので、その分しっかりと日本代表を応援して、活躍する姿を見て「絶対に負けないからな」とまたリーグで頑張りたいなと思います。
河瀨会長:普通、大黒柱が抜けると家は壊れてしまうけど、誰もがそれぞれの役割を果たすのが、ジャパン。
渡嘉敷選手:日本は本当にそういうチームで、ひとりひとりがしっかりとした柱で、大黒柱でなくてもしっかりと支える力があると思うのでそれが日本のバスケ、日本代表のバスケットだと思うので、それを出してほしいです。
河瀨会長:プレイヤーとしての金メダルではないかもしれないけど、「人生の金メダリスト」になるための今回の経験かもしれないし、Wリーグを一緒に盛り上げていきたいなと思います。
渡嘉敷選手:そうですね、盛り上げます。絶対に。
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文・工藤愛梨(SPREAD編集部)